【業界図鑑】サービス業界 ~ 競争激化でもビジネスホテルの開業は続く

2019年07月31日
岡三オンライン証券株式会社

【業界図鑑】サービス業界 ~ 競争激化でもビジネスホテルの開業は続く

国際線航空券の予約は約11カ月前から可能で、早期割引制度は大体6カ月前から適用される。また、出発直前に空港内でアナウンスを流し、割引を条件に搭乗便の変更に応じる客を募集することもある。航空業界では価格差別は当たり前のように行われているが、最近ではホテル業界にもこの動きが出てきている。

1. 宿泊者数は増加

観光庁の宿泊旅行統計調査によれば、2019年5月の延べ宿泊者数は4,812万人泊だった。前年同月比+8.3%と大幅に伸びている。内訳を見ると、日本人は3,917万人泊 (前年同月比+6.9%)、外国人は894万人泊 (同+14.5%) と、外国人が好調だった。

しかし、客室稼働率は63.2%とあまり上がっていない。今年は1月から毎月継続して宿泊者数が大幅に増加しているが、客室稼働率は前年同月比で1~2.5パーセントポイントしか上回っていない。

<施設タイプ別客室稼働率の推移 (2017/6~2019/5) (%)>

出所:観光庁 - 宿泊旅行統計調査

2. 価格差別戦略の背景

ホテル比較サイトのようなプラットフォームが発達したこともあり、顧客を囲い込むことが難しくなっている。顧客にとって、以前は個別のホテルベースで会員登録をすると、割引してもらえたり、チェックインがスムーズになるなどの利便性があった。しかし現在はそのメリットが薄れている。ファン層に訴求するためにも、早期割引制度を採用せざるを得ないのだろう。

早期割引制度は、需要の価格弾力性に注目した価格差別戦略の一種である。出発よりかなり前であれば、旅行者は価格比較をじっくり行えるため、価格弾力性が高くなる。即ち、安いほど需要が増加する。逆に、出発が近づくと、急な出張などの需要があるため、価格弾力性が低くなる。即ち、高くても需要は減少しない。また、直前や当日になれば、ホテル側としては稼働率を最大化する目的で大幅割引をする。稼働率を上げようとすれば単価は上がりにくいが、全体の利潤は大きくなる。

3. 収益性は上がりにくい

客室稼働率を都道府県別にみると、大阪、東京では85%以上となっている。シティホテルに限れば15都道府県が、ビジネスホテルに限れば12都道府県が80%以上だ。宴会場をもつような大型のフルサービスホテルよりも、1泊朝食付きの宿泊に特化したシティホテルやビジネスホテルの人気が高い。ホテル側としても人件費、食料費、光熱費が節約できるため、収益性が高く魅力的だ。民泊との価格競争もあり、平均客室単価は上がりにくいが、今後も宿泊特化型ホテルの開業は続くだろう。

<サービス業のマッピング>

出所:岡三オンライン証券-企業分析ナビ

4. ホテル関連銘柄

コード 銘柄名 概要 終値
(7/31)
注文画面
4681リゾートトラスト会員制リゾートホテル首位。ゴルフ場や老人ホームも運営。健康診断も兼営し、2020年に東京で高級医療施設を開業。1,588
9616共立メンテナンス学生・社会人寮、ホテル事業がメイン。ビジネスホテル「ドーミーイン」や地方旅館、リゾートホテルを運営。4,715
9708帝国ホテル三井不動産が株主保有の3分の1を占める。賃貸ビルが安定収益源。大阪、東京で宿泊も高稼働。2,002
9713ロイヤルホテル大阪の名門。リーガロイヤルホテルを運営。2020年7月京都に宿泊特化型ホテルを開業予定。1,737
9722藤田観光椿山壮などの高級宴会場で有名。ビジネスホテルのワシントンホテルを展開。2021年に台北でビジネスホテルを開業予定。2,733

著者プロフィール

増井 麻里子(ますい まりこ)氏

株式会社Good Team 代表取締役社長

証券会社、ヘッジファンドを経て、米系格付会社・ムーディーズでは多業界に亘る大手事業会社の信用力分析、政府系金融・国際協力銀行(JBIC)では国際経済の調査を担当。

経済アナリストとして独立し、主に投資家向けのアドバイザリー業務を実施。

2017年6月、株式会社Good Teamの代表取締役社長に就任。

主な執筆・出演に週刊エコノミスト、国際金融、時事速報、Bloombergセミナー、日経CNBCなどがある。

メルマガ「5 分でチェック!世界の経済指標の読み方」(毎週3回程度)配信中。

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