2.ローソク足の組み合わせ

2.ローソク足の組み合わせ

ローソク足は、1本の線だけでも相場の強弱を表すが、2本以上の組み合わせ、つまり連続して現れる足型を見ると相場の基調がより明らかになってくる。そこで、天井や大底につながりやすい組み合わせを選んでみた。

抱き線(包み足)

1日の寄り付きから大引けまでの値動きの幅が、前日の高値と安値の幅を包み込んだ格好になった場合を抱き線、あるいは包み足と呼ぶ。ローソク足は陰陽の区別ができるので、パターンとしては4種類ある(図2-1)。ただし、陽線が陽線を包んだときと陰線が陰線を包んだときの2種類をA種、陰線が陽線を包んだときと陽線が陰線を包んだときの2種類をB種とすると、重要なのはB種の方である。また、これは値位置の影響も受ける。

上昇相場が続いた後の高い水準で、陰線が陽線を包んだ場合は下落に転じる転換線となる確率が高い。さらに、翌日で安寄りし、陰線引けとなれば、かなり強力な売りサインとなる。反対に、下落が長く続いた後に、陽線が陰線を包んだときは上昇に転じる兆しとされる。

はらみ線

当日の値動きが、前日の始値から終値の範囲内の動きに終始した足型をはらみ線と呼ぶ。つまり、抱き線と逆の格好になった場合で、やはり天井や底を形成するときによく出る形である(図2-2)。

上昇相場で大陽線の次に小陰線や小陽線がはらまれた形(図2-2-A)で出ると天井を暗示する。反対に下落相場において、大陰線にはらまれた足型(図2-2-B)が出ると底の可能性が高い。また、いずれの場合においても、はらまれた足型が寄引同事線となるとはらみ寄せ線と特別の呼び名があるほど天底の可能性が大きくなる。なお、寄引同事線ではなく、極線(コマ)となった場合も同様とみなしてよい。

かぶせ線

かぶせ線とは陽線で引けた翌日、さらに高値で寄り付きながら、前日の足型の値幅内まで下押して引けてしまった形のこと。陽線に陰線がかぶさったというわけでかぶせ線と呼ぶ(図2-3)。

値ごろ的に高値圏にあるような場合に、この形が出たら要注意。抱き線と比較すると、決定的なサインとは言えないが、比較的出現しやすい形であり、天井打ちにつながることがあるので注意したい。

切り込み線、差し込み線、入り首線

いずれも、かぶせ線の反対のパターンである。陰線引けの翌日に、安く寄り付いたものの、前日の足型の実体部分まで戻して引けた形を言う。このうち、切り込み線は前日の実体の真ん中以上まで戻した形で(図2-4)、別名切り返し線とも呼ばれる買いのポイントである。

差し込み線(図2-5-A)は反発を示す形だが、上ひげを持つために上値を押さえられたことを意味し、「戻り売りの急所」と一般的に解釈されている。入り首線(図2-5-B)は、前日の中心まで戻しきれない形であり、やはり戻り売りを浴びやすい。

このように図形の違いは微妙でも、対処法は全く異なるので、はっきりと区別することが肝心である。

毛抜き天井、毛抜き底

毛抜き天井とは、上昇を続けてきた相場で、当日の高値が前日の高値と並んだがこれを抜けず、その翌日から反落してしまった場合の形を言う(図2-6)。「毛抜き」と呼ばれるのは、高値と高値の間がくぼんだ形になっており、これが毛を抜いた格好に似ていることからきている。

毛抜き底は毛抜き天井の逆の形。当日の安値か前日の安値と並び、その後これを下回ることなく反発に転じた場合のことを言う(図2-7)。

毛抜きの形は、後述のパターン分析におけるダブル·トップ、ダブル·ボトムに通じるもので、その小型版と言える。ただし、実戦においてはこういった形が日足で出たからといって天井や底と決めつけ、すぐに仕掛けるのは禁物である。理由は、これらの形が本当に転換を示すものか否かの伴を握るのは翌日の足型しだいだからである。毛抜き天井の形となった翌日に、それまでの高値を簡単に上抜いてしまうこともある。しかし、日足でも毛抜きが2本の大陽線や大陰線、長いひげを持つものであれば、天底形成の確率は高くなる。また、週足チャート上の毛抜きの意味はさらに大きくなる。

図2-8

<図2-8>はユーロドル相場の週足である。基調転換のポイントに、抱き線、はらみ線、かぶせ線、切り込み線といった様々な天底暗示の形が出ているのがよく分かる。

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