次の一手 ~市場の話題とテーマ~

2020年01月21日
岡三オンライン証券株式会社

【次の一手】日経平均株価は上値が重いが・・・

米国株式市場ではダウ工業株30種平均やナスダック総合など主要な株価指数がそろって過去最高値を更新し、なお上値を試す展開が続いている。2019年12月の雇用統計や小売売上高など、このところ発表された経済指標は米国景気が良好な状況を維持し、着実な拡大基調が続いていることを示す。すでに発表が始まった19年10~12月期の企業決算も金融大手のJPモルガンなど事前予想を上回るものが目立つ。一方で賃金や物価に上昇が加速する兆しはなく、インフレを警戒する必要がないため、長期金利も1%台後半の低い水準で落ち着いたままだ。景気や企業業績が総じて好調な半面、金利は低いまま維持されているのだから、株式市場にとってはこの上ない好環境と言える。

さらに懸念された米中貿易戦争も、15日に両国が第1段階の合意文書に署名。中国は今後2年間で米国製品の輸入を2000億ドル(約22兆円)も増やすことを約束し、米国側は19年9月に発動した制裁関税第4弾(1200億ドル分)の関税率を2月中旬にも15%から7.5%に下げる。また、年初に一時株価が下落する要因になったイラン情勢も、米国とイランの緊張がさらにエスカレートする状況とはなっておらず、これも世界の株式市場には買い安心感を誘っている。

【ニューヨークダウ平均株価:日足】

もっとも、これに対して東京市場の日経平均株価は上値が重い印象が拭えない。かつては「米国がクシャミをすれば日本が風邪をひく」と言われたほど、日本経済は米国への依存度が高かった。しかし、昨今では中国や東南アジアなどの隆盛を背景に日本経済はアジアとの関係を深め、直近の11月の貿易統計では対米国の輸出入額1兆9000億円に対し、中国を含む対アジアは6兆7217億円と3.5倍になっていた。なお増加が続く訪日外国人客(インバウンド)も大半がアジアからであることは周知のとおり。つまり、日本経済は米国に追随するのでなく、いまや中国を中心とするアジアとの連動性を強めており、株式相場も「一国第一主義」の米国とは連動しにくくなっているのだ。また、米国がすでに原油や天然ガスなどエネルギーの純輸出国となったことも米国経済の強さの源泉になっている。中東情勢が緊迫し、原油相場が急騰しても輸入より輸出が多い米国にはむしろプラスに働く。ほぼ100%を輸入に頼る日本とは経済構造が異なり、株価が同じように動く方がむしろ不自然とも言える。

ただ、そうは言っても未曽有のカネ余りの環境は基本的に世界共通。これに最も貢献をしているのは日本銀行だ。その分、為替も円安方向に振れやすい。このため、世界的な株高傾向の下で日本株だけが上がらないということは考えにくく、上昇のエネルギーはそれなりに蓄積されているのかもしれない。

【日経平均株価:日足】

その意味で世界的奔流から物色対象を考えると、「ESG(環境・社会・統治)」投資に対する注目度が一段と高まってきた事実は見逃せない。19年9月末で約6兆9600億ドル(約700兆円)を運用する世界最大の資産運用会社である米ブラックロックが1月14日、投資先企業と顧客投資家向けの年次書簡で、ESGを軸にした運用を強化すると表明し、ESG関連の上場投資信託(ETF)の数を倍増する考えも示した。

国際団体のGSIAの集計によると、18年時点でのESG投資の運用残高は世界全体で約30兆7000億ドル(約3400兆円)と14年に比べ68%増え、その後もさらに増加しているとみられる。東京市場でも関連銘柄を改めてチェックしておきたい。ここでは東洋経済新報社が独自の調査票で集めた日本最大のCSRデータベースを基に抽出した「ESG企業ランキングベスト200」(2019年版)を参考に、その上位企業の中から株価水準も考慮して独自に10銘柄をピックアップした。

コード 銘柄名 終値
(1/21)
注文画面
2502アサヒグループホールディングス4,966
3401帝人2,069
4452花王8,958
4901富士フイルムホールディングス5,702
5332TOTO4,800
6645オムロン6,440
6701日本電気4,975
7203トヨタ自動車7,854
8630SOMPOホールディングス4,246
9437NTTドコモ3,085

【トヨタ自動車(7203):週足:1年】

【オムロン(6645):週足:1年】

執筆者

今野 浩明 氏

株式会社ストックボイス 記者
専門紙や情報配信会社、ラジオNIKKEIで記者として活躍。

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