武部力也の週間為替相場見通し(9/7週号)

2020年09月04日

「菅首相誕生」の可能性に円が安堵する展開

ドル円予想レンジ 105.50-107.50円

「Shinzo Abe to step down as Japanese prime minister(日本の安倍晋三首相が辞任)」-。これは週末8/28午後2時過ぎに海外に報じられた安倍首相辞任の第一報だ。東京外為市場ドル円相場では7年8ヶ月もの長期政権を担った安倍首相退陣≒アベノミクス終焉≒アベグジット、とした連想からAIアルゴ取引が発動。第一報時の午後2時頃は1ドル106.70水準だったが思惑と投機的動きは円買い買い圧力を増幅させた。夕刻に安倍首相が正式な辞任表明を示すと同日夜には1ドル105円前半までドル売り円買いが強まっている。

安倍首相の継承者に円は安堵

週明け8/31、安倍政権の各政策を支えてきた菅官房長官が安倍首相の継承者としてもっとも適任との声が自民党内で強まり、多数派閥の支持が集まった。9/2には遂に自民党総裁選への出馬を菅官房長官は正式に表明。事実上、次期首相の名乗りを上げている。経済政策について、記者から異次元の金融緩和や積極的な財政政策などアベノミクスを引き継ぐのか問われると、為替や株価が政権交代前と比べて改善されたと効果を主張。「私自身はアベノミクスというものをしっかりと責任を持って引き継いで更に前に進めていきたい」と明言し、自身を持って継続していく姿勢を示した。 つまり次期首相最有力候補に躍り出た菅義偉官房長官の経済構想は“アベノミクス”そのものであり“スガノミクス”、としたテイストは一切感じられなかった。アベノミクスを含めた安倍政権の政策を継承し前進させると強調、そして大規模金融緩和を進める日銀との関係も引き継ぐと語った。政府と日銀の一体感を示したことで市場の不安は一掃された格好だ。

「菅首相誕生」の場合の為替政策。今後の円

自民党内総裁選挙や臨時国会召集での首相指名を控えるものの本稿では菅首相誕生を前提に今後の経済政策、特に為替政策を考察したい。そこで掘り起こしたのは2016/12/27の日本経済新聞インタービューに対する菅官房長官の見解だ。「私の重要な危機管理の一つに為替がある。財務省、金融庁、日銀による3者会合を開かせている。日本企業が間違いなく国内で経済活動できるような環境をつくる」「為替に関しては(トランプ相場で)黙って(円安に)なったと言われるが、私たちが為替の危機管理をちゃんとやっているからだ。今まで日本は翻弄されてきた」「(具体的な対応については)そこは色々と。私たちの為替への意識は強く、中途半端な決断ではない」-。菅首相誕生の場合の為替政策はこれに尽きるのではないか。“為替、危機管理怠らず”、の姿勢だ。政治スタイルは従前通り、官邸主導で関連省庁から情報を吸い上げ、不測の円高には粛々と対応すると思われる。日銀黒田総裁、そして雨宮・若田部の両副総裁にも全幅の信頼を寄せデフレから脱却して持続的な成長を目指すという政府との共通目標も不変となろう。加えて新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済危機に政府・日銀は協調して挑むだろう。また財務省との共同歩調も踏襲する筈で次期菅政権が“選挙管理内閣”と位置付けられるなら、衆院解散総・選挙となるXデー前後の期間は有権者に向けアベノミクスの喧伝性をアピールするためにも、7月就任間もない岡村財務官を通じて日経平均株価を圧迫しかねない急激な円高抑止の要請が一層強まると読めそうだ。無論。公的機関投資家も総動員される外貨買い・円投の役割を担う可能性も高まろう。アベノミクスの継承者だからこそ、その威信と有用性を揺らがせることはできず、強化こそあれ、後退、低減化の公算は極めて低い、と読んでいる。

9/7週ドル円焦点

上値焦点は8/28高値106.955、8/13-14高値圏107.05-06、7/21-23の高値水準107.20-40圏への回復力、7/20高値107.535。超えれば7/7-8高値圏107.72-80推考。テクニカル観点では日足雲帯(105.80-107.02)突入意識。下値焦点は9/1安値105.605、8/31安値105.28、8/28安値105.19、8/19安値105.09。割れると7/31安値104.18(午前11:45頃)後、財務省と金融庁、日銀の3者会合、岡村財務官の牽制発言が伝わり始めての上昇起点104.30からの上昇価格帯が注視され104.85-80、104.70、104.55を意識。104円台維持が最終橋頭保。

出所:岡三ネットトレーダープレミアム

※岡三オンライン証券の対東京金融取引所(くりっく365)における買い比率
※買い比率(買残玉÷(売残玉+買残玉)×100)

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リスク

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手数料等諸費用の概要(表示は全て税込・上限金額)

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