武部力也の週間為替相場見通し(5/25週号)

2020年05月22日

円が「安倍首相支持率」を意識する局面

ドル円予想レンジ 106.00-108.30円

 「(政府の)布マスクの配布などにより需要が抑制された結果、店頭の品薄状況が徐々に改善され、上昇していたマスク価格にも反転の兆しが見られております」-。これは5/20午前の定例会見における菅官房長官の発言だ。(筆者は再利用可能な市販マスクや東京都知事がアピールした手作りマスクの普及、増産・輸入増による供給量の増加、対して不要不急の外出自粛による需要減少などの複合的要因がマスク価格低下の背景と推考しているが・・)4/17に政府が世帯向けに配り始めた布マスクは、5/18時点で東京、大阪など13都道府県で約1450万枚を配布されたとことも明らかにした。配布予定約1億3千万枚のうち、凡そ10%が完了した計算だ。厚生労働省によると5月中に配送を完了する予定だが最終日まで残されているのは約1週間。更にアベノマスク効果と配布の是非が世論として話題となりそうだ。

「アベノマスク」より「アベノミクス」が「アベノリスク」

 5/29午前8時半に総務省統計局は“労働力調査(基本集計)4月分”を発表する。項目別では3月分の完全失業者数は2ヶ月連続の悪化上昇となっているが就業者数、雇用者数は87ヶ月連続の好調増加だ。これは第2次安倍内閣発足以来の「アベノミクス成果」の証とされる。では4月分はどうなるか。残念ながらプラス増の記録は一転し悪化の程度が問われそうだ。新型コロナウイルス感染拡大に伴う影響で4月の訪日外国人旅行者は約3000人、前年同月比では99.9%減。この結果で探ると、ほぼ鎖国状態だったに等しい状況からインバウンド関連の雇用激減が予想され、元の水準に戻るにも長期化の可能性が高そうだ。そこで筆者が警戒しているのは国内報道各社による世論調査で安倍内閣の支持率が30%台に下落し、更にはこれが海外にも伝わっている点である。「implication(含意)」、「public opinion(民意・民心)」と政権と有権者の志向乖離、温度差を煽るような英文見出しはAI言語アルゴトレードが反応し易いキーワードだからだ。無論、安倍内閣支持率失速が直ちに政権交代としたシナリオに直結するとは到底思えない。むしろ、政権発足以来、拡張的なマクロ経済政策や日銀黒田総裁との二人三脚、そして対米重視での外交政策が政権支持のインセンティブを高め、結果、政治の安定性が株高円安に一定の寄与を務めたのではないか。しかし、本年は桜を見る会問題から始まり、最近はコロナ禍での東京五輪延期や夏の甲子園中止、そして生活・雇用不安の増幅、経済活動再開時期や検察庁法改正案(定年延長・賭け麻雀問題)を巡っては行き場のない憤りとして政治不信が報じられている。そして5月最終週から6/17の今国会会期末までは憲法改正手続きを定める国民投票法成立に向けた動きが強まるとして永田町関係者からは聞こえており、これが内閣支持率に影響するのかが警戒されよう。本格的な改憲論議・早期成立を目指し、強めの段取りを描くようだと国民感情の反発も招きかねず安倍政権に対する不信、求心力低下が支持率低下となり自民党内でポスト安倍の動きが活発化、不安定化させる恐れも否めない。自民党が現有議席を維持するシナリオでは、政権基盤に変化はないと読めるが現在の経済政策アベノミクスからの抜本的転換が浮上するようだと円安思考終焉と囃した短期巻き戻し、陶器仕掛けの場面も否定できないのだ。政権支持率の危険水域は20%台、と永田町関係者が囁く中では世論動向次第ではリスクシナリオも準備しておく必要もあり安倍政権の丁寧な国会運営が試される局面とも言えそうだ。

5/25週ドル円焦点

 テクニカル観点では日足雲帯(106.697-108.50)を大枠意識。上値焦点は日銀短観2020年度ドル円想定為替レート107.98、4/16-17高値圏108.09-095と符合する5/19高値108.10、200日線(108.30)、4/13高値108.445、4/10高値108.60。
下値焦点は5/18安値107.065、5/15安値106.85、5/11-13-14安値圏106.76-71。割れると5/8安値106.215、節目106.00、3/17安値105.86、3/16安値105.13、3/14安値104.50を推考。

出所:岡三ネットトレーダープレミアム

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手数料等諸費用の概要(表示は全て税込・上限金額)

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