武部力也の週間為替相場見通し(3/22週号)

2021年03月19日

ドル一段高か。1ドル110円の理由を考察する展開

ドル円予想レンジ 107.80-110.50円


「the US could see full employment next year.(来年は完全雇用近くに回復すると期待している)」-。これは3/14のテレビ番組におけるイエレン財務長官発言だ。3/11にバイデン大統領は1兆9000億ドル(約200兆円)規模の新型コロナウイルス経済対策法案に署名し、同法は成立。イエレン財務長官は同法の意義と効果を強調した格好だ。

3/15週の振り返りポイント

市場はこれを踏まえてバイデン政権下での財政支出拡大、米債増発での米債利回り上昇圧力を3/17のFOMC米連邦公開市場委員会、そしてパウエルFRB議長がどのような見解を示すかを焦点とした。
結果、FOMCは金融政策を明示的に変更することはなく、ゼロ金利と量的緩和は維持。
パウエルFRB議長も従前通り、金利上昇は経済再開や経済成長への市場の期待の表れとした姿勢を崩さず、当面は静観する構えだ。大部分のFOMC委員は利上げを見込んでおらず、インフレの一時的な上昇は利上げを正当化しないとして早期利上げに否定的な見解も示した。同局面でドルは対主要通貨で急落、全面安となっている。

3/22週の先読みポイント

筆者が警戒しているのは3点。
一点目は米連邦政府とFRBの積極的な支援策により、経済に対する最悪の影響は回避されたとの認識をパウエル議長が示し二人三脚ぶりを強調したこと。要は引き続き慎重な姿勢を持続させ想像以上にハト派な印象を示したことだ。米金利上昇を歯牙にもかけないように映る。
しかし二点目として真逆な事象を挙げておきたい。それは3/17に債券市場関係者や金融機関の財務担当らが注目していた自己資本規制の一つである補完的レバレッジ比率(Supplementary Leverage Ratio:SLR))の除外措置緩和についてである。同措置の期限は3/31。金融機関は資本を積み増す必要に迫られることなく、米債ポートフォリオを増やすことが可能になっていた。これに関してパウエル議長は言及を避けており一部観測では金融規制派となる民主党左派のエリザベス・ウォーレン上院議員らが延長反対を表明しており、FRBは最終判断を先送りしているとした見方である。
延長されなければどうなるか。当然、自己資本比率の規制遵守目的に金融機関はバランスシートの債券保有を減らす調整が迫られ、米債購入減、または米債保有縮小での売却が余儀なくされ、長期金利に更なる上昇圧力が現況以上に強まる可能性となる。パウエル議長も流石に急ピッチな長期金利上昇によって米株安や不本意なドル高を招きかねない状況は米経済に看過できない負の影響があるとしてイエレン財務長官にすがる可能性が高い。反対派にしてみれば政治信条に関わることでもありバイデン政権・民主党内発とした観測報に警戒と考えている。
3点目は3/15に米財務省が1月の対米証券投資統計を公表したことだ。米債利回りが上昇する中、日本からの買い増しが指摘されており国別の米債保有高は日本が首位とされる。1月における日本の米債保有残は1兆2760億ドル。前月の12月は1兆2510億ドルだったから250億ドル増加とした計算だ。恐らくこの流れは2月・3月も継続している、とも読み取れ、足元では米債購入のためのドル買い需要も対円相場での下支え、と指摘可能なのではないか。実質金利上昇を伴う長期金利上昇がドル高を招くことから、引き続きドル円の堅調性を見込んでいる。

3/22週ドル円焦点

上値焦点は3/15高値109.37。超えれば昨年6/8高値109.70、6/5高値109.865、そして各種オプション設定が想定される節目110.00の攻防か。超えれば3/26高値111.24からの下落場面で売買が交錯した110.90、110.50、110.10-20が想起される。
下値焦点は3/12安値108.505、3/11安値108.35、3/10安値108.325、3/8安値108.285。
割れたら108.00維持、3/5安値107.81。

出所:岡三ネットトレーダープレミアム

※岡三オンライン証券の対東京金融取引所(くりっく365)における買い比率
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