12.P&F

12.P&F

米国版の非時系列チャートの代表と言えばポイント・アンド・フィギュア。三本抜新値足、練行足、あるいはカギ足にも似た特徴を持つチャー卜だが、相場の上昇を×印、下落を〇印で表す点がユニークで、トレンド分析やパターンの分析も可能である。

ポイント・アンド・フィギュア(以下P&F)の書き方

P&Fは、あらかじめ決めておいた値幅以上の値動きがあったときに記入する。この値幅を決めるには、銘柄ごとにシミュレートしてみるべきだが、株式の場合を参考にしてみると表14-1のように、値段の水準によって決めるのが一般的なようだ。為替の場合は、10pipsを1枠とすることが多い。

P&Fは、グラフ上にマス目を設け、×印や〇印を書き込む。1つのマス目は値幅l単位(1ポイント)を意味する。また、相場が逆の方向に動いた場合、相場反転とみなすのは、いくら動いたときかを決めておくことも必要。一般的にはマス目3つ分の動きに当たる3枠転換(3ポイント・リバース)の方法がとられる。

  • (1)相場上昇時は、値段の推移を×印で表示する。上昇が続けば、1ポイントの値幅を満たすごとに同じ列の上方に記入していく。下落時は1ポイントの値幅を満たすごとに〇印を記入する。
  • (2)それぞれの列には、上昇か下降かの一方向のみの動きを記入する。つまり、×と〇印は同じ列には記入しない。
  • (3)×印と〇印は、一列に最低でも3ポイント記入する。この条件を満たさない限りは書き込まない。3ポイント記入後は1ポイントの動きでも追加していく。
  • (4)相場が方向転換して、以前とは逆の印を記入する場合、例えば上昇から下降へ反転した場合は、×印の真横ではなく、1ポイント下げて次の列に〇印を書き込む。下落から上昇への転換時には、〇印の次の列に×印を1ポイント上にずらして記入する。

売買サインの見方

P&Fでの仕掛け時は図14-2で示したように、ダブル・トップ型から上に抜け出た時点、ダブル・ボトム型から下に抜けた時点である。つまり、もちあい放れにつく方法である。

図14-3はトライアングル(ペナント)の形を突破したときの売りサインと買いサインの例であるが、このほかにも売り時・買い時を示すさまざまなパターンがある。ただ、もちあい放れにつくという基本は変わらない。

図14-1A ユーロ/ドル日足

図14-2B ユーロ/ドルポイント・アンド・フィギュア

トレンドライン

P&Fのトレンド分析は、通常のトレンドラインの引き方とは違い、最高値や最安値から45度の角度の線を引く。最安値から45度の角度で引いた線は強気支持線と呼ぶ。値段がこの線の上方にある場合には、買いを主体に考える。相場が押してもこの線で止まることが多い。しかし、この線を下回れば強気支持線の意味は消滅し、底探りの展開となる。

最高値から右下がりに引いた線は弱気抵抗線と呼ぶ。この線の意味は強気支持線の裏返しである。

カウンティング

上値のめどを探るとき、半値戻し·全値押し·倍返しというように、過去の値幅を手がかりとする手法がある。垂直カウンティングと呼ばれ、各種の分析手法でよく用いられる手法である。P&Fにも垂直カウンティングの方法があるが、一般的に利用されているのは水平カウンティングという独特の方法である。

ここで、図14-4を見ていただきたい。売りサインが出たときの目標の定め方を例にとってみる。まず売りサインが出る前のもみ合いの中で、〇×が最も密集している水準を水平に見て枠の数をかぞえる。この場合は7枠であり、利食い目標はこの7を3倍して21とし、〇×密集地帯の一番上(A点)から21枠下げた地点とする。買いサインの場合の上値目標は、〇×密集地帯の一番下からかぞえる。

3倍する理由は、3枠反転に要したエネルギーの蓄積を考慮したもので、2枠反転の条件なら2倍とするのが妥当である

P&Fは、新値足・練行足などの特徴を兼ね備えている。同時に、事前に記入条件となる値幅や何枠転換とするかを決めておく必要がある点も共通している。新値足などにも言えることだが、銘柄ごとに記入条件の適正化を図ることが、だましを避けるための課題となる。

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