武部力也の週間為替相場見通し(10/19週号)

2020年10月16日

「次期米大統領」でのドル円シナリオ準備局面

ドル円予想レンジ 104.40-106.00円

「経済の再生は引き続き政権の最重要課題です。金融緩和、財政投資、成長戦略、三本を柱とするアベノミクスを継承して、今後とも一層の改革を進めてまいります。政権発足前には1ドル70円台、株価は8,000円台で、企業が日本で経済活動を行えるような状況ではありませんでした」-。これは2020/9/16の会見で述べた菅首相の覚悟だ。第99代内閣総理大臣に指名をされた同日は「安倍政権が進めてきた取組をしっかり継承して、そして前に進めていく、そのことが私に課された使命です」、とも明言。円高株安が日本経済を圧迫する、とした菅首相の認識が改めて詳らかになった場面だ。

2016年米大統領選挙後のドル円

2016/11/9、米大統領選挙の結果で「トランプ氏勝利」が伝わると、「トランプ・ショック」となり東京市場では1ドル106円台から約4円幅の円高、日経平均株価は一時前日終値から1000円超の下落となった。当時、トランプ氏の掲げた「米国第一主義」に怯え、動揺した結果である。しかし、翌日には前日の下落分を取り戻し、その後は一本調子で日経平均株価は上昇。ドル高円安も進行するなど、いわゆる「トランプラリー」と言われた局面に転じていった。背景は何か。振り返ると当時のトランプ公約が35%から15%への法人税減税、そして最低5000億ドルのインフラ投資拡大を掲げたことで、株式市場が先行して好感視したことは否めない。一方で大幅な財政拡張、財源不足が明確となり政府債務残高が一段と拡大する可能性から米国債価格は急落し米10年債金利は11/9時点の1.70%台から1週間後は2.3%台へ上昇。米長期金利上昇がドル買いを支援し1ドル110円台へ押し上げた。米大手企業の海外利益に対する大規模減税導入もドル買い送金を強め、11月末終値は1ドル114円台、12月は高値118円台を示現した。無論、当時と現在は取り巻く環境が激変しており単純比較はできない。但し、当時のドル円への影響を紐解き、今般の相応のシナリオは描いておく必要がありそうだ。

2020年米大統領選挙後のドル円

例えばバイデン前副大統領の勝利を確信し、米連邦議会選挙でも上院議席も民主党が多数奪還する、との前提で考察しよう。前提が確定となれば上院・下院とも民主党が実権を握り、ねじれは解消される。青色に象徴される民主党が“大統領・上院・下院”の“トリプルブルー”の達成を成す。その場合、経済対策は共和党案より拡大する可能性が高まるか。
財政刺激策の規模拡大に加え、気候変動対策、社会福祉対策等の支出が増え、政府債務残高の拡大懸念が一層強まれば、米債価格への圧迫を高め、米債金利の更なる上昇を呼び込むこととなる。ドル高誘引か。バイデン勝利のシナリオを10/2東京市場午後のトランプ大統領新型コロナ感染、陽性判明を起点としてイメージするなら米10年債金利は0.65%から10/10には0.80%目前まで上昇した経緯で想定する。その途中となる10/5にトランプ大統領は早々に退院姿を見せたがトランプ陣営、共和党不利、劣勢挽回に至らず、と読まれたかもしれない。(注:10/15時点では0.70%に米10年債金利は下落。トランプ陣営巻き返し、との読みか)但し、4年前のようにドル高が一本調子で進むかと言えば、忘れてはいけないのが現在の金融政策とパウエルFRB議長の存在となる。「Average Inflation Targeting(平均インフレ目標)」、つまりは暫くの間、2%をやや上回る程度のインフレ率を目指す、2023年以降も暫くは実質ゼロ金利を継続するとの思考だ。そして長期金利が大きく上昇し、景気回復に水を差す可能性を排除、抑制するためには量的緩和策(QE)の深掘り、例えるなら日銀のように債券買い入れ枠を拡大し、イールドカーブの上方シフトを抑制する可能性が高いことだ。事実、9/31にクラリダFRB副議長は、「利回りの抑制や目標化は現在の環境では正当化されないが、将来に状況が著しく変化した場合に見直すことができるよう、FOMCは選択肢として残しておくべきだ」とその可能性を示唆しており、米債長期金利の上昇が顕著となれば黙認するとは到底思えない姿勢となる。つまり金利上昇によるドル上伸も早々に終息するのではないか。そして9/21、9/28週号で指摘したように連邦準備改革法(Federal Re-serve Reform Act)の「最大限の雇用(maximum employment)」「物価安定(stable prices)」とした二つの責務に「人種の平等(racial equity)」を足すべきとした“トリプルブルー”の圧力が実現化されれば将来、緩和・ゼロ金利政策を解除するにも人種別に雇用回復の遅延が指摘されるようだとFRBの金融正常化判断は政治に阻害される恐れが強まるだろう。FRBは数年間、現策から脱せず、ドルブル派の失望を強めるのではないか。ドル安、ドル売りである。
対して、冒頭で紹介した通り、菅首相の覚悟も明白。政府・日銀との一体感は市場対話を以て円安、円売りを具現化し続けることとなろう。結局はドル売りVS円売りの綱引きか。

10/19週ドル円焦点

上値焦点は10/12高値105.715、10/7-8高値圏106.10-12、9/10-14高値圏106.175-30、9/7-8高値圏106.39-40、9/3-4高値圏106.52-56。超えたら8/28高値106.955、8/13-14高値圏107.05-06期待。下値焦点は10/14安値105.03、トランプ大統領コロナ感染ショックの10/2安値104.93、9/23安値104.905、9/22安値104.40意識。104円台前半からは104円台維持とした牽制が7-9月期において政府・通貨当局・日銀から複数回示されたことを留意しておきたい。

出所:岡三ネットトレーダープレミアム

※岡三オンライン証券の対東京金融取引所(くりっく365)における買い比率
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