次の一手 ~市場の話題とテーマ~

2019年03月05日
岡三オンライン証券株式会社

【次の一手】魔物の棲家?「メジャーSQ」 低ベータ・好業績銘柄で突風回避

今週8日は、3ヶ月ごとの日経平均先物の清算日である「メジャーSQ(Special Quotation)」。それに備えてか、4日夜~5日日中の日経平均先物6月限の売買高は7万5000枚に達し、先週27~28日の9900枚から大きく膨張している。6月限の増加は、3月限から6月限へ乗り換えて先物ポジションを維持する「ロールオーバー」が順調に進んでいることを示す。
乗換えがこのまま順調に進めば、SQ日に相場が乱高下する可能性は低いが、SQ前の水曜・木曜は「荒れる」とのアノマリーもあり、週末までは一定の警戒感が必要だろう。

1991年3月から2019年2月まで、オプション取引清算のみの「マイナー」も含め、SQは計326回あった。SQ値(当日の225全銘柄の寄り付き値)は過去の平均で前日現物終値比+0.88%だから、大きくハネることはあまりない。ただ、実際に下記のようなケースもあった。

SQ 対前日騰落率 考えられる背景
1991年12月 +4.97% 公定歩合引き下げ
1995年9月 +4.81% 公定歩合引き下げ、政府が景気対策発表
1999年4月 +3.60% ITバブル
2007年8月 -2.92% 円高、サブプライム格下げ
2008年10月 -12.72% リーマンショック、世界的な金融不安
2008年11月 +4.73% 同上(前月の反動)
2008年12月 -3.36% 同上(前月の反動)
2016年2月 -3.54% 日銀がマイナス金利導入、SQ前日(建国記念日)の円急伸
2018年2月 -3.20% 米国長期金利上昇、米国株急落(VIXショック)

SQが怖いのは、何らかの事情で前日までにロールオーバーしていない投資家のポジション(先物売り/現物買い)がSQ値で自動決済(先物買い清算/現物成行売り)され、現物株価が乱高下する可能性があるからだ。
日本株に先高感があり、ある投資家(主に外国人)が日経先物を買った場合、先物は上昇し225現物に対して一時的に割高になるから、裁定業者(主に証券会社)は割高な先物を売り、割安な現物を同量買う。SQでは先物、現物が同一価格で清算されるため、「先物売り/現物買い」のポジションを組めば、その後の株価がどう転んでも、組んだ時点での利益がそのまま確定する(金利分などは除く)。
一方、このケースでは、外国人に先物を売った売り手側(主に国内機関投資家)も、先物上昇リスク(=売り手にとって上昇は損失)をヘッジするため、現物を同量買うことが多い。つまり、先物が買われると、その裏側で「先物売り/現物買い」が進み、積み上がった現物買いが「裁定買い残」となる。当然、裁定買い残の増減と現物株価は正比例する。

【裁定買い残と日経平均】

高水準に積み上がった買い残とは現物の買われ過ぎでもあり、ささいな材料発出でこの巻き戻し、「裁定解消売り」(先物買い/現物売り)を誘発する。これがSQとSQの間に一定時間をかけて徐々に行われるなら問題ないが、SQ直前に一気に、となると相場が荒れる。実際に2012年以降のアベノミクス相場でみると、買い残が3.5兆~4兆円に達した段階で需給調整が入り、株価は大きな調整局面を迎えている。

今回SQをめぐっては、直近の2月22日時点の裁定買い残は6625億円と歴史的な低水準。株数ベースでも、裁定買い残株数から売り残株数を引いた「ネット裁定残高」が1億6342万株と、一般的な底入れサインとされる5億株を大きく下回っている。昨年1年間で外国人は225ラージ先物を2兆8000億円売り越しており、これに伴う裁定解消売りで足元の現物残高が極端に減っているのだ。

【ネット裁定残高】

この状況は16年7~10月(上図赤矢印)と酷似している。この時期は9月にネット残高がマイナスに転じるなど、裁定買い残が極端に枯渇していた。つまり需給面でそれ以上の売り圧力はかかりづらく、株価は上に行けない代わりに6月安値も割らなかった。その後、同年末から18年1月まで、トランプ大統領誕生に伴う「トランプラリー」に突入。先高感から先物が買われた裏で裁定買いも加速し、日経平均は27年ぶりの高値まで駆け上った。
今回も足元の買い残が少なく、需給面での下落圧力は弱い。米中貿易摩擦やBrexit絡みなどで何らかの好材料が出れば、SQ通過後、新たな収益機会を狙った先物買い→現物裁定買い→株価上昇、を招くとの期待も根強い。

ただ、個人投資家としては、先物を絡めた機関投資家同士の“空中戦”にあえて巻き込まれる必要はないだろう。とにかく、SQ週は頭上を吹き荒れる突風を避け、日経平均やTOPIXなどの指数変動とあまり関係のない中小型市場の個別銘柄を、“地上戦”的に仕込むのが賢明と推察する。今回は、特に日経平均との相関が弱く、今期が営業増益予想、低PERという銘柄を東証2部からピックアップした。ご参照いただきたい。

    業種 対日経平均ベータ値 今期予想営業増益率 PER 注文画面
2831 はごろもフーズ 食品 +0.08 13.8% 20.9倍
2806 ユタカフーズ 食品 +0.12 18.8% 12.4倍
6870 日本フェンオール 電機 +0.14 13.1% 7.7倍
6342 太平製作所 機械 +0.12 3.5% 5.6倍
7565 萬世電機 卸売 +0.12 2.5% 10.3倍
4623 アサヒペン 化学 +0.18 8.2% 14.7倍
7490 日新商事 卸売 +0.17 38.5倍 27.7倍

※対日経平均株価β(ベータ)値は3月1日終値基準で過去180日分。β値=+1なら日経平均1%の上昇で当該銘柄も1%上昇する。+1.5なら日経1%上昇に対し、銘柄は1.5%上昇。-1.5なら日経1%上昇に対し、銘柄は1.5%下落という逆相関。β値は0に近いほど指数変動と無関係になる。

執筆者

渡部 一実 氏
株式会社ストックボイス 記者

産経新聞記者として政治経済報道に携わる。2014年からストックボイス記者。

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