次の一手 ~市場の話題とテーマ~

2019年08月27日
岡三オンライン証券株式会社

【次の一手】真夏の悪夢Ⅱ~3人の困ったオジさん×3つの視点~

8月6日付拙稿「真夏の悪夢 トランプVSパウエル『頂上決戦』に揺れる市場」で指摘した通り、米国の追加利下げと対中報復関税、それに絡むトランプ大統領とパウエルFRB議長、習近平国家出席のサヤ当てが市場を再び揺らしている。
注目のジャクソンホール講演でパウエル氏は、利下げを示唆するいつもの「景気拡大のための適切な行動」には言及したが、前回FOMC時に述べた、利下げサイクル否定の「mid-cycle adjustment to policy(景気回復サイクル中盤での調整)」には触れず。トランプ氏に“迎合”したのか、追加利下げに大きく歩み寄る姿勢をみせた。
が、トランプ氏はまたしても、「My only question is, who is our bigger enemy, Jay Powell or Chairman Xi?」(パウエルと習近平、どちらが敵なのか?)。自国の中央銀行総裁を「仮想敵」呼ばわりする、異例の対応だ。

折しも、パウエル講演の直前に中国が750億ドル(約8兆円)相当の米国製品に対する追加関税を発表。これに対し、トランプ氏は2500億ドル相当の中国製品に対する従来関税の5ポイント引き上げを表明。さらに米国企業に対し、中国からの事業撤退も要求した。これを憂慮したのか、26日の東京市場は日経平均が449円(2.2%)の下落。ドル円も一挙に105円を割り込み、1月のフラッシュ・クラッシュ以来となる104円台を付けた。

【日経平均株価:日足:6カ月】

【ドル円:日足:6カ月】

ただ、物事は常に影あれば光あり。マーケット全体を「鳥の眼」で俯瞰すれば、米中摩擦やトランプVSパウエルの喧嘩は明らかにマイナスだが、これを個別銘柄レベルの「虫の眼」で観察すると、生活必需品の価格下落や円高をプラスに捉えることもできる。
例えば、中国が米国産豚肉や大豆の輸入関税を引き上げれば、中国の国内需要が減退し、世界的に商品がだぶつく。実際に豚肉、大豆はすでに下落し始めており、これは日本の食品メーカーにとってプラスだ。そこに円高が加われば、原材料コストはますます圧縮できる。米国産牛肉で牛丼を作る吉野家HD(9861)などに恩恵が期待でき、株価もすでに先駆している。

【吉野家HD(9861):日足:6カ月】

今後の流れを「魚の眼」で予期してみよう。大統領選を控えるトランプ氏は「利下げ強要」を続ける可能性は高いが、米国の消費者にとっての物価上昇につながる対中関税問題では、どこかで落とし所を探る可能性もある。一方で「America First」の強いリーダー像は維持したい、となると矛先は日本に向く。実際に25日の日米合意では、日本側が米国産牛肉や豚肉、農産物の輸入関税を引き下げる一方、米側に求めていた自動車関税撤廃は見送られた。さらに、日本は米国産小麦とトウモロコシの大量購入を約束させられたといい、2国間の通商交渉としては米国の「完全勝利」だ。

これまでの動きを、ネット掲示板風に整理すると、こんな感じだろう。
パウエル:米中摩擦で経済ヤバい。0.25下げます
トランプ:足りない!もっと米中煽ってやる
習近平:弱腰だと元老に降ろされる。俺も引けない
パウエル:利下げねぇ…。9月の確約はできない
トランプ:お前、俺の敵か?辞めさせるぞ。
習近平:予定通り追加関税
トランプ:こっちもやるぞ
トランプ:ところでシンゾー、牛肉のついでにコーンも買え。自動車は譲らない
安倍:韓国もあるしなぁ。安全保障上やむを得ないか←←イマココ。

いずれせにせよ、こうした相場では、指数の上下動に一喜一憂せず、トランプ、パウエル、習近平という「困ったオジさん」3人を、鳥の眼、虫の眼、魚の眼の3つの視点で冷徹に観察し続けることが肝要だろう。今回は、米中貿易戦争が業績に追い風となりそうな銘柄を紹介する。ご参照いただきたい。

コード 銘柄名 終値
(8/27)
注文画面
2281プリマハム2,086
2602日清オイリオグループ3,075
4452花王7,682
9843ニトリホールディングス15,690
9861吉野家ホールディングス2,280
9887松屋フーズホールディングス3,780
9936王将フードサービス7,230

執筆者

渡部 一実 氏
株式会社ストックボイス 記者

産経新聞記者として政治経済報道に携わる。2014年からストックボイス記者。

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