【業界図鑑】医薬品業界 ~ ジェネリックメーカーの成長戦略に注目

2019年03月27日
岡三オンライン証券株式会社

【業界図鑑】医薬品業界 ~ ジェネリックメーカーの成長戦略に注目

2000年代は、国民にジェネリック医薬品 (後発医薬品)の存在こそ知られるようになったものの、処方してもらうには患者の方から言わなければならないような状況だった。患者に要求された薬局は、医師の確認を取らなければ出せないと答え、ブランド医薬品 (先発医薬品) を出すことが当然であるかのように運営していた。しかし最近は、薬局の方からジェネリック医薬品を処方しようとする。

1. 急速に高まったジェネリック医薬品シェア

日本ジェネリック製薬協会の発表では、2018年7~9月の国内のジェネリック医薬品の数量シェアは73.2%だった。2006年は16.9%、2015年は56.2%だったことから考えれば、ここ数年で急速に浸透したと言える。2020年9月までに80%以上とする政府の目標は達成されるだろう。

医療用医薬品に関しては、買い手側である患者は、売り手側の医師や薬剤師よりも少ない商品情報を持つ。買い手側としては、比較対象もよく分からないまま、売り手側に従うしかない。このような「情報の非対称性」があるため、医療従事者の一人一人が高い倫理観を持っていても、高額な薬を多く処方するインセンティブはどうしても働く。

2. 他の先進国に近づきつつある

社会保障費抑制と言えば、まずはジェネリック医薬品への転換という話になる。世界の先進国も財政問題を抱えており、米国やドイツではジェネリック医薬品のシェアは既に90%前後だ。しかし、民間任せではジェネリック医薬品の浸透が進むはずはない。
日本政府による改革としてはまず2012年に、処方箋に薬の一般名を書くようにし、ブランド医薬品しか認めない場合には印を入れるようにした。2016年から「後発医薬品調剤体制加算」という仕組みを導入し、ジェネリックを多く出すと報酬が多くなるようにした。そして2018年には85%以上の場合の加算を大きくし、数量ベースのシェアはこの一年で5%強上昇したのである。

<後発医薬品の数量シェア推移>

<後発医薬品の金額シェア推移>

出所:厚生労働省「平成29年度後発医薬品使用促進ロードマップ検証検討事業報告書」

3. 改革はジェネリックメーカーへの追い風だけではない

新薬創出加算の適用品目の大幅削減、長期収載品 (特許切れ先発品) の引き下げ、薬価改正の2年毎から1年毎への変更といった改革により、医薬品メーカーにとって事業環境は厳しくなる一方だ。ジェネリック医薬品も、販売量は伸びるものの収益性の向上は見込めない。国内ではジェネリック大手の日医工が、エルメッドエーザイを買収するなど、依然として業界再編が続いている。富士製薬工業のように、ジェネリックでの販路や信頼感を活かして、今後ブランド医薬品の比率を高めていくような成長戦略を掲げるところもある。大手の沢井製薬や日医工は、米国企業を相次いで買収し、海外進出に活路を見い出す。

<ジェネリック医薬品メーカー4社の業績推移>

日医工

東和薬品

富士製薬工業

沢井製薬

注:19/3期または19/9期以降はコンセンサス
出所:岡三オンライン証券-企業分析ナビ

4. ジェネリック医薬品関連銘柄

コード 銘柄名 概要 終値
(3/27)
注文画面
3341日本調剤国内調剤第2位。関東甲信越で門前(病院前)薬局を展開。ジェネリック医薬品の製造・販売も手掛ける。売上高比率は調剤薬局85%、医薬品製造販売10%。3,900
4541日医工国内ジェネリック医薬品第2位。かつては新薬開発や一般用医薬品も手掛けていたが、ジェネリック医薬品に専念。グローバル展開に積極的。海外売上高比率は22%。1,517
4553東和薬品国内ジェネリック医薬品第3位。直販体制を構築。循環器系、神経系に強い。アジアへの展開を計画中。2,919
4554富士製薬工業女性医療、特定疾患領域に強い。新薬開発にも注力。タイの子会社OLICの工場を通じてベトナムやシンガポールに出荷。1,770
4555沢井製薬国内ジェネリック医薬品首位。2017年5月に米アップシャー・スミス・ラボラトリーズ社を1,165億円で買収し、売上高で日医工を抜いた。海外売上高は2割に上昇。6,480

著者プロフィール

増井 麻里子(ますい まりこ)氏

株式会社Good Team 代表取締役社長

証券会社、ヘッジファンドを経て、米系格付会社・ムーディーズでは多業界に亘る大手事業会社の信用力分析、政府系金融・国際協力銀行(JBIC)では国際経済の調査を担当。

経済アナリストとして独立し、主に投資家向けのアドバイザリー業務を実施。

2017年6月、株式会社Good Teamの代表取締役社長に就任。

主な執筆・出演に週刊エコノミスト、国際金融、時事速報、Bloombergセミナー、日経CNBCなどがある。

メルマガ「5分でチェック!世界と日本の市場動向」(毎週火、水、木、金曜日) 配信中。

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