【業界図鑑】ガラス・土石製品業界 ~ セメント業界は保守的ながらも海外進出と多角化へ

2019年05月15日
岡三オンライン証券株式会社

【業界図鑑】ガラス・土石製品業界 ~ セメント業界は保守的ながらも海外進出と多角化へ

東京オリンピックのチケット抽選申込が始まり、メディアで取り上げられることが増えてきた。施設やインフラの工事は、一部で遅れが生じているが、総じて順調に進んでいるようだ。今回は、工事の本格化で引き続き需要が見込まれるセメント業界の動向を見てみる。

1. 素材の中では輸出比率が低い

セメント協会の発表によれば、2018年度のセメント販売量は5,287万トンで、前年比-1.2%だった。そのうち国内向けが4,250万トンと8割を占め、輸出は1,037万トンしかない。そのため輸出が前年比-12.2%と大きく落ち込んだにもかかわらず、国内向けが+1.9%だったことでトータルでは前年並みを維持した。

輸出先はアジア69.7%、大洋州26.2%、アフリカ2.4%、中南米1.7%。近隣エリアが多いのは、セメントが重量物であるため輸送コストがかかるからだ。また欧州には、2億トン超を販売するスイスのラファージュホルシムなど、巨大企業が存在するため、進出は困難だ。同社は日本の麻生セメント (非上場) にかつて39%出資していたが、2012年には5%に引き下げている。

<セメント需給の推移 (2018/3~2019/3)>

出所:一般社団法人セメント協会

2. 国内需要はピーク時から半減

セメントは、素材産業としては特殊であると言える。まず、石灰石、粘土、ケイ石、酸化鉄原料といった原料がほとんど国内で入手できることが挙げられる。さらに輸出比率が低いため、需要においても海外市況の影響を受けにくい。

しかし、今後国内需要が大きく伸びることも考えにくい。長期的に見れば、ピークは1990年の8,629万トンだったが、現在は約半分に減少している。2019年度は、官需が2,100万トン、民需が2,150万トンで、合わせて国内需要4,300万トンが見込まれており、当面需要は底堅い。需要構造は建設業界と似ているが、異なるのは供給側のスケールメリットが働くことだろう。1990年代からの再編を経て、プレーヤーは少なくなっている。国内の業界構造は、太平洋セメント、宇部三菱セメント、住友大阪セメントの3社で8割近くを占める寡占状態となっている。

3. 保守的ながらも成長戦略を模索

これまでセメント大手メーカーは、他の素材メーカーほど海外進出には積極的ではなかった。しかし、2019年度見通しでは輸出が1,100万トンと、6%の伸びが期待されている。日本企業としては現地生産能力も増強し、アジア、オセアニアでのインフラ整備事業からの需要を取り込みたいところだ。また、最大手の太平洋セメントは、以前から米国に進出しているが、新たにセメント事業資産を買収し、現地でのプレゼンスの維持・向上を図っている。環境事業にも注力し、一度は収束させた多角化経営も再び成長戦略として掲げている。

<セメントメーカー3社の業績推移>

宇部興産

住友大阪セメント

太平洋セメント

注:20/3期以降はコンセンサス
出所:岡三オンライン証券-企業分析ナビ

4. セメント関連銘柄

コード 銘柄名 概要 終値
(5/15)
注文画面
4208宇部興産発祥は採炭だが、機械、化学、医薬品へと多角化。セメントは国内第2位で、三菱マテリアルと半分ずつ出資の宇部三菱セメントで共同販売。ベトナム、アメリカでセメント、中国、マレーシア、アメリカ、グアムで生コンの製造・販売を行う。セメントを含む建設資材の売上高比率は34%。海外売上高比率は30%。2,181
4043トクヤマシリコン世界大手。セメントの売上高比率は25%。海外売上高比率は21%。2,677
4061デンカ合成ゴムや機能樹脂を生産。セメントを含むインフラ・ソーシャル・ソリューション部門の売上高比率は13%。海外売上高比率は39%。3,230
5232住友大阪セメント国内第3位。電子材料や光電子などの高機能品も生産。セメント輸出拠点は、高知工場に加えて赤穂工場を追加。セメントの売上高比率は77%。4,045
5233太平洋セメント国内最大手。米国カリフォルニア州でMMグループからセメント事業資産を買収するなど、海外生産体制を増強。バイオマス発電や水質浄化材など環境事業にも注力。セメントの売上高比率は69%。海外売上高比率は25%。3,220

著者プロフィール

増井 麻里子(ますい まりこ)氏

株式会社Good Team 代表取締役社長

証券会社、ヘッジファンドを経て、米系格付会社・ムーディーズでは多業界に亘る大手事業会社の信用力分析、政府系金融・国際協力銀行(JBIC)では国際経済の調査を担当。

経済アナリストとして独立し、主に投資家向けのアドバイザリー業務を実施。

2017年6月、株式会社Good Teamの代表取締役社長に就任。

主な執筆・出演に週刊エコノミスト、国際金融、時事速報、Bloombergセミナー、日経CNBCなどがある。

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