次の一手 ~市場の話題とテーマ~

2019年06月25日
岡三オンライン証券株式会社

【次の一手】「緩和ドミノ」到来か フェーズは「円高・株高」へ?

この夏はアベノミクス以降、東京金融市場を支配していた「円安・株高」トレンドが転換し、「円高・株高」あるいは「円高・株安」を模索する展開になるかもしれない。
後々振り返ってみれば、あの時の動きがそれを示唆していた、と想起され得るのが、米国連邦公開市場委員会(FOMC)通過直後、20日(木)の東京市場の動きだ。
FOMCの結果は大方の予想通り、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標を2.25~2.50%で据え置き。声明では今後の景気見通しの「不確実性(uncertainties)」に触れ、政策判断について「あらゆる経済指標を辛抱強く見守る」の「辛抱強く(patient)」を削除。米中貿易摩擦に伴う景気下振れリスクを考慮し、「もう辛抱し切れなくなった」のか、年内の利下げをも示唆する内容となった。

結果発表前に1ドル=108円30銭台だった為替は、発表後の1時間で108円10銭台まで下落。翌20日の午前9時以降は円高が急加速し、同日は107円50銭台と1月の「フラッシュ・クラッシュ」以来5か月ぶりの円高を付ける場面もあった。
米国が利下げに転じれば、低金利政策を採る日本との金利差が縮小し、現在のドルに対する円の相対的な安さ(=ドル高・円安)が巻き直される。極端な「円高」とまではいかなくても、「ドル下落・円動かず」くらいまでは“相対的な円高”に振れるだろう。これは理解し易い。
が、今回不思議なのは株価の動きだ。FOMC以降、これまで「円高」が売り材料だった日経平均はどちらかと言えば買われているのだ。20日は円高にも関わらず、前日比128.99円(0.6%)高の2万1462円86銭と1か月ぶりの高値を回復。同時に債券も買われて長期金利が低下し、円、株、債券が同時に買われる「トリプル高」となった。

ドル円日足:6ヶ月

日経平均日足:6ヶ月

「円高・株高」の背景にあるのは欧米の中央銀行の「緩和競争」だろう。
来年再選選挙を控えるトランプ大統領から、解任も含めた執拗な利下げ要請を受けるパウエルFRB議長。本来、利上げ論者とみられる彼は今回は何とか「年内の利下げ示唆」で議論を取りまとめたが、セントルイス連銀のブラード総裁が「今回会合での利下げ」を主張。パウエル体制初の“造反者”となった。今後、FRB内部でも緩和勢力は勢いを増しそうだ。
欧州でもドラギECB総裁が18日に緩和容認発言。利下げに加え、2018年末終了した量的緩和策の再発動もチラつかせた。従来は「経済が悪化すれば動く」との対症療法的スタンスだったが、今回は「現在の状況から改善しなければ動く」と予防療法に一方踏み込んだ。これを「ユーロの通貨安誘導」と非難するトランプ・ツイートにも、「我々は(2%の物価目標達成のため)何でもやる」とどこ吹く風だ。

一方、中国も欧米に連動するかもしれない。米欧が緩和に動き、自国通貨(人民元)に上昇圧力がかかれば輸出が停滞するため、中国人民銀行も追加緩和に動かざるを得ないだろう。これを先取ったのか、FOMC直後の20日、上海総合指数は前日比69.32ポイント(2.3%)高の2987.12と1か月半ぶりの高値を回復している。

米→欧→中の「緩和ドミノ」が日本に到達した時、日銀はどう動くのか。もし追加緩和に動けば、日米通商交渉を抱える米国側からの反発は必至。為替条項適用も視野に入るだろうから、大規模な量的緩和は考えづらい。せいぜい、イールド・カーブ・コントロールをいじるのが精いっぱい、となれば、ドル安・ユーロ安・円高局面となりそうだ。
とはいえ、直近の動きで分かる通り、円高だから株安とは限らない。米欧中の緩和マネーが割安感の強い日本株に流れ込む可能性は高く、足元の日経平均の強さなど、すでにこれを先取る動きも垣間見えつつある。そして牽強付会的に言えば、「円安・株高」フェーズが「円高・株高」になるのか「円高・株安」になるのか、次なるトレンドを見極めるための手控えムードが、直近の薄商いにつながっているのかもしれない。

今回は、米欧中の緩和マネーが流れ込んだ際に注目されそうな銘柄群を紹介する。世界トップクラスの技術力を持つ割には、足元の割安感が強い銘柄を選考した。ご参照いただきたい。

コード 銘柄名 PBR 終値
(6/25)
注文画面
4228積水化成品工業0.54倍755
4508田辺三菱製薬0.75倍1,212
5110住友ゴム工業0.71倍1,252
5333日本碍子1.03倍1,534
6902デンソー0.96倍4,457
7911凸版印刷0.46倍1,664

執筆者

渡部 一実 氏
株式会社ストックボイス 記者

産経新聞記者として政治経済報道に携わる。2014年からストックボイス記者。

注意事項

  • 本投資情報は、情報の提供のみを目的としており、取引の勧誘を目的としたものではありません。
  • 本投資情報の公開および各コンテンツの更新については、都合により予告なく休止、変更、削除する場合があります。
  • 本投資情報の掲載情報の正確性・妥当性等について、岡三オンライン証券およびその情報の提供者が一切保証するものではありません。ご投資の最終決定は、お客様ご自身の知識、経験、投資目的、資産状況等に適う範囲で、ご自身の判断と責任で行ってください。
  • 本投資情報によって生じたいかなる損害についても、当社は一切責任を負いかねます。
  • 本投資情報は、いかなる目的であれ当社の許可なく転用・販売することを禁じます。

岡三オンラインの口座をお持ちでないお客さま

当社ではじめて取引されるお客さまへ

岡三オンラインの口座をお持ちのお客さま

パスワードをお忘れの場合

お電話でのお問い合わせ

0120-146-890(携帯からは03-6386-4473)

【受付時間】月~金 8:00から17:00 ※年末年始および祝日を除く

ページトップへ