【業界図鑑】機械業界 ~ 世界市場参入を目指す日本の水ビジネス

2019年07月03日
岡三オンライン証券株式会社

【業界図鑑】機械業界 ~ 世界市場参入を目指す日本の水ビジネス

5GとAIの分野における主導権を巡り、米中ハイテク覇権争いが激しくなっている。日本は、両国の狭間で振り回されている状態である。しかし、水ビジネスの覇権争いにおいては、存在感を出せるかもしれない。

1. 世界での深刻な水不足

国連開発計画 (UNDP) のデータによれば、現在9億人弱の人々が安全な水を利用できない状態にあり、27億人以上が基本的な衛生設備を利用できない状態にある。今後の人口増加と経済発展により、2025年までに18憶人が「水不足 (年間一人当たり1,000立方メートル未満)」となり、世界人口の3分の2が「水ストレス (同1,700立方メートル未満)」状態に陥ると予測している。
地球上の水の約97.47%が海水等であり、いわゆる水資源は2.53%しかない。そこから氷河等を除くと使用可能な淡水量は0.01%であり、世界平均では年間一人当たり8,000立方メートル程度という計算になる。

<世界の水需要予測 (基本シナリオ)>

出典:OECD Environmental Outlook to 2050
出所:国土交通省「平成30年版 日本の水資源の現況について」

2. 日本における水ビジネスとは

水ビジネスという言葉に明確な定義がある訳ではないが、一般的には水源開発から上下水道事業、下水の再利用までを指す。日本の民間企業としては、ポンプやフィルターなどの機器を製造するメーカー、水処理プラントの建設業者、施設の運転・維持管理業者が関わっている。しかし、日本の水道事業は100年以上にわたり、地方自治体が水道事業者として運用してきた。民間企業は部材や設備を提供するのみという構造になっている。

2001年の水道法の改正で、運営を第三者に委託できるようになったが、実際にはほとんど変わらなかった。政府は2016年度までに、上水道と下水道について各6件ずつコンセッション事業に取り組むという目標を掲げていたが、2018年4月に初めて浜松市で民間のコンセッションに下水道運営権が移された。コンセッションは、フランスの水メジャー・ヴェオリアグループの日本法人が代表で、ヴェオリア・ジェネッツ、JFEエンジニアリング、オリックス、東急建設及び地元の須山建設からなる。

2019年4月から改正水道法には、水道施設の老朽化、深刻化する人材不足等の課題に対し、地域連携の広域化や民間事業者による運営推進が盛り込まれた。しかし、施設の運営権を民間事業者に設定するとはいえ、施設の所有権は地方公共団体が維持することとなっている。民営化と言えるものではないだろう。

3. 日本企業の海外進出

海外では民営化が進んでいるところが多い。例えばフランスの水道供給事業者は、部材提供、水処理プラントの建設、施設の運転・維持管理を全て行う。160年間のノウハウの蓄積があるため、世界へ進出しており、カンボジアなどで水道事業をトータルで担っている。こうした総合水事業会社の主要企業には、英国テムズ・ウォーター・ユーティリティーズ、米国ゼネラル・エレクトリック、独シーメンス、西アクアリアなどがあり、水メジャーと呼ばれる。

日本企業の海外進出においては、三井物産が西アクシオナ・アグナと共同でメキシコの下水処理事業に参画するなど、商社が動きを加速している。また政府は、長年ODA技術協力で途上国への援助を行ってきた。「水と衛生分野」においては、欧州諸国を抑えてトップドナーとなっている。今後は地方自治体の職員が海外で活動するための法整備などが必要だが、民間企業と共に世界の水ビジネス市場に参入するための仕組みづくりが活発化していくだろう。

4. 水ビジネス関連銘柄

コード 銘柄名 概要 終値
(7/3)
注文画面
6254野村マイクロ・サイエンス超純水装置の大手。半導体製品の洗浄などに必要な水処理を行う。韓国、台湾などの企業と取引。メンテナンスが好採算。648
6326クボタ農業機械、鋳鉄管で国内首位。上下水管、ろ過、ポンプ事業を手掛ける。1,779
6368オルガノ発電所、半導体向け水処理装置に強み。水処理薬品などの機能商品も手掛ける。アジア展開を加速。3,765
6370栗田工業水処理で国内首位。装置だけでなく薬品も手掛ける。2,762
9551メタウォーター総合水道事業会社。上下水処理施設で国内首位級。東南アジアでろ過システムなど数多く受注。3,480

著者プロフィール

増井 麻里子(ますい まりこ)氏

株式会社Good Team 代表取締役社長

証券会社、ヘッジファンドを経て、米系格付会社・ムーディーズでは多業界に亘る大手事業会社の信用力分析、政府系金融・国際協力銀行(JBIC)では国際経済の調査を担当。

経済アナリストとして独立し、主に投資家向けのアドバイザリー業務を実施。

2017年6月、株式会社Good Teamの代表取締役社長に就任。

主な執筆・出演に週刊エコノミスト、国際金融、時事速報、Bloombergセミナー、日経CNBCなどがある。

メルマガ「5 分でチェック!世界の経済指標の読み方」(毎週3回程度)配信中。

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