【業界図鑑】サービス業界 ~ 生き残る語学ビジネス業者とは

2019年12月25日
岡三オンライン証券株式会社

【業界図鑑】サービス業界 ~ 生き残る語学ビジネス業者とは

12月24日、株式会社EduLab (エデュラボ) は、子会社の教育測定研究所が運営するオンライン英語試験「CASEC」に、顔認証システムを導入すると発表。「CASEC」は、主に企業が従業員の英語力を把握するために利用する、一問ごとの回答結果によって次の問題が変化する個人適応型試験。日時や場所を選ばず、約40分という短時間で完了するところが魅力である。同社は今回、英語試験初の取り組みとして、確実に本人が受験していることを確認できる仕組みを構築し、働き方改革の時代によりマッチしたサービスを開始する。

1. 拡大する語学ビジネス市場

矢野経済研究所の調査によると、2018年度の語学ビジネス総市場規模は、前年度比+2.3%の8,866億円であった。内訳を見ると、語学試験、留学斡旋、通訳・翻訳などの「周辺ビジネス」が、3,534億円と約40%を占めている。残りは、「語学スクール」と「学習教材」である。同社は、2019年度の総市場規模はさらに成長し、前年度比+2.6%の9,093億円になると予測している。

2. サービス形態は多様化

大人が語学スクールに行く目的は、語学力向上だけとは限らない。事業者もそれはよく分かっており、女性と話がしたい男性や、友人が欲しい主婦層やシニア層なども重要顧客と見ている。本来、スクールで日本人同士で英語を喋らせるだけでは意味がない。講師が一人一人の発言について、後から間違いを全部直すのであれば、グループレッスンでも意味がある。しかし、特に若い講師は、年配者に恥をかかせないように気を遣い、間違いをほとんど指摘しない。それでは他の参加者も得るものがない。したがって、本気で語学力を伸ばそうとする人は、一対一のプライベートレッスンやeラーニングへと向かうことになる。

3. eラーニングが本格化の兆し

2020年は、語学に限らず、eラーニングが本格化しそうだ。5Gの導入もあるため、サービス向上が期待できる。既に現在、対面スクールが少ない地方では活用されている。都会ではまだ、対面の方が人気だと言えるだろう。対面は、参加者にどういう人がいるのか、講師はどんな人物なのかといった情報収集の場であり、直接質問ができる、刺激がある、気分転換になる、といった要素も含む。意外にも重要な利点は、決まった時間に受講せざるを得ないことだ。eラーニングは、締め切りを作り、自分を律しないと先延ばしにしてしまいがちである。

リモートワークの浸透や、5連続休暇の強制取得、新卒一括採用の廃止により、今後はeラーニングの導入が進むだろう。顔認証などの画期的なサービスや、対面のような臨場感のあるシステムをローンチすれば、ニュースにも取り上げられ注目される。しかし、最終的には優れたコンテンツと講師を有する業者が生き残るのではないだろうか?

<語学3社の業績推移>


EduLab


レアジョブ


トゥエンティーフォーセブン

注:20/3期、20/9期以降はコンセンサス
出所:岡三オンライン証券-企業分析ナビ

4. 語学関連銘柄

コード 銘柄名 概要 終値
(12/25)
注文画面
4427EduLab英検協会等と共同で英語教育ネットサービスを展開。小6の2020年度全国学力・学習状況調査の委託事業を落札。4,790
6096レアジョブオンライン英会話最大手。スカイプでフィリピン講師5,000人との遠隔レッスンを提供。2,810
7043アルー大手企業を中心に研修を実施。英語集中研修やeラーニングを新たに展開。849
7074トゥエンティーフォーセブン主力はジムと英会話。完全個室でマンツーマン対応。3,225
9792ニチイ学館介護国内首位。教育事業は不振で構造改革中。マンツーマン英会話スクール「GABA」は2019年3月に51スタジオ閉鎖。ニューヨーク大学プロフェッショナル教育東京は2020年3月に閉鎖予定。1,597

著者プロフィール

増井 麻里子(ますい まりこ)氏

株式会社Good Team 代表取締役社長

証券会社、ヘッジファンドを経て、米系格付会社・ムーディーズでは多業界に亘る大手事業会社の信用力分析、政府系金融・国際協力銀行(JBIC)では国際経済の調査を担当。

経済アナリストとして独立し、主に投資家向けのアドバイザリー業務を実施。

2017年6月、株式会社Good Teamの代表取締役社長に就任。

主な執筆・出演に週刊エコノミスト、国際金融、時事速報、Bloombergセミナー、日経CNBCなどがある。

メルマガ「5 分でチェック!世界の経済指標の読み方」(毎週3回程度)配信中。

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