次の一手 ~市場の話題とテーマ~

2019年08月06日
岡三オンライン証券株式会社

【次の一手】真夏の悪夢 トランプVSパウエル「頂上決戦」に揺れる市場

まさか、の形で暑い夏がやって来た。「利下げ」をめぐる米国トランプ大統領とパウエルFRB議長の鞘当てが足元の金融市場を揺らしているのだ。
米国連邦準備制度理事会(FRB)は1日、10年7か月ぶりに0.25ポイントの利下げを決定。ここまでは想定通りだったが、パウエル氏は記者会見で利下げはあくまでも「mid-cycle adjustment to policy(景気回復サイクル中盤での調整)」と強調、今後の「連続利下げ」は否定してみせた。
これに即、噛み付いたのがトランプ氏だ。得意のツイートで「Powell let us down」と直截的にガッカリ感を表明。圧巻だったのはその後のツイート「U.S. will start, on September 1~」で、9月1日から中国からの3000億ドル分の輸入品に10%の関税をかける「対中関税第4弾」の発動を電撃表明したのだ。

これには世界の金融市場が驚愕した。日経平均株価は2日から6日までの3営業日で計955円(4.4%)の下落。ドル円は利下げ発表前の108円60銭から発表後に109円30銭と一旦上(円安)に振れ、その後の「関税ショック」で6日に105円50銭台までジェトコースター的な下落(円高)を演じた。人民元も対米ドルで11年ぶり安値を付け、中国株も大幅安だ。
チャート上で日経平均は7月4日と25日、ドル円は7月9日と8月1日をダブルトップに見立てると、それぞれネックラインを一気に割り込み、売り方が極めて仕掛けやすいチャート形状となった。

【日経平均株価:日足:6カ月】

【ドル円:日足:6カ月】

来年大統領選挙を控えるトランプ氏がFRBに執拗な利下げ要求を続けてきたのは周知の事実。今回もうがった見方をすれば、連続利下げに否定的なFRBの尻を叩くため、「利下げを続けざるを得ない状況」、つまり米中対立を煽ることで景気減速ムードを醸成する狙いがあるのかもしれない。
傍証はある。実際、パウエル氏自身は「貿易摩擦が利下げを必要なものにした」と認めており、これを逆手に取ったトランプ氏が「摩擦激化ならさらに利下げする」と考えても不思議ではない。所詮、経済政策も金融政策も最終的には感情を持った人間が決める「政(まつりごと)」なのだから、何でもあり、キレイごとでは済まない側面もあるのだろう。

「第4弾」ツイート後、フェデラルファンド(FF)金利先物のトレーダーは今年の利下げ幅予想を拡大させた。2日19時時点で次回9月18日FOMCでの0.25ポイント利下げの織り込み度合いは95.8%に急上昇、現状維持(=利下げなし)の4.2%を大きく上回ったが、5日13時時点では9月0.25ポイント利下げが78.8%、0.50ポイントが21.2%、現状維持はゼロ。6日10時時点では9月0.25ポイントが61.5%と前日より低下する一方、0.50ポイントが38.5%に上昇。市場は明らかに、米中摩擦に端を発する利下げサイクル開始、を催促している。

世界を見渡せば、米国のみならず、6月にはオーストラリア中銀が2年10か月ぶりに利下げ、ECBも9月に利下げと量的緩和を再開する可能性が高いとみられる。HARD-BREXITをめぐる混乱が予期されるイングランド銀行、米中摩擦による国内景気減速に立ち向かう中国人民銀行も緩和に動くかもしれない。
世界的な緩和競争の中で、「手詰まり感」が指摘される日銀は動けるのか。動くとしたら、緩和継続期間の延長を文言で示唆する「フォワードガイダンス強化」や、ECBが検討中のマイナス金利深掘り、などの手段があるとみられるが、いずれも実効性は疑問。マイナス金利深堀りは金融セクターの事業環境に決定的なダメージを与えかねず、一方で、世界の潮流に乗り遅れれば円の独歩高、急速な円高が輸出企業を襲う。
奇しくも、トランプツイート直後の2日の取引中、トヨタ自動車が円高などを背景に今2020年3月期通期業績予想を下方修正したが、業績前提の想定為替レートは期初の1ドル=110円から106円に4円分円高修正した。ただ、足元の実勢レートはその106円をも割り込んでいるのだ。

トランプVSパウエルの戦いに端を発する足元の金融市場の動揺。「暑い夏」はまだ始まったばかりだが、今回は為替レートや政策金利によって業績が大きく振れる「警戒銘柄」に加え、この急落局面でも強い耐性を発揮している業績堅調の内需株も紹介する。ご参照いただきたい。

為替
コード 銘柄名 期初想定レート 終値
(8/6)
注文画面
7203トヨタ自動車1ドル=110円、1ユーロ=125円 1ドル=106円、1ユーロ=121円(1Q終了時点で修正) 6,720
7270SUBARU1ドル=110円、1ユーロ=120円 変更なし 2,760
6301小松製作所1ドル=105円、1ユーロ=119円、1人民元=15.6円 1ドル=110.0円、1ユーロ=123.2円、1元=16.2円(1Q実績)。現段階で修正なし。 2,326
政策金利
コード 銘柄名 2020年3月期第1四半期の事業環境(実績) 終値
(8/6)
注文画面
8306三菱UFJフィナンシャル・グループ国内貸出金利回り(0.80%)―預金利回り(0.00%)=預貸金利回り差(0.79%)512
8411みずほフィナンシャルグループ国内貸出金利回り(0.79%)―預金利回り(0.00%)=預貸金利回り差(0.78%)155
外部環境に左右されづらく、足元業績も堅調
コード 銘柄名 終値
(8/6)
注文画面
9861吉野家ホールディングス1Qは10.97億円の最終黒字(前年同期は3.88億円の赤字)2,151
9936王将フードサービス1Qは26.3%営業増益、28.6%最終増益7,040
9887松屋フーズホールディングス1Qは67.3%営業増益、50.8%最終増益3,635

執筆者

渡部 一実 氏
株式会社ストックボイス 記者

産経新聞記者として政治経済報道に携わる。2014年からストックボイス記者。

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