3.酒田五法

3.酒田五法

江戸時代、山形(酒田)に生まれた本間宗久は、米相場で巨財をなし、その名を天下に知らしめた。今日でも宗久翁の残した相場哲学は投資家のバイブルとなっているが、酒田五法はその骨子と言われる。

酒田五法とは、三山、三川、三空、三兵、三法の5つである。この5つは売買の重要なポイントを示している。

三山

五法の中でも、最も注意を要する形である。ヘッド・アンド・ショルダーズとも呼ばれ、大底や天井に至るパターンがその典型である。

三川

3本の線が「川」の字のように並んだときに注目したもので、三川宵の明星、三川明けの明星(図3-1)が代表的な形である。

三空

長期間にわたって上げ続けた後、もしくは下げ続けた後に3つ以上もの空(後述)が続けて現れるようなら相場は行き過ぎで、終駕が近いという警告である。三空踏み上げは上げ相場末期の形、三空叩き込みは下げ相場終局近しの形である(図3-2)。

三兵

陽線が3本続いた形は赤三兵と呼ばれ、本格上昇相場の前兆の形。黒三兵三羽ガラスとも呼ばれ、暴落の前兆とされる形である(図3-3)。

三法

相場は売るべし、買うべし、休むべしと言う。三法は一見した感じとは逆に仕掛ける方がよい形を示したものである。図3-4が、その典型例である。しかし、迷ったら休むのもよい。

前日に比べてかけ離れた値段で寄り付き、一度も前日の値段に接することなく引けることがある。こうした状況を「窓を開けた」と言う。空(くう)と呼ぶこともあれば、ギャップという呼び方もある。宵の明星、明けの明星、三空のいずれも、この窓が絡んだ形である。

もみ合いの後、上放れは買い、下放れは売りがよいとされる。窓を開けて上放れた場合、逆に下放れた場合はその典型である。これは、売り方と買い方のせめぎ合いに決着がつき、流れがどちらかに傾いたことを示すからである。

さて、窓を開けて上伸した相場も、いずれは利食い売りにあって修正場面を迎えることになる。その場合の押し目の目安ともなるのが窓の水準である。下げ相場で一気に下放れた場合も窓が戻りの目安となる。

例えば、窓を開けて下放れた場合、その直前に買い付いた人は損切りの暇もなかったわけである。そうなると買い方としては、自分の買い値近くまで戻せば転売したいという心理になる。窓を埋めにかかると手じまい売りが集中し、埋め切らずに再び下げることが多い。かくして窓は戻り、あるいは押しのめど、ないしは関門となる。

一方、窓を埋め切った場合は、単なる自律修正にとどまらず、新たな基調の確認につながることが多い。

長い陽線の後、窓を開けて短い極線や寄引同事線が出ると、と呼ばれる変化の兆しとなる。つまり、上放れて一段高となるか、下落基調への転換となるかの分岐点である。

問題は翌日の足型である。下放れて大陰線になれば前述の三川宵の明星となる。また、大陰線の翌日に下放れて短い極線や寄引同事線が出て、その翌日に上放れれば三川明けの明星となる。なお、星が寄引同事となった場合は十字星と呼ばれる。

星ではなく、普通の陽線や陰線が置き去りにされた格好も同様の解釈でよい。そして、取り残された足型は捨て子線と呼ばれる。

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