13.一目均衡表

13.一目均衡表

一般的なテクニカル分析では、過去の値段やトレンドなどが重視され、時間の概念は二次的に扱われがちである。時間を主体とし、値段は二次的なものに過ぎないとの考え方に基づくテクニカル分析の1つに「一目均衡表」がある。

一目均衡表を考案したのは、株価チャート研究者の一目山人で、基本数値と対等数値、およびこれらを基礎とする転換線基準線先行スパン遅行スパン、さらに準備構成、足型均衡表計算値――といった要素を総合的に扱うことで、相場を的確に判断しようとするものである。

基本数値と対等数値

基本数値と対等数値は、相場の変化日を推定するために用いる。変化日とは、その名の通り何らかの変化が起こる日、すなわち、相場が反転するか同一方向への値動きが延長・加速される日のことで、言わば「波乱含みの日」と形容すべきだろう。

基本数値は、波動形成日数の測定に用いる。エリオットの波動理論では、1、1、2、3、5、8、13…というフィボナッチの数列が基本とされているが、一目山人はシミュレートを繰り返した結果として、9、17、26、および33、42、52、65、76、129、172、226…といった数値を基本数値として用いている。また、基本数値は9、17、26を組み合わせた数値となっている。例えば42という数字は、17+26-1の組み合わせで成り立っている。なお、この-1とは、起点となる日が重なる分をマイナスしたものである。

一方の対等数値は、それまでの波動形成日数に対等する値であり、変化日までの日数計算に用いる。図15-1がその例で、波動Cとの対等値、もしくは、A+B、B+C、A+B+Cといった複合値となる。

基準線

基準線とは過去26日間(基本数値)の高値と安値の平均線(高値と安値の合計値を2で割った値を結んだ線)である。

転換線

転換線は、基準線の26日に対し、過去9日間の高値と安値の平均線である。転換線が基準線より上に位置すれば買いの局面、下であれば売りの局面と見る。しかし、これだけで売買のタイミングを決定するのは難しい。

遅行スパン

遅行スパンは一目均衡表のさまざまな要素のうちで、最も重要な線とされている。ただし、記入要領は簡単で、その日の終値を26日さかのぼった地点に書き込むだけである。

その見方は、遅行スパンが下方から26日前の足型を突破すれば上放れとみなす。しかし、その寸前まで行きながら、当日の相場が下げたために突破できなかったとなると相場は下落基調をたどるとされている。逆に、26日前の足型の上方に位置していた遅行スパンが足型を下抜いた場合は売りのポイントとなり、下抜かなければ強気相場の継続を暗示する。

先行スパン

これは、現在の値動きが一定期間後にどのような影響を及ぼすのかを2本の線で示すものである。

先行スパン1は、基準線と転換線の平均値を求め、26日先に毎日記入し、それを結んだ線である。

先行スパン2は、過去52日間の最高値と最安値の中間値を26日先の地点に記入し、それを結ぶ。

そして、先行スパン2本の間を塗りつぶすとと呼ばれる帯状のものになる。これを支持帯、あるいは抵抗帯と見る。なお、相場が支持帯を下向きに突破すると売り局面への転換となり、それまでの支持帯は抵抗帯へと変化する。逆に、相場が抵抗帯を上方へ突破すると相場は買い局面に変わり、それまでの抵抗帯はその後支持帯へ化すことになる。

準備構成と天底の足型

一目均衡表での分析が最も有効なのは、準備構成が完了している銘柄とされる。準備構成完了を例えて言えば、安値圏で底打ちの形(ダブル・ボトムや逆三尊型など)が現れ、基本数値の26日を経過した場合などを指す。一目均衡表は週足にも応用できる。

図15-2 豪ドル/円週足

図15-2は豪ドル/円相場の推移に一目均衡表を重ねたものである。注目すべき点は、先行スパン2本で作る雲が支持帯、それとも抵抗帯のどちらの役目を果たしているかである。このケースは、相場の上値を抑える格好になっており、2018年からの円安場面で実際に、その機能を果たしたことが読み取れる。雲の値位置は、先行きの展開を予測する上でも重要である。雲を突き抜けたことで、仮に円安に進んだとしても70~75円の水準に位置する雲で、支えられることが予想される。

基準線と転換線の交差、遅行スパンと日足の交差にも注意したい。それらが売買のポイントとなるのは、図が示す通りである。

一目均衡表の計算値

相場の目標値計算方法、つまり、上値や下値のめどを探る方法である。図15-3がその例であり、E、N、V、NTという目標を計算するわけだが、それまでの波動を基準としている点、エリオットの波動理論での目標値算出方法と相通じるところがある。

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