武部力也の週間為替相場見通し(1/11週号)

2021年01月08日

米大統領就任式前の「ドル反乱」に警戒する局面

ドル円予想レンジ 102.00-104.10円

「ドル安という表現が正しく、結果として円が高くなっている」-。これは昨年11月の参院財政金融委員会における麻生財務相の答弁だ。過去号でも示したが確かに市場参加者も共有する感覚である。事実、複数の主要通貨に対してドルの総合的な価値を示す指標ICE U.S. Dollar Indexでも2018年1月以来の89域に達しており他通貨においてもドル下落は顕著だからだ。しかし、ドル安だから円高も仕方がない、では菅政権への批判が更に高まり、無策の誹りも免れないだろう。1/7に菅首相が緊急事態宣言発令について会見したが新型コロナへの対応が不十分だ、とした評価は昨年12月末での報道各社世論調査で相次いで40%を下回る支持率低下で示されている。一部の永田町関係者に言わせれば来年度予算成立後解散での4月選挙や、会期末解散による7月の衆院と都議選のダブル選論など「コロナ退治」と「経済回復」、そして「政局睨み」も含めて失点は避けたい筈。そうなると約30年ぶりの日経平均株価や企業の業績を明確に圧迫、下落へと引きずり込む円高、象徴的な1ドル100円割れ、は菅首相が忌避するキーワードとも読めるのではないか。

■「円高抑制」VS「ドルの反乱」■

焦点は2つ。一つはつい先日まで財務省、金融庁、日銀による3者会合が昨年7月以降開催されていなかったが1/7の緊急事態宣言を大義としたか、3者会合がなされたことだ。岡村財務官は「市場の安定は極めて重要」「政府、日銀は経済動向を注視する」として事実上の牽制をしている。本来なら急変動やヒステリックな円高、円フラッシュクラッシュ、とした事象が起こらない限り“3者”の市場牽制はし難い筈だ。しかし水準感を意識したこと、円高抑制に動かざるを得なかったことが逆に浮かび上がった格好だ。FRBのゼロ金利金融政策継続の副産物がドル安、とするなら米国の内政事情と金融政策、ファンダメンタルズに沿った通貨安は至極当然で、麻生財務相の「円高ではなくドル安」はまさに至言となる。次回、日銀金融政策決定会合1/20-21では円安浮揚の行動を期待するもFRBに対抗して結局は金融緩和政策を更に深掘りするしかない。従っての「3者会合・牽制」と言えようか。
二つ目は俄かに変化したドル事情だ。1/5の米南部ジョージア州上院選挙で民主党が勝利。これを以て米連邦議会は下院に次いで上院も民主党が多数派を奪還。周知、1/20からは民主党バイデン政権が発足することで「トリプルブルー(青色は民主党のシンボルカラー)」となった。つまり、民主党の思い描く経済政策(大統領選挙戦時のバイデン政策公約では向こう10年で5.6兆ドル支出が見込まれた)が、進展する可能性から歳出膨張、財政赤字拡大が現実的になったのである。事実、1/5の米10年債金利は“ジョージア州上院選挙・民主党優勢”の報から1.05%まで上昇(債券価格は下落)し、1/8時点では1.08%示現。財政赤字拡大を補うのは米債増発と見込まれたからだ。そしてイエレン次期財務長官とタッグを組むパウエルFRB議長がファイナンスとして米債購入を膨らませることとなろう。問題はその後である。1/7にシカゴ地区連銀エバンス総裁は2024年まで政策金利をゼロ%近辺にとどめる公算を示した。景気や労働市場の改善、インフレ率2%に戻すには相当な時間を要するからだ。つまり今後のテーマは米経済の成長を促すためにも長期金利上昇を効果的に抑制するとしたイールドカーブ・コントロール政策や長期にわたるゼロ金利が有用としたフォワードガイダンスの強化を示す可能性である。そうなると短期的には米債価格下落に伴う米金利上昇に則したドル高もFRB政策が金利上昇を抑え込むとした姿勢が改めて浸透すれば必要調達以上のドル買い投資妙味は低減しそうだ。結局はドル安、とした基本認識に回帰するとも読める。
敢えてもう一点加えるなら1/6の米連邦議会・上下両院合同本会議において次期米大統領選挙の結果を最終手続きすべく選挙人投票集計が行われたが、その米連邦議会に暴徒(トランプ大統領の熱狂支持者や急進左派や極右系も加わっていたとの説も)が乱入し議事堂を占拠したことだ。この騒動を巡っては、トランプ大統領の責任を問う形で権限を委譲する憲法修正第25条の適用を求める声、または暴動を扇動したとする弾劾法案への動きを民主党が見せている。一連の騒動は収束する見込みだがしかし死亡者が複数人発生するなど、米議会が血塗られたことで1/20の米大統領就任式も沈鬱なムードや就任式での不測な事態も警戒されよう。バイデン政権誕生後の中長期観測としてはトランプ大統領の逮捕や訴追、2年後の中間選挙や2024年の大統領選挙に向けた思惑も排除できないのではないか。バイデン次期米大統領は議事堂占拠を「ほとんど反乱」と演説したがドルに対しても信認性の後退ならぬ反乱急落になり得るとした警戒も抱いている。

1/11週ドル円焦点

上値焦点は1/7高値103.965。超えれば2020/12/15高値104.16、12/11高値104.28で日足雲帯下限104.195突破力が試される。超えれば12/10高値104.59、12/2・11/24高値104.75-77。下値焦点は本年1/7安値102.95、1/5-6安値圏102.60。割れると3/9東京市場安値101.60、そしてロンドン市場安値101.17示現後に上昇し3/9深夜から3/10早朝に向けての約9時間停滞した102.00-40価格帯を中間緩衝値として意識。

出所:岡三ネットトレーダープレミアム

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