2019年07月10日
岡三証券株式会社 岡三オンライン証券カンパニー
【業界図鑑】サービス業界 ~ 社会人もeラーニングの時代へ
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2019年は「新卒年収1,000万円」が話題となっている。5月に回転ずしチェーンのくら寿司が「エグゼクティブ採用」を開始。2020年春の新卒採用で、入社1年目から幹部候補生となる人材を募集する。NECでも、優秀な研究者であれば新入社員に年収1,000万以上を支払う制度を導入する。
企業が人を育てなくなったと言われて10年以上経つが、以前は企業業績の悪化が原因だった。しかし今、多くの企業が業績を回復させ、多額の手元流動性を保有しているにもかかわらず、その傾向が続いていると見られる。原因の一つは、第4次産業革命だろう。どの分野に教育投資をしたらいいのかが分かりにくく、計画が立てづらい。もう一つは、労働のグローバル競争だろう。世の中の変化のスピードが速く、社内に育てられる社員がいない、あるいは人手が足りないことから、必要なスキルを持った人材を獲得するためには外部採用に頼らざるを得ない。
1. 労働者にはチャンス
最近のトレンドとしては、転職可能年齢が上昇していることが挙げられる。営業、技術、管理のどの部門においてもマネジメントができる人材は貴重だ。そのような人材は主に現場での実務経験が重視されるが、将来の経営幹部に成長して欲しいと期待されている。そのためには経営学を勉強していることは強みになるだろう。そうした勉強をするには学校に行くことが考えられるが、ある程度はeラーニングでも可能だ。以前からビジネス・ブレークスルーが有名だが、観光リーダーやスポーツビジネスといった最近のトレンドにも対応したコンテンツを提供している。
2. MOOCが本格化
ITや語学などのビジネススキルを身につけて、高収入を得るための転職や就職をしたいと考える人も増えるだろう。企業としては、育成コストが省けて時間短縮になるため積極的に採用するはずだ。そこでMOOC (Massive Open Online Courses) という大規模なeラーニングのプラットフォームが活用されると予想する。子供の学習塾に比べて、市場が小さいと見られているが、今後本格化していくのではないだろうか。実際にはまだ、都会では時間が区切られることで集中出来たり、人と出会えて気分転換になったりすることから、対面講座が人気となっている。しかし、株式投資などの資産運用系や、料理などのカルチャー系も含め、オンライン講座の時代がいよいよ来るかもしれない。米国発のUdemyでは、日本ではビジネス系が中心だが、その他のコンテンツも増えていくと見られる。
3. 今後の傾向
プログラミング、料理、音楽理論などは本では分かりづらいこともあり、オンラインが有利だ。また、企画から出版までが速く、動画の上書きができることも有利だろう。これまでも、オンライン講座ビジネスを始めた会社はいくつもあるが、投資が回収できずに撤退していった。今後も難しいビジネスには変わりないが、ネットと親和性の高いコンテンツをオンライン化し、時々対面のオフ会などのイベントと組み合わせれば満足度が高まるのではないだろうか。
4. 社会人eラーニング関連銘柄
著者プロフィール
増井 麻里子(ますい まりこ)氏
株式会社Good Team 代表取締役社長
証券会社、ヘッジファンドを経て、米系格付会社・ムーディーズでは多業界に亘る大手事業会社の信用力分析、政府系金融・国際協力銀行(JBIC)では国際経済の調査を担当。
経済アナリストとして独立し、主に投資家向けのアドバイザリー業務を実施。
2017年6月、株式会社Good Teamの代表取締役社長に就任。
主な執筆・出演に週刊エコノミスト、国際金融、時事速報、Bloombergセミナー、日経CNBCなどがある。
メルマガ「5 分でチェック!世界の経済指標の読み方」(毎週3回程度)配信中。
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