【業界図鑑】不動産業界 ~ 伸びしろが大きい近畿圏のマンション投資

2019年04月24日
岡三オンライン証券株式会社

【業界図鑑】不動産業界 ~ 伸びしろが大きい近畿圏のマンション投資

大阪メトロの「日本橋」駅に近い「黒門市場」が、外国人観光客で賑わっている。かつて大阪の台所とも呼ばれ、今ではフルーツから河豚、神戸牛、海鮮焼き、おでんまでが揃う観光名所だ。3月20日発表の2019年公示地価によれば、このエリアは前年比で44.4%も上昇している。商業地として全国2位の上昇率だった。現在、不動産価格において、首都圏よりも割安で伸びしろがあると見られる近畿圏に注目が集まっている。

1. 大阪市の住宅地は東京23区の半分以下

訪日外国人には第2の都市である大阪の人気が高い。東京より街がコンパクトで観光しやすいこと、台湾や韓国で馴染みのある「夜市」に似たエリアがあることが魅力である。ホテル建設ラッシュ、関西国際空港の格安航空増便など、大阪府は観光客誘致に力を入れている。建物の高さ制限も緩和され、高層ビル建設などの再開発計画が進行中だ。

その一方で、地価が首都圏に比べて割安だ。住宅地の平均価格を見ると、首都圏は60.9万円/平方メートルであるのに対し、大阪市は24.2万円/平方メートルと半額以下である。

<主な都市における住宅地の「平均」価格の推移(1986年~2019年)>

出所:国土交通省

2. ワンルームマンションの魅力

東京23区で新築マンションを買うと、ワンルームでも3000万円と高い。一等地であれば簡単に値崩れしないが、割安感はないため、他のエリアへ目を向ける投資家が増えている。不動産も買値が重要であることに変わりはない。大阪市であれば1,000万円台後半から買うことができる。また、平均的な利回りは4%以上ある。東京では物件価格が上がっている割に家賃が上がらず、利回りは4%に届かなくなってきている。

ファミリータイプに比べてワンルームは手が届きやすい価格である。投資家にとっては、回転率が高く、日中に家を空ける居住者が多いことから、老朽化しにくいことも魅力だ。

3. 金利上昇停止の追い風

日銀は、出口戦略として金利の正常化を目指していた。しかし2019年に入り、米連邦準備理事会 (FRB) と欧州中央銀行 (ECB) が相次いで年内利上げ休止を発表。日銀も金利引き上げから緩和維持へと向かい、相場の潮目が変わった。したがって、投資家や消費者の新築マンションへの購入意欲が高まると見られる。住宅ローンは引き渡し時の金利が適用されるため、購入時よりも見通しが重要だからである。現在、製造業において参入障壁の強みを失いかけている日本は、海外との価格競争へと向かいつつある。働き方改革も加わり、賃金が上がりにくいため、若年層がワンルームマンションに投資をする時代になっていくのではないだろうか。

<不動産会社のマッピング>

出所:岡三オンライン証券-企業分析ナビ

4. 近畿圏不動産関連銘柄

コード 銘柄名 概要 終値
(4/24)
注文画面
3241ウィル関西地盤の不動産会社。自社開発分譲で物件数増加。仲介業やリフォームにも注力。293
3242アーバネットコーポレーション投資用ワンルームマンション専業。前期630戸から今期は800戸に拡大見込み。343
3254プレサンスコーポレーション関西地盤。投資用ワンルーム、ファミリー向けの開発と販売を展開。1,352
3284フージャースホールディングス首都圏発で全国展開。独立系マンション販売だけでなく、戸建てにも注力。653
3293アズマハウス和歌山地盤の総合不動産会社。不動産建設が主力で、土地・建物の自由分割・設計に特徴。大阪地区の売上が2桁成長。1,520

著者プロフィール

増井 麻里子(ますい まりこ)氏

株式会社Good Team 代表取締役社長

証券会社、ヘッジファンドを経て、米系格付会社・ムーディーズでは多業界に亘る大手事業会社の信用力分析、政府系金融・国際協力銀行(JBIC)では国際経済の調査を担当。

経済アナリストとして独立し、主に投資家向けのアドバイザリー業務を実施。

2017年6月、株式会社Good Teamの代表取締役社長に就任。

主な執筆・出演に週刊エコノミスト、国際金融、時事速報、Bloombergセミナー、日経CNBCなどがある。

メルマガ「5 分でチェック!世界の経済指標の読み方」(毎週3回程度)配信中。

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