2019年01月16日
岡三オンライン証券株式会社
【業界図鑑】小売業界 ~「新時代の百貨店」に向けて試行錯誤が続く
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10年前に統合が相次ぎ、その後インバウンド需要に支えられてきた百貨店業界。ここ最近は、改装オープンが話題となることが多い。既存店がこれまでと異なるフォーマットで、次々と生まれ変わっている。新時代の百貨店はどこへ向かっているのだろうか?
1. 衣料品の売上が低迷
2017年の商業動態統計によれば、百貨店販売額は6.5兆円で、そのうち衣料品が2.8兆円と43%を占めている。衣料品販売額はピークだった1991年の6.1兆円の半分以下となっている。百貨店業界は、リーマンショックでさらなる打撃を受け、業界再編を余儀なくされた。その後も、ブランド衣服のテナントが路面店に統合されるなど、衣料品売り場の縮小が続いている。
<百貨店商品別販売額の推移(1990年~2017年)>
2. 免税品、化粧品、高額品頼み
良品廉価な衣料品メーカーの登場もあり、今後衣服の売上が復活する見込みは少ない。訪日外国人の衣服の好みは、シルエットなどにおいて日本人と微妙に異なる。2013年以降は、免税品や化粧品や時計・宝飾品などの高額品の販売が好調に推移しているが、地方店舗にはその恩恵が回らず、いまだに閉店などの構造改革は続いている。生き残りを目指す店舗は、良品廉価な家具チェーン店を導入したり、食料品売り場を拡大したりしている。また、フィットネス、エステ、リラクゼーションなどの「コト消費」を取り込むためのサロンにも注力し始めた。
3. 試行錯誤はまだ続く
都会では店舗改装が続いている。化粧品や時計などの販売スペースが拡大し、食料品は売り場拡大だけでなく、その場で飲食ができるスペースができている。また大手百貨店は、EC事業、カード事業、不動産事業により一層注力するだろう。昨年はお歳暮のオンライン販売が好調だった。また、J・フロント リテイリングにおいては、GINZA SIXなどのオフィス賃料収入が順調に推移しており、このモデルは当面失敗の可能性が少ないとみられる。
三越伊勢丹HDは、昨年夏から期間限定でドレスシェアリングのサービスを提供した。秋に改装オープンした三越日本橋本店では、コンシェルジュを配置し、デジタル端末に顧客の情報を入力させるなど、顧客の囲い込みを狙っている。しかし、現場の負担もあり、この試みはまだうまく機能しているとは言い難いようだ。
<百貨店大手3社の業績推移>
J・フロント リテイリング

三越伊勢丹ホールディングス

高島屋

注:19/2期または19/3期以降はコンセンサス
出所:岡三オンライン証券-企業分析ナビ
4. 百貨店関連銘柄
著者プロフィール
増井 麻里子(ますい まりこ)氏
株式会社Good Team 代表取締役社長
証券会社、ヘッジファンドを経て、米系格付会社・ムーディーズでは多業界に亘る大手事業会社の信用力分析、政府系金融・国際協力銀行(JBIC)では国際経済の調査を担当。
経済アナリストとして独立し、主に投資家向けのアドバイザリー業務を実施。
2017年6月、株式会社Good Teamの代表取締役社長に就任。
主な執筆・出演に週刊エコノミスト、国際金融、時事速報、Bloombergセミナー、日経CNBCなどがある。
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