【業界図鑑】情報・通信業界　～ 海外で好調なインターネット広告事業

インターネット普及率は、経済発展度合いや民主主義度を測る手がかりとして、政治経済分析においても注目すべき指標となっている。2017年の日本のインターネット普及率は80.9％ (前年比-2.6％) だった。新興国はまだ4割程度と成長余地があり、日本のインターネット広告業者は海外で業績を伸ばし続けている。

電通のデータによると、2017年の日本の総広告費は、6兆3,907億円 (前年比+1.6％) と6年連続でプラスだった。新聞、雑誌、ラジオ、テレビの「マスコミ四媒体広告費」は、2兆7,938億円　(同－2.3％) と3年連続で縮小。一方、インターネット広告費は、1兆5,094億円 (同+15.2％) と2桁成長を続けている。地上波テレビに限れば1兆8,178億円であり、インターネットが追い抜くのは時間の問題と見られる。

総務省によれば、日本のインターネット人口普及率は、13歳～59歳の各年齢階層において既に９割を超えている。利用者数には頭打ち感が出ているが、広告費市場はまだ伸びるだろう。理由としては、文字・画像だけでなく、動画・音声などを含む「リッチコンテンツ化」が進むこと、検索キーワードに関連した広告を自動表示する「検索連動型広告」やユーザーが訪問したサイト情報をブラウザに記録し、その行動傾向を分析して広告を自動表示する「行動ターゲティング広告」がより進化することが挙げられる。

出所：総務省「平成２９年通信利用動向調査」

We Are SocialとHootsuiteは、世界のインターネット人口が40.21億人 (前年比＋7％) になったと発表した。普及率は53％。アフリカでは依然として低いが、東南アジアでは急速に浸透が進んでいる。

出所：We Are SocialとHootsuiteによる「Degital in 2018」

前述のとおり、広告配信の技術が高度化しており、フルスピードやジーニーといった「アドテクノロジー」の企業が存在する。広告業全体でも電通、博報堂に続くポジションにつけている大手のサイバーエージェントは、「ネット広告代理店」に分類される。広告枠を広告主に販売することで収益を得るビジネスモデルだ。しかし同社は、広告営業機能の強化にも注力している。同社が運営する「アメーバブログ」は、2018年12月に利用規約が改定され、いわゆるアフィリエイト (商品やサービスの販売、宣伝) が可能となった。
「アフィリエイト」業者は、ユーザーによる商品・サービスの申し込みがあった場合に報酬を支払う。インタースペースやアドウェイズが有名だ。2018年6月、消費者庁がアフィリエイトも景表法の不実証広告規制の対象となるという判断を下した。これによって売上が減少した業者もいるが、東南アジアなどでは業績が好調に推移している。

出所：岡三オンライン証券－企業分析ナビ