【業界図鑑】銀行業界 ~ ミドルリスク企業向け融資を増やす地銀

2019年09月25日
岡三オンライン証券株式会社

【業界図鑑】銀行業界 ~ ミドルリスク企業向け融資を増やす地銀

9月6日、銀行や証券を傘下に持つSBIホールディングスと地方銀行の島根銀行が、資本業務提携を締結したと発表。SBIホールディングスと傘下の「SBI地域銀行価値創造ファンド」が、第三者割当増資により島根銀行に計25億円を出資する。島根銀行は、上場地銀78社の中で最も規模が小さい。財務基盤の強化や経営資源の活用により、3期連続赤字のコア業務純益(貸出業務など金融機関本来の収益力を表す)を早期黒字化することを目指す。

1. 地銀の利鞘確保が困難に

2019年3月期決算では、上場地銀78社中54社が減益または赤字となった。日銀の大規模金融緩和策による超低金利の影響に加え、地域社会の成長力低下もあり、信用リスクに見合った利鞘が確保しづらくなっている。2016年のマイナス金利導入後、都市銀行や地銀の平均貸出金利は大きく下がり、その後横ばいで推移。第二地銀の平均貸出金利は、ゆっくりと低下している。

<貸出約定平均金利の推移(2014/1~2019/7)>

出所:日本銀行の統計データより作成

2. マイナス金利深堀り議論が再浮上

今年7月、米連邦準備理事会(FRB)は2008年以来の利下げに踏み切った。さらに9月18日に利下げしたことで、日米金利差が縮小し、円高圧力がかかった。翌19日、日銀は、短期金利を-0.1%、長期金利をゼロ%程度に誘導する現行の金融政策維持を決定したと発表。しかし、次回10月の会合では、短期金利を-0.2%とするかどうかが注目されている。貸出促進より円高抑制が目的となるだろう。

マイナス金利導入は欧州が先行している。9月12日、欧州中銀(ECB)は、市中銀行が余剰資金をECBに預ける際の預金金利を、-0.4%から-0.5%に引き下げた。金利階層構造方式を導入し、マイナス金利の深掘りが銀行に及ぼす影響を軽減する。市中銀行が預ける金額の大きい部分の金利をマイナスにし、小さい部分にはゼロまたはプラスという形にした。
金融機関収益の圧迫があまりに大きいと、かえって金融仲介機能を弱める懸念があるからだ。この方式は、日本に先行してスイス、スウェーデン、デンマークで導入されているが、今回ECBも加わった。階層構造方式が導入されれば、マイナス金利を深堀しやすくなる。

3. ミドルリスク企業への融資競争

全国銀行協会によれば、2019年8月末の実質預金は前年同月末比15兆3,120億円(+2.1%)で、155か月連続プラスだった。一方貸出金も同11兆6,045億円(+2.4%)で96か月連続プラスであり、信用力がやや低いミドルリスク企業による借入が増えている。優良企業の資金需要が増加しないため、地銀がリスクの高い融資を増やしていることが分かる。今は比較的良好なマクロ経済環境が続いているが、潮目が変わった時に投資家はバランスシートに注意しなければならないだろう。

4. 地銀関連銘柄

コード 銘柄名 概要 終値
(9/25)
注文画面
7150 島根銀行 島根、鳥取地盤。上場78社では最小規模。SBIホールディングスと提携し、財務基盤強化を目指す。 718
7167 めぶきフィナンシャルグループ 常陽銀行と足利銀行を傘下に持つ。茨城、栃木でトップシェア。 274
7186 コンコルディア・フィナンシャルグループ 傘下に地銀最大手の横浜銀行と東日本銀行を持つ。配当金と自己株取得による総還元性向で50%を目指す。 425
8354 ふくおかフィナンシャルグループ 地銀首位。福岡銀行、熊本銀行、親和銀行などを傘下に持つ。フィンテックでも先行。 2,054
8379 広島銀行 地銀上位。中小企業、個人向けに注力。コア業務粗利益に占める非金利収入比率は30%を確保。 551

著者プロフィール

増井 麻里子(ますい まりこ)氏

株式会社Good Team 代表取締役社長

証券会社、ヘッジファンドを経て、米系格付会社・ムーディーズでは多業界に亘る大手事業会社の信用力分析、政府系金融・国際協力銀行(JBIC)では国際経済の調査を担当。

経済アナリストとして独立し、主に投資家向けのアドバイザリー業務を実施。

2017年6月、株式会社Good Teamの代表取締役社長に就任。

主な執筆・出演に週刊エコノミスト、国際金融、時事速報、Bloombergセミナー、日経CNBCなどがある。

メルマガ「5 分でチェック!世界の経済指標の読み方」(毎週3回程度)配信中。

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