次の一手 ~市場の話題とテーマ~

2019年11月26日
岡三オンライン証券株式会社

【次の一手】兜町は「2万4000円!」 年末株高、2つの推進力

足元の東京市場が強い。年末「掉尾の一振」に向け、万事気の早い兜町では「2万4000円!」「アベノミクス高値2万4270円更新!」の声も聞こえ始めた。昨年2018年の東京市場は、日経平均株価が年間で2750円(12%)安と7年ぶりに年間ベースで下落。2012年末のアベノミクス開始から初の“敗北”となった。今年こそ反転攻勢を、との希望的観測も相まって、市場関係者は強気一色だ。

【日経平均株価:週足:2018年1月より】

強気の根拠は確かに存在する。大別すれば、ずばり①需給環境の好転と、②米中貿易摩擦の織り込み、だろう。
需給面では、8月に2兆円規模まで膨らんだ裁定取引に伴う現物株売り残高(裁定売り残)が秋口から徐々に減少、11月15日時点で8965億円と半減した。一方の買い残は10月4日の5067億円から11月15日に5801億円と徐々に増加。
投資主体別動向をみても、11月15日時点で外国人は7週連続で買い越し、買い越し額は7週間で計1兆8000億円。今年に入ってからのトータルは11月15日時点で計1兆2000億円程度の売り越しだが、昨年1年間で5兆7000億円の大幅売り越しだったことに比べると、11月時点でのこの数字は悪くない。

一方、この2年間、ニュース面で相場の主役だった「米中貿易戦争」。東京市場もこれに揺らされ続けたが、問題が長期化したことによって逆に織り込み度合いを強めているともいえる。これは実際に過去の業種別騰落から読み取れる。下記は2018年の年間騰落率のベスト5とワースト5だ。

  2017年末/2018年末 2018年末/2019年
(先週末時点)
【上昇】    
電力ガス 11.1% -13.4%
陸運 -0.1% 9.3%
農林水産 -3.8% -3.0%
精密 -4.4% 40.9%
医薬品 -6.9% 19.0%
【下落】    
海運 -38.9% 15.7%
非鉄 -36.1% 8.9%
金属 -35.2% 12.9%
鉱業 -31.4% 9.5%
鉄鋼 -31.2% -11.2%

2017年末と18年末を比べると、海運、非鉄、金属、鉱業、鉄鋼といった景気敏感セクターがいずれも30%超の下げ。米中摩擦が顕在化したのは18年3月のトランプ大統領による鉄鋼・アルミ追加関税発表だったから、景気敏感・素材関連セクターはこのアオリをもろに受けた格好だ。米中の余波で原油の大消費地たる中国の成長鈍化も警戒され、原油需要減→供給過多→原油安の連想から、鉱業セクターも売られた。
上昇セクターをみても、17年比で上がったのは原油安の恩恵を受ける電力ガスのみ。同じ原油安メリットで「上昇率2位」の陸運も実数はマイナスだから、下落率が相対的に小さかったというだけ。結局、電力以外全部下げるという「米中で全面売り」の1年だった。日経平均の年間マイナスも当然だ。

そして今年。昨年末比で先週時点の騰落率をみると、昨年大きく売られた海運(+15.7%)、非鉄(+8.9%)、金属(+12.9%)、鉱業(+9.5%)が戻り歩調。半導体市況も米中摩擦を織り込みつつあるとみられ、18年に-4.4%だった精密が+40.9%と急反発、全業種中トップの騰勢をみせている。中国向けマザーマシン(工作機械)やFA関連を含む電機(+28.4%)、機械(+20.8%)などの製造業セクターも大きく回復。直近でも海運、非鉄、鉄鋼、機械、電機、精密などはそれなりに強い動きをみせ、「米中」の軛から脱しつつあるようだ。今回はそうした銘柄群を紹介するので、ご参照いただければ幸いである。

コード 銘柄名 この1年間の騰落率
(18年11月22日と19年同日を比較)
終値
(11/26)
注文画面
6976太陽誘電+38.2%2,914現物買
6762TDK+23.6%11,650現物買
6981村田製作所+13.2%6,405現物買
6141DMG森精機+20.3%1,726現物買
6103オークマ+13.9%6,110現物買
5714DOWAホールディングス+9.4%3,910現物買
5713住友金属鉱山+5.1%3,364現物買
9104商船三井+11.9%2,907現物買
9107川崎汽船+15.8%1,788現物買

執筆者

渡部 一実 氏
株式会社ストックボイス 記者

産経新聞記者として政治経済報道に携わる。2014年からストックボイス記者。

注意事項

  • 本投資情報は、情報の提供のみを目的としており、取引の勧誘を目的としたものではありません。
  • 本投資情報の公開および各コンテンツの更新については、都合により予告なく休止、変更、削除する場合があります。
  • 本投資情報の掲載情報の正確性・妥当性等について、岡三オンライン証券およびその情報の提供者が一切保証するものではありません。ご投資の最終決定は、お客様ご自身の知識、経験、投資目的、資産状況等に適う範囲で、ご自身の判断と責任で行ってください。
  • 本投資情報によって生じたいかなる損害についても、当社は一切責任を負いかねます。
  • 本投資情報は、いかなる目的であれ当社の許可なく転用・販売することを禁じます。
ページトップへ