武部力也の週間為替相場見通し(11/23週号)

2020年11月20日

円が身構える「バイデン政権・財務長官」発表場面

ドル円予想レンジ 103.15-105.50円

「USA!」「4 more Years(あと4年)!」-。これは11/14、首都ワシントンで行われた共和党トランプ大統領の支持者による大規模な抗議デモで叫ばれた歓声だ。トランプ氏は依然、敗北を認めず、不正投票が行われたと主張。法廷で争う構えを示し続けているが11/16に茂木外相は「選挙結果がひっくり返るということはないと思っている」と言及。内外の政治・経済はすでにバイデン氏が次期米大統領として政権を樹立させる、とした見方を加速させている。一方で米世論の二分化と分断による混乱も警戒しているのか11/17には菅総理と来日中のモリソン豪首相は日豪共同声明を署名。安全保障・防衛協力・経済安全保障の強化を図り日豪円滑協定に向けた動きを強めている。海外では“Security treaty”“military defence pact”、とした報じ方が多数で要は日米安保条約に続いて日豪同盟条約とした捉え方だ。日本政府の政治外交は米政権への完全依存から多様化を模索しているようにも映る。(参照:11/17付け外務省・日豪首脳会談)

次期財務長官候補に浮上したイエレン前FRB議長

複数米報はバイデン氏が重要閣僚の人事選定を進めている、と伝え、11/19の記者会見では次期財務長官候補を選定したことを明らかにし、11/26感謝祭の頃から具体的に発表される方針だ。ドルへの依存から抜けきれない円が身構えるのは当然、次期財務長官は誰か、である。筆者も過去号では金融規制派のエリザベス・ウォーレン上院議員、イールドカーブ政策検討提案のハト派で民主党員でもあるラエル・ブレイナードFRB理事、そしてラファエル・ボスティック地区連銀(アトランタ)総裁を挙げた。しかし最近更なる候補として浮上したのが元財務副長官でFRB理事も務めたサラ・ブルーム・ラスキン氏と元FRB副議長のロジャー・ファーガソン氏、そして遂に大物起用の可能性として報じられ始めたのがジャネット・イエレン前FRB議長である。民主党・クリントン政権時は大統領経済諮問委員会CEAの委員長を務め、同じく民主党・オバマ政権時は100年のFRB史上初めての女性議長としてイエレン氏が就任した。共和党トランプ大統領との対立から1期4年で退いたが民主党政権との相性は良好であり経験の豊富さは他候補と比して群を抜いている。金融政策に関してはインフレ抑制より成長重視の柔軟なハト派。財政刺激策の効果を重視するタイプだ。ノーベル経済学賞受賞者で夫でもあるジョージ・アカロフ氏と同様な考えであり、また同氏から影響を受け、同様にノーベル経済学賞を受賞し「S&Pケース・シラー住宅価格指数」を作ったことでも有名な論客ロバート・シラー氏ほかウォール街も未知な候補者と比すれば格段の支持を示しそうだ。11/16に同報道を問われたイエレン前議長は「I don't have anything for you on that I'm sorry(それに関しては何も話すことはないです)」「It's for other people to decide, I think(それは他の人が決めることです)」、と回答を拒絶。煙に巻いた格好だが全面否定ではなさそうだ。その他の候補者を再確認するならほぼFRB関係者で実務経験があり慎重にして市場対話力も高い。そして女性かアフリカ系米国人、とした多様性での人事も伺われ、世論や議会承認も念頭とした政治的配置をバイデン次期大統領は考察している可能性だ。逆に市場がもっとも警戒するのは過去の踏襲を断絶させ、規制を強化するなどの政策である。そうなると急進左派の代表格であるエリザベス・ウォーレン上院議員以外なら次期財務長官発表時での市場急変動はある程度抑制される可能性で読めそうだ。 

11/23週ドル円焦点

上値焦点は11/17高値104.60、11/13・16高値圏105.14-15。日足雲帯(105.26-52)を仰ぎ、11/12高値105.49、11/11高値105.68、10/20高値105.76を意識。下値焦点は11/18安値103.64、11/6・9安値103.165-185と同安値示現後に上昇を強めた起点103.50圏。 3/12安値103.07や103円台維持失敗だとオーバーシュート警戒として3/11安値102.01後に上昇して約9時間停滞した102.00-40価格帯が意識され易い。

出所:岡三ネットトレーダープレミアム

※岡三オンライン証券の対東京金融取引所(くりっく365)における買い比率
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