次の一手 ~市場の話題とテーマ~

2020年02月18日
岡三オンライン証券株式会社

【次の一手】景気の実勢悪VS金融緩和

新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大が続き、国内の投資家マインドを委縮させている。もっとも、米国のニューヨークダウなど主要3指数は直近でもそろって最高値を更新。肺炎の感染源である中国でさえ、その代表的な株価指数である上海総合指数は春節(旧正月)休暇明け後の初日(2月3日)はさすがに229ポイント(7.7%)安と急落したが、その後は18日までで「10勝1敗」と上昇する日が多く、17日には春節直前だった1月23日の終値(2976)を突破。日足のチャートは大きく空いていたマドをたった2週間で埋めてしまった。

【上海総合指数:日足:6カ月】

背景にあるのは中央銀行や政府など当局による政策発動への期待感で、中国の中央銀行である中国人民銀行は実質的な政策金利である2月の最優遇貸出金利(ローンプライムレート)を20日に発表する予定。この場で景気の腰折れを防ぐために金利を引き下げるとの見方が市場で広がっている。また、同国の劉昆財政相は中国共産党の理論誌「求是」において、新型コロナウイルスの影響で生産が打撃を受けているとし、減税や不必要な政府支出の削減といった措置を一層確実に実施していく考えを表明した。同氏は財政支出拡大のための資金を確保する必要性を重視しているとも記している。

ここ1~2週間でもすでにタイやフィリピン、ブラジル、メキシコなどが政策金利を引き下げ、米国の中央銀行である米連邦準備制度理事会(FRB)に関しても、年内に1回以上、利下げすることを市場はすでに80%超の確率で織り込んでいる。これが市場金利を抑制しており、東京を含む世界の株式市場は「景気の実勢悪VS金融緩和」の構図で悪材料と好材料がせめぎ合う場となっているのだ。

【日経平均株価:日足:6カ月】

新型肺炎がいつどのような形で終息するか現時点で見通せない以上、積極的にリスクを取りにくいのは当然だ。しかも国内の感染者数が増え続け、あと5カ月あまりに迫った東京五輪への影響なども懸念される状況とあっては、なおさらかもしれない。ただし、過去の例では感染症などがファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を完全に崩壊させた例はなく、終息後は安定を取り戻す公算も指摘される。一時的な強い逆風に対応するため当局が過剰ともいえる政策を打ち出し、結果としてそれが実体経済を超える株価などの上昇(いわゆるバブル)へつながる例は過去の日本におけるバブル経済の生成過程においても見られた現象だ。

今回の感染拡大の実体経済へのダメージを和らげるため世界各国が改めて金融緩和を強化しつつあるが、この新型肺炎の影響が仮に数カ月で終息したとしても、各国中銀がすぐに引き締めに転じるとは考えにくく、金融環境はどうしても緩んだ状況になりがち。日銀に残された政策余地は小さく追加緩和の公算も大きくないかもしれないが、世界的なカネ余りの状況がさらに増幅されることになれば不動産業界や開発事業を手がける建設業界などには追い風になると予想される。その観点から、メリットを受けそうな参考銘柄群を以下に例示する。

コード 銘柄名 市場 終値
(2/18)
注文画面
1801大成建設東証1部4,120
1808長谷工コーポレーション東証1部1,426
1812鹿島建設東証1部1,297
1820西松建設東証1部2,454
1878大東建託東証1部12,495
3244サムティ東証1部1,877
3299ムゲンエステート東証1部581
3252日本商業開発東証1部1,734
8801三井不動産東証1部2,944.5
8802三菱地所東証1部2,099.5
8892日本エスコン東証1部887
8923トーセイ東証1部1,339

【西松建設(1820):日足:6カ月】

【三井不動産(8801):日足:6カ月】

執筆者

今野 浩明 氏

株式会社ストックボイス 記者
専門紙や情報配信会社、ラジオNIKKEIで記者として活躍。

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