次の一手 ~市場の話題とテーマ~

2019年07月02日
岡三オンライン証券株式会社

【次の一手】米中摩擦が金利上昇や景気過熱を抑える

最近の株式市場、というより世界経済にとって最大の焦点である米中貿易摩擦は6月29日行われたトランプ大統領と習近平国家主席とのトップ会談によって協議が再開されることになった。トランプ氏は3000億ドル(約33兆円)分の中国製品への追加関税発動を先送りし、米企業による中国の情報通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)への一部の部品販売も認める考えを明らかにした。もし会談が決裂した場合には米国がほぼすべての中国製品に25%の追加関税をかけることになるリスクも意識されていただけに、市場にはひとまず安堵感が広がっている。

ひと昔前は株式市場で中国関連と言えば鉄鋼や海運、建機といった業種の銘柄が中核だった。しかし、近年は経済構造や供給網(サプライチェーン)の変化によって半導体関連や電子部品、ロボット関連など、いわゆるハイテク株が中国関連という位置づけに変わった。昨年来の動きからも明らかなように、これらの企業は中国経済が減速すれば業績へのダメージが大きく、株価にも下げ圧力が掛かりやすくなっている。また、その影響は訪日外国人客や越境通販の増減などを通じて小売りやサービスなどの内需系企業にも及んできているのは周知の通りだ。その意味で5月上旬から途絶えていた米中協議の再開は日本企業にとっても好ましいことに違いない。ただ、これで摩擦が緩和されたわけではなく、「一層の激化がひとまず回避された」というのが正しいだろう。1日の日経平均株価の454円高は最近の市場が過度なリスク回避に傾いていた反動の側面が大きい。そもそも両国の摩擦の本質が貿易でなく21世紀の覇権争いにある以上、簡単に解決される問題ではない。

そこで世界の株式市場にとってもっとも重要なことは、これが米国を中心にした世界の金利を押し上げる材料なのか、押し下げる材料なのかという点だろう。その観点では過去1年以上にわたる米中摩擦は金利の上昇を抑え、最近では押し下げる要因になっていたことは見逃せないポイント。あくまで仮定の話になってしまうが、もし米中摩擦が顕在化せず従来の延長線上で米国や中国の景気拡大が続いていたならば、米国の長期金利は3%を超えてさらに上昇し、世界の株式市場からはすでに多くの資金が流出していたかもしれない。つまり、最近の世界の金利低下は米中摩擦の副産物であり、米国景気が減速しながらもさらに拡大が続いているのも、米中摩擦が過熱を抑える適度な冷却材になっているからと考えることができる。

【10年物米国債利回り:週足:1年】

短期的には米中摩擦への懸念で上値が抑えられていた半導体関連をはじめとする景気敏感株の見直しがもう少し続くかもしれない。ただし、着実な景気拡大と金利の低下傾向という好環境が永続する公算は小さく、ここからの銘柄選定にあたっては7月下旬から始まる19年4~6月期の決算発表の見極めが重要になる。

一方でテーマ性のある銘柄群への個別物色の流れは続くとみられる。その視点で最近の株価の反応がいいのは「全固体電池」関連株かもしれない。現段階で多くのハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)などに使われているリチウムイオン電池は中に「電解液」という液体が入っているが、全固体電池はすべて固体で構成され、液漏れや発火などのリスクが小さい。従来品を大きく上回る高いエネルギー密度や高電圧、高容量化を可能にする次世代の技術で、トヨタ自動車が2020年代前半の実用化を目指しているほか、世界で多くの企業が開発にしのぎを削っている。ここで東京市場における関連銘柄を改めて確認しておきたい。

コード 銘柄名 内容 終値(7/2) 発注画面
4182三菱瓦斯化学電解質を開発中1,491
5334日本特殊陶業セラミック使った電池を開発2,058
5706三井金属鉱業負極材を製造2,589
6584三櫻工業米スタートアップとEV向け試作465
6674ジーエス・ユアサ コーポレーション20年代半ばの実用化計画2,164
6955FDK高容量の小型電池を開発900
6981村田製作所19年度内に量産化へ5,091
7004日立造船全固体電池の開発加速402

【三桜工業(6584):日足:6ヶ月】

【村田製作所(6981):日足:6ヶ月】

執筆者

今野 浩明 氏

株式会社ストックボイス 記者
専門紙や情報配信会社、ラジオNIKKEIで記者として活躍。

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