【業界図鑑】電気機器業界 ~ ニッチ市場で高収益を維持する電子部品メーカー

2019年08月14日
岡三オンライン証券株式会社

【業界図鑑】電気機器業界 ~ ニッチ市場で高収益を維持する電子部品メーカー

2018年にはファーウェイのスマートフォン世界シェアは15%程度となり、アップルに追いついた。年末より本格化した米中貿易摩擦により、ファーウェイなどに販売している日本の電子部品メーカーの株価が大きく下落した。しかし、株価の回復も比較的速かった。投資家からも競争力の高さが評価されていることが伺える。

1. 電子部品では高シェアを維持

液晶パネル、DRAM、DVDプレーヤー、携帯電話などは、かつて日本が世界をリードしていた。電子情報技術産業協会(JEITA) の統計によれば、2018年の電子情報産業における日本メーカーの世界シェアは、12%まで低下している。2010年には21%だったことからも、この10年弱の落ち込みは激しい。しかし、電子部品に限定すれば、2018年は38%であり、2010年の40%の水準を維持している。

2. スマホ向け鈍化でも部品全体は堅調

ここ最近はスマートフォンの販売台数が鈍化していることが話題となっている。スマートフォン依存度が高い電子部品メーカーは、経営戦略の変更を余儀なくされている。しかし2019年の市場見通しは、あまり悲観することはなさそうである。部品全体を見れば堅調に推移する可能性が高いからだ。IoTや車載向けに需要拡大が見込まれる。

日系企業の世界生産額推移(円ベース)

出所:JEITA「電子情報産業の世界生産見通し」

3. ニッチ市場で高シェアを維持

日本の電子部品メーカーには、営業利益率が20%超の企業が多い。そうした企業はニッチ市場で高いシェアを維持し続けている。日本の最後の砦ともいわれる電池産業と共に、今後も競争力の維持が望まれている。しかし、部品メーカーも今後はどうなるか分からない。加工メーカー同様、アジアメーカーの台頭もありうるからだ。電気自動車の業種を超えた再編の機運もあり、部品業界にも垂直統合の動きが出てくれば、規模の大きい加工メーカーや、別のニッチ市場に強みを持つ部品メーカーと統合する可能性もあるだろう。

4. 電子部品関連銘柄

コード 銘柄名 概要 終値
(8/14)
注文画面
6594日本電産HDDモーターなどが強く、IT向けモーターで世界首位。車載、産機など中大型向けへのシフトに注力。13,945
6645オムロン感知、制御を基盤とし、制御機器に強み。車載向けにリレーなどの電子部品を展開。5,110
6770アルプスアルパイン車載向けが売上の6割を占める。車載情報機器が堅調。スマホ向けは北米で不振。1,776
6963ローム車載向けが好調。カスタムLSIで首位。ダイオードにも強い。無借金経営。7,750
6981村田製作所セラミックコンデンサーで世界首位。インダクターやワイヤレス関連、通信モジュールも手掛ける大手。スマホなど通信向けが売上の5割を占めるが、ファーウェイ向け比重は小さい。4,680

著者プロフィール

増井 麻里子(ますい まりこ)氏

株式会社Good Team 代表取締役社長

証券会社、ヘッジファンドを経て、米系格付会社・ムーディーズでは多業界に亘る大手事業会社の信用力分析、政府系金融・国際協力銀行(JBIC)では国際経済の調査を担当。

経済アナリストとして独立し、主に投資家向けのアドバイザリー業務を実施。

2017年6月、株式会社Good Teamの代表取締役社長に就任。

主な執筆・出演に週刊エコノミスト、国際金融、時事速報、Bloombergセミナー、日経CNBCなどがある。

メルマガ「5 分でチェック!世界の経済指標の読み方」(毎週3回程度)配信中。

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