次の一手 ~市場の話題とテーマ~

2020年01月14日
岡三オンライン証券株式会社

【次の一手】一月の砲声 原油と逆相関の日本株

連休明けの東京市場は日経平均株価が2万4000円、ドル円も110円台に乗せ、円安・株高に振れている。

【日経平均:日足:6カ月 】

お屠蘇気分の兜町を襲った「中東リスク」は、大統領選前に軍事衝突を避けたいトランプ大統領と、弾道ミサイル発射でソレイマニ司令官殺害の報復を果たしたイランが、双方納得づくの痛み分け。ミサイルは米軍居住区を元々標的から外しており、当然、死傷者はゼロ。これで米側も矛を収めた。
…と、ここまでは暗黙の「Limited war(限定的衝突)」だった。だが、イランが「人為的ミスで意図していない」というウクライナ旅客機撃墜は、予期せぬ「偶発事象」だ。これを機にイラン国内では最高指導者ハメネイ師への反発デモが頻発しており、一旦落ち着いた原油価格もどうなるかは分からない。偶発事象が当事国や双方の同盟国を巻き込み、意図しない本格的軍事衝突に発展する、というケースは歴史上ままあるのだ。
第1次世界大戦を描いた名著『八月の砲声』にあるように、セルビアの一青年によるオーストリア皇太子暗殺は両国の戦争のみならず、双方の友好国を世界全域で巻き込んだTotal war(全面戦争)にいとも簡単に発展した。今回イランが米国への「平手打ち」(ハメネイ師)気分で放った16発のミサイルが、世界大混乱の端緒「一月の砲声」になる可能性は誰も否定できない。

実際に今回、トランプ大統領は「本格的な軍事行動は望まない」としているが、対イラン経済制裁の強化は主張している。その報復でイランがホルムズ海峡でタンカーを攻撃したり、海峡封鎖の挙に出れば、輸入原油の9割が中東依存の日本にとっては死活問題だ。 下図にあるように、原油価格と日本経済(株価)はおおむね逆相関の関係で、原油高=株安だ。「産業の血液」である原油の価格はあらゆる企業活動に影響を及ぼすため、原油を自製できない日本は米国よりも原油価格と企業業績(株価)の逆相関性は強い。ここ20年、株価と原油の相関は米国の-0.20に対し、日本は-0.32となっている。

経済制裁で年間成長率-9.5%という苦境にあるイラン。さらなる制裁強化が対米強硬策につながるのか、融和策を促すのか。米大統領選も絡んだ中東情勢と原油価格の動向は、今年の東京市場で最大のテーマになるかもしれない。以下、原油価格が業績に大きなインパクトを与える銘柄を列挙するので参照いただきたい。

コード 銘柄名 終値
(1/14)
注文画面
1662石油資源開発3,045
5010日本精蝋226
5013ユシロ化学工業1,429
5020JXTGホールディングス493
5108ブリヂストン3,990
8031三井物産1,973
9064ヤマトホールディングス1,861
9202ANAホールディングス3,590
9501東京電力ホールディングス435

執筆者

渡部 一実 氏
株式会社ストックボイス 記者

産経新聞記者として政治経済報道に携わる。2014年からストックボイス記者。

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