【業界図鑑】その他製品業界 ~スポーツ用品メーカーは中国市場にフォーカス

2019年08月07日
岡三オンライン証券株式会社

【業界図鑑】その他製品業界 ~スポーツ用品メーカーは中国市場にフォーカス

8月2日、スポーツ用品メーカーのアシックスとゴールドウィンが、好決算を発表し、それぞれ通期と上期の業績予想を上方修正した。それぞれ発表した自社株買いと株式分割も好感され、5日には株価が急騰した。しかし、スポーツ用品メーカー全てが好調という訳ではない。明暗を分けているのは何だろうか?

1. 国内市場の成長が鈍化

世界のスポーツ用品市場は右肩上がりに成長している。しかし、日本市場は少子高齢化で特に球技系が頭打ちとなっている。フィットネス市場はここ数年急成長していたが、2018年以降は会員数の伸び率が鈍化している。

<フィットネスクラブの会員数と前年同月比の推移>

出所:経済産業省「特定サービス産業動態統計速報」

2. 世界の中の日本メーカー

世界のスポーツメーカーを見ると、首位のナイキが売上高4兆円規模まで巨大化している。2強の一角と評されるアディダスが続き、3位以下はアンダーアーマー、プーマ、アシックスとなっている。アシックスの売上高は4,000億円規模であり、世界の背中は遠い。日本メーカーのブランド力は高いが、競争激化による広告宣伝費の増加により、総じて利益率は低迷している。

3. キーワードは中国市場とファッション性

アシックスはここ最近業績が良くなかったが、中国のマラソン人口を捉えて「オニツカタイガー」ブランドが成長している。その他、ジバンシィとのコラボレーションを始め、ファッション性を意識していることが伺える。ゴールドウィンも「Speedo × BEAMS」ブランドを出すなど、新鮮さやデザイン性のアピールを怠らない。こうした一般人市場向けのファッション性が好調の秘訣と思われる。

<スポーツ用品メーカー2社の業績推移>

アシックス

ゴールドウィン

注:19/12期または20/3期以降はコンセンサス
出所:岡三オンライン証券-企業分析ナビ

4. スポーツ関連銘柄

コード 銘柄名 概要 終値
(8/7)
注文画面
7906ヨネックスバドミントン、テニスで圧倒的シェアを持つ。テニスの大坂なおみ選手、バドミントンの桃田賢斗選手と契約。中国で直販体制を構築。海外売上高比率は51%。ブランドは「EZONE」「ASTROX」。営業利益率は1.0%。597
7936アシックス国内首位。シューズが売上の8割。ジョコビッチ選手と契約し「GEL-RESOLUTION NOVAK」を市場投入。海外売上高比率は74%。ブランドは「アシックス」「オニツカタイガー」。営業利益率は4.6%。1,504
8022美津濃国内第2位。ウェア、シューズ、競泳、野球も強い。ゴルフビジネス再建に注力。海外売上高比率は30%。営業利益率は4.2%。2,447
8111ゴールドウインスポーツ用品中堅。アウトドア関連が売上の7割。ラグビー市場に積極投資。ブランドは「ザ・ノース・フェイス」「ヘリーハンセン」「スピード」「エレッセ」。営業利益率は10.2%。14,480
8114デサントスポーツウェア大手。アスレチックウェア関連が売上の7割。韓国、中国、シンガポールを中心にアジア全体で好調。バレーボールの石川祐希選手、清水邦弘選手と契約。海外売上高比率は65%。ブランドは「デサント」「ルコックスポルティフ」「アリーナ」「マンシングウェア」。営業利益率は1.5%。1,510

著者プロフィール

増井 麻里子(ますい まりこ)氏

株式会社Good Team 代表取締役社長

証券会社、ヘッジファンドを経て、米系格付会社・ムーディーズでは多業界に亘る大手事業会社の信用力分析、政府系金融・国際協力銀行(JBIC)では国際経済の調査を担当。

経済アナリストとして独立し、主に投資家向けのアドバイザリー業務を実施。

2017年6月、株式会社Good Teamの代表取締役社長に就任。

主な執筆・出演に週刊エコノミスト、国際金融、時事速報、Bloombergセミナー、日経CNBCなどがある。

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