武部力也の週間為替相場見通し(3/29週号)

2021年03月26日

「バイデン・一丁目一番地政策」をドルが考察する局面

ドル円予想レンジ 108.00-110.50円

「Yellen says tax rises needed to fund Biden infrastructure plan(イエレンは、バイデンのインフラ計画に資金を提供するために増税が必要だと発言)」-。これは3/24英経済紙一面の見出しだ。バイデン米大統領が1.9兆ドル(約210兆円)の大型コロナ救済追加経済対策法案を署名したのは3/11・・。それから僅か2週間後に浮上したのがインフラ投資を中心にした第2弾の景気浮揚策だ。3/23の米紙は「3兆ドル(約330兆円)に達する」との観測を報じたが市場がまずは興味を示すのが、その是非ではなく実際の財政出動規模、財源をどこから捻出するのか、となる。それを受けた格好でイエレン財務長官は増税の必要性を堂々と示したのだ。

増税か、赤字米債増発か

第2弾の景気浮揚策は、インフラ投資(道路、橋、下水、空港、港湾、鉄道、電力など)、教育、雇用、気候変動、そして高速通信規格「5G」の基盤整備など幅広い分野だ。大統領選挙期間中のバイデン公約だっただけに、第2弾こそバイデン大統領にとっては”一丁目一番地の政策”と言えそうだ。                      
そして市場焦点は、その「規模」と「財源」となる。規模としてまずは「3兆ドル説」が打ち上げられたが関連支出総額は最大で4兆ドル超の可能性も報じられ、民主党内の意見統一、共和党との調整や駆け引きも含めた現実性が今後は問われよう。                
では財源は何か。ひとつは連邦法人税率の21%から28%への引き上げ、海外へ拠点を移した米企業への罰則的な税制などか。3/23米下院金融委員会の公聴会でイエレン財務長官はそうした考えを表明している。実は法人税率引き上げの考えは1/19の上院財政委員会で次期米財務長官に指名されての公聴会において既に示している。内容は米企業の海外収益に対する課税強化や高所得者・富裕層を対象とした増税だ。米国生産への税控除、海外生産への懲罰税、としたアメと鞭を新設する可能性もあるが別途、株式売買益等への課税案が強まるようだと金融市場への影響は必至か。                             
もうひとつは米債発行で財源を補う可能性である。やはり前出の1/19指名公聴会においてだが、イエレン氏は超長期債である50年債の発行を検討する考えを示しているのだ。米財務省は2月末時点の米債務残高を27.9兆ドルとし、これに新型ウイルス感染症COVID-19救済法案(1.9兆ドル)の成立が加わり、足元、30兆ドル規模に達しているのは間違いない。これに第2弾の景気浮揚策としたインフラ投資目的の赤字米債が加わることとなる。
市場織り込みの時間が浅いが教科書的には赤字国債増発は米債価格を下落させ金利上昇、となる。米長期10年債利回りの2%突破という展開も考えると相応のドル買い支援圧力となろうか。1ドル110円超えは一通過点、とした見方も浮上する可能性だ。
財政支出は既に「大盤振る舞い」様相でもあり、財源確保に向けては増税論議より米債増発論議への傾斜強まりにドルは警戒を覚える局面となりそうだ。

3/29週の先読みポイント

筆者警戒は1点。3/29週は本邦勢から月末・期末・年度末とした駆け込み的な需給が持ち込まれ易く、思わぬ円転、円投が強まる時期であること。一方、欧米勢はイースター(4/1-5前後:復活祭)、チャイナ勢は清明節(4/4-6:祖先供養)、中東勢はラマダーン(4/13~断食月)を後日に控えた時期でもあり、市場流動性が低下している際での持ち高調整は急変動を強める可能性となろう。前号で問題視したFRBの金融機関向け補完的レバレッジ比率の条件緩和に関しては3/31で緩和優遇打ち切りとなった。そうなると自己資本比率の規制遵守から金融機関はバランスシートの債券保有を減らす調整が迫られる。米債保有縮小・売却が長期金利上昇に繋がり易くなった点も留意しておきたい。

3/29週ドル円焦点

上値焦点は3/15高値109.37。超えれば昨年6/8高値109.70、6/5高値109.865、そして各種オプション設定が想定される節目110.00の攻防か。超えれば3/26高値111.24からの下落場面で売買が交錯した110.90、110.50、110.10-20が想起され、111円台へのアプローチが警戒されよう。
下値焦点は3/24安値108.445、3/23安値108.395、3/11安値108.35、3/10安値108.325、3/8安値108.285。割れたら108.00維持、3/5安値107.81。

出所:岡三ネットトレーダープレミアム

※岡三オンライン証券の対東京金融取引所(くりっく365)における買い比率
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