2019年07月17日
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【業界図鑑】卸売業界 ~ 川下ビジネスが期待される食料品専門商社
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総合商社というカテゴリーは日本で発達したもので、世界でも「Sogo Shosha」と呼ばれる。言葉に明確な定義はないが、現実的には日本貿易会の会長1名と副会長6名が所属する会社を指している。具体的には住友商事、三井物産、三菱商事、伊藤忠商事、丸紅の大手5社に双日、豊田通商を加えた7社である。これらの会社は資源からAIまで幅広い分野を手掛け、権益や企業に出資している。場合によっては経営陣を送り込むこともあり、ファンド化していると言えるだろう。しかし、専門分野を持ち、本来の仲介や物流をメインとしている専門商社の業績も底堅く、投資対象としては魅力度が高い。
1. 見通しが立てやすい食料需要
食料需要は世界的に伸びることが分かっている。国連食料農業機関 (FAO) によれば、2050年には91億人の食料が必要で、生産量は2000年比で1.7倍まで引き上げられなければならない。エネルギーは技術革新による省エネ化や再生可能エネルギーの低コスト化もあり、今後の需要が読みにくいが、食料については人口と経済発展である程度予測可能だ。
<世界の食料需給見通し>
2. 食料専門商社の役割
商社は伝統的に、川上ビジネスとして穀物などの調達を行ってきた。即ち、海外での買い付けと輸入である。しかし近年は、川中から川下にも事業を拡大している。加工、製造、流通、小売を手掛けることで、一般消費者に対しても存在感を高めている。総合商社でいえば住友商事がスーパーマーケット事業、三菱商事がコンビニ事業を行っていることは周知のとおりである。今後はメーカーと商品を共同開発したり、プライベートブランド商品の生産を請け負ったりと、ビジネス領域をより一層拡大させていくと見られる。
3. ヒット商品による上乗せ
今後人口増加と経済発展が見込まれる新興国に展開している食料品専門商社は、需要見通しが明るい。また、先は読めないが、食料品にはブームがあり、その商品を扱っていることが強みとなる。最近はタピオカブームだ。これは日本だけの現象ではなく、欧米やアジアなど世界に広がっている。本場である台湾の貿易センターによれば、原料の輸出額は前年比6割増となっているとのことである。ブームはそのうち収束するが、こうしたヒット商品によるプラスαが期待できる点も投資対象として魅力的である。
4. 食料品専門商社関連銘柄
著者プロフィール
増井 麻里子(ますい まりこ)氏
株式会社Good Team 代表取締役社長
証券会社、ヘッジファンドを経て、米系格付会社・ムーディーズでは多業界に亘る大手事業会社の信用力分析、政府系金融・国際協力銀行(JBIC)では国際経済の調査を担当。
経済アナリストとして独立し、主に投資家向けのアドバイザリー業務を実施。
2017年6月、株式会社Good Teamの代表取締役社長に就任。
主な執筆・出演に週刊エコノミスト、国際金融、時事速報、Bloombergセミナー、日経CNBCなどがある。
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