2019年02月20日
岡三証券株式会社 岡三オンライン証券カンパニー
【業界図鑑】食料品業界 ~ 中食が外食化から内食化へ回帰
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3月末の権利付き最終日である26日まで2週間を切り、配当利回りが意識される季節となった。電力大手10社の配当は、無配の東京電力と北陸電力、10円の北海道電力を除き、30~60円となっている。配当利回りが2~3%台で、最近株価が比較的安定しているため、魅力度は高いと言えるだろう。ただし、電力自由化や発送電分離の影響に注意する必要がある。
1. 電力自由化の経緯
1951年に9電力体制が発足し、その後沖縄返還に伴い10電力体制となった。地域独占かつ発電、送電、小売を独占する垂直統合型の供給システムであり、全く競争が働かない時代が続いた。まず2000年に大型工場などの特別高圧分野で、2004年に中規模工場などの高圧分野で自由化が始まる。世界と比べて電気代が高いということが背景にあったが、徐々にそれほどでもなくなり、自由化の議論は2007年頃一旦見送られた。ドイツで自由化によって逆に電気代が上昇したこと、米国で停電が起きていることなどが慎重論の理由として取り上げられた。
しかし、2011年に福島第一原発事故による計画停電が発生し、安定供給に向けた改革の必要性が生まれる。2016年にはついに家庭など低圧分野を含む全面自由化となり、2020年には発送電分離が義務化されることになった。
2. 電力改革の背景
2011年の東京での計画停電で、連系の問題が浮き彫りとなった。電力は貯めておくことができないが、日本全国で同時に需給が逼迫することもないだろう。自給自足を前提とした供給システムだったため、自社エリア以外からの送電システムが脆弱だった。現在洋上風力発電に投資が集まっているが、北海道や東北エリアでできた電力を他のエリアに融通するためのインフラを整えなければ活かせない。現在、広域供給の仕組みと競争促進のための改革が進行中である。
3. 小売で競争激化
2016年4月の小売全面化スタート時は、新電力のシェアは特別高圧・高圧分野でさえ8.3%しかなかった。しかし2年後には15.6%に達した。電力小売事業者として550社が登録しており、低圧分野でもシェアを伸ばしてきている。これに対し、大手電力会社も値下げやガス会社との連携によって対抗している。電力販売量の減少傾向は避けられないため、今後はより一層付加価値を高める戦略がメインとなるだろう。ガスとのセット販売、メンテナンスやインターネットのオプションを付けることで、大手連合が再び優位になる可能性も高いと見られる。
<新電力のシェアの推移>
<電力会社のマッピング>
4. 電力関連銘柄
著者プロフィール
増井 麻里子(ますい まりこ)氏
株式会社Good Team 代表取締役社長
証券会社、ヘッジファンドを経て、米系格付会社・ムーディーズでは多業界に亘る大手事業会社の信用力分析、政府系金融・国際協力銀行(JBIC)では国際経済の調査を担当。
経済アナリストとして独立し、主に投資家向けのアドバイザリー業務を実施。
2017年6月、株式会社Good Teamの代表取締役社長に就任。
主な執筆・出演に週刊エコノミスト、国際金融、時事速報、Bloombergセミナー、日経CNBCなどがある。
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