【業界図鑑】海運業界 ~ ばら積み船市況が回復

2019年09月11日
岡三オンライン証券株式会社

【業界図鑑】海運業界 ~ ばら積み船市況が回復

9月3日、鉄鉱石などを運ぶばら積み船の運賃を示すバルチック海運指数が、2,500ポイントに達した。2010年11月以来の高水準である。海運大手の日本郵船と商船三井は、PBRがそれぞれ0.56倍、0.58倍と割安であったこともあり、市場から見直された。外航海運は9割弱がドル建てであり、ここ最近の円安基調も追い風となっている。

1. 海運市況は予測困難

船の運賃は、荷物量と船のスペース、即ち需要と供給で決まる。前述のバルチック海運指数 (BDI;Baltic Dry Index) は、ロンドンにあるThe Baltic Exchangeが発表している外航ばら積み船の運賃指数を表している。この指標が業績に関係するのは、外航海運業において鉄鉱石、石炭、セメント、穀物といった梱包されない乾貨物 (ドライカーゴ) を不定期船で大量輸送している企業である。こうした輸送物は、長期的に増加トレンドにあり、今後も需要は堅調と言えるだろう。しかし、船舶は発注してから竣工までに数年かかる上、平均船齢は25年程度と長いため、供給調整が難しい。したがって運賃市況は読みづらい。

2016年の半ばまで、資源価格が低迷していた。資源会社は生産物が高く売れないため量を減らし、船腹が供給過剰状態となった。資源会社からの運賃引き下げへのプレッシャーもあり、韓国大手の韓進海運が破綻する事態となった。定期船であるコンテナ船の運賃も史上最低水準となり、世界で再編が起こった。

2. コンテナ貨物が増加傾向

日本海事センターのデータによれば、2018年の海上輸送量は11,832万トン (前年比+2.6%)、船舶量は1,833百万重量トン (同3.0%) だった。海上輸送量を主要品目別にみると、石油26.1%、鉄鉱石12.4%、石炭10.5%、穀物4.0%となっている。コンテナ船で運ばれる貨物が含まれる「その他」が46.9%と、全体の割合の半分近くまで高まってきた。新興国の経済発展や消費の高度化は今後も続くため、「その他」を運ぶ需要も増加しつづけると見られる。

出所:日本海事センター

3. 海運会社の見通し

2016年の供給過剰による市況低迷後、再編が起こったことにより、同じことが数年内に起こる可能性は低いだろう。穀物については、ブラジルやアルゼンチンが通貨安や豊作によりコーヒー、大豆、トウモロコシを大量輸出している。輸出主導での経済回復を狙っている。また、日本経済にとって大きな懸念事項であった米国による自動車関税引き上げは見送られた。自動車輸送は相対的に利益率が高く、自動車船を運航する会社にはポジティブである。

<海運会社のマッピング>

出所:岡三オンライン証券-企業分析ナビ

4. 海運関連銘柄

コード 銘柄名 概要 終値
(9/11)
注文画面
9101日本郵船海運国内首位。陸運、空運も展開。自動車船の採算が改善。LNG船拡充。三菱グループ系。1,822
9104商船三井国内第2位。鉄鉱石船、オイルタンカーが強い。自動車船の採算が改善。LNG船拡充。三井住友系。2,887
9107川崎汽船自動車船の採算が改善。自動車船、電力炭船が強い。1,338
9110NSユナイテッド海運ばら積み船が主力。筆頭株主の日本製鉄が32%、第2株主の日本郵船が18%出資。2,308
9119飯野海運ケミカルタンカー (LNG、LPG) 、オイルタンカーが強い。不動産事業が売上高の12%を占めており、都内不動産からの収益が大きい。345

著者プロフィール

増井 麻里子(ますい まりこ)氏

株式会社Good Team 代表取締役社長

証券会社、ヘッジファンドを経て、米系格付会社・ムーディーズでは多業界に亘る大手事業会社の信用力分析、政府系金融・国際協力銀行(JBIC)では国際経済の調査を担当。

経済アナリストとして独立し、主に投資家向けのアドバイザリー業務を実施。

2017年6月、株式会社Good Teamの代表取締役社長に就任。

主な執筆・出演に週刊エコノミスト、国際金融、時事速報、Bloombergセミナー、日経CNBCなどがある。

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