次の一手 ~市場の話題とテーマ~

2019年02月12日
岡三オンライン証券株式会社

【次の一手】休日前は「A買い・B売り」 銘柄裁定でリスク回避

建国記念の日の3連休明け、2月12日の東京市場は日経平均株価が531円(2.6%)高と大幅反発。前週末8日の下げ分(418円、2.0%)を一日で取り戻したが、改めて連休前後の株価変動の大きさが浮き彫りとなった。
想起されるのは2016年、3年前の建国記念の日だ。祝日は木曜、翌金曜はオプションSQ日という曜日配列で、日経平均は祝日明け12日に760円(4.8%)安の1万4952円。祝日中に欧州銀行株が急落、米国株も大幅安となり、ドル円も祝日前の1ドル=115.80~114.20円から110.98円付近まで一日で一気に4円近い暴落。祝日明けに安倍首相と黒田日銀総裁が慌てて会談、円高・株安を強く牽制し、相場は翌週にようやく落ち着きを取り戻した。

【2016/01/12~2016/03/31:日経平均株価終値推移】

そもそも日本はキリスト教国ではないため、欧米諸国と休暇体系が異なる。「日本だけ休場」というのは、海外勢・ヘッジファンドにとっては格好の狙い目で、どうしても仕掛け的な売買が起きやすい。今年の正月、1月3日の1ドル=105円割れという「フラッシュ・クラッシュ」も記憶に新しいところだ。

【2018/12/03~2019/02/03:ドル円:日足チャート】

特に今年は3連休が8回、新天皇陛下即位に伴う10連休もあり、平年より「休日リスク」は高い。こうしたケースで機関投資家ならば日経平均の「現物買い-先物売り」といった裁定ポジションを組んでリスク回避を図ることが可能だが、個人投資家には高額な先物を使ったヘッジはなかなか難しいだろう。
そこで今回は、個人にも馴染み深い人気銘柄を使ったリスクヘッジを模索したい。個別銘柄同士で裁定ポジションを組んで急変リスクを回避しつつ、価格差の収縮に着目してサヤを取る、いわば「個別銘柄版・アービトラージ(裁定取引)」だ。

まず下記の表をご覧いただきたい。

【通信株】 NTT ドコモ ソフトバンク KDDI
NTT(9432) - 0.73 0.25 0.71
NTTドコモ(9437) - - 0.61 0.87
ソフトバンクG(9984) - - - 0.45
KDDI(9433)(9432) - - - -

これは昨年1月4日から今年2月7日まで、過去1年間の銘柄同士の相関係数を図示したものだ。相関係数とは、AとBがどれだけ同じ方向に、どれだけ同じ大きさで動くかという連動性を示すもので、+1が最大、-1が最小。+1なら最大の正の相関(同方向への動き)、-1なら最大の逆相関(真逆の動き)となる。裁定ポジションによるリスクヘッジを考えるとき、最大のポイントがこの相関係数だ。
例えば、同様のビジネスを手がけ、同様の動きをする可能性が高い(相関係数+0.87)NTTドコモとKDDIを買い・売りそれぞれのポジションで同金額分だけ保有すれば、これがリスクヘッジとなる。「ドコモ買い-KDDI売り」の場合、ドコモ(買い玉)の下落で損失が出ても、同様に動くであろうKDDI(売り玉)の下落が利益となり、通算で損益を相殺できる。ドコモが上昇した場合もまた然りだ。
そして両者の価格差やチャートの歪みに着目しながら、双方の通算損益がある程度プラスになったところで、双方を同時決済してポジションを外す。どちらを買い、どちらを売るかは、過去の価格差の推移や、PER、PBRなどの株価指標が参考になるかもしれない。双方を比べ、割高な方を売り、割安な方を買うというのがオーソドックスな手法だ。

相関係数が高いほど、裁定取引の確度は高まる。例えば銀行セクター。

【銀行株】 みずほ 三菱UFJ 三井住友 ほくほく 十六
みずほ(8411) - 0.95 0.97 0.92 0.89
三菱UFJ(8306) - - 0.97 0.84 0.85
三井住友(8316) - - - 0.89 0.91
ほくほくFG(8377) - - - - 0.95
十六銀行(8356) - - - - -

銀行業界は日銀が決める一つの金融政策のもと、金融庁による同じ規制下で、一様に同じような事業をやっているのだから、業績や株価の相関性が高いのは当然といえば当然だ。ここにも裁定が働く余地は大いにある。

いわゆる「〇〇関連銘柄」として一緒くたに語られがちな、資源株や中国・アップル関連株をみると、意外な発見もある。

【資源・景気敏感株】 国際帝石 JX 出光 神戸鋼 住友鉱山 商船三井
国際帝石(1605) - 0.51 0.35 0.71 0.71 0.83
JX(5020) - - 0.76 0.34 0.26 0.31
出光(5019) - - - -0.07 -0.12 0.14
神戸鋼(5406) - - - - 0.91 0.72
住友鉱山(5713) - - - - - 0.85
商船三井(9401) - - - - - -

資源採掘会社の国際帝石は石油元売りのJX、出光と相関が強いかと思いきや、さほどでもなく、むしろ鉄鋼・非鉄、海運との相関が強い。

【中国関連株】 コマツ 日立建機 村田製 ファナック Apple
コマツ(6301) - 0.96 -0.17 0.95 -0.04
日立建機(6305) - - -0.17 0.92 -0.01
村田製作所(6981) - - - -0.24 0.63
ファナック(6954) - - - - -0.15
Apple - - - - -

村田製は「アップル関連」と語られがちだが、あまり相関は強いとは言えず、ファナックに至っては小さいながらも逆相関だ。
リスクヘッジ目的のみならず、所有する銘柄と相関が高い銘柄をあらかじめ抑えておけば、投資戦略のすそ野が広がる可能性もありそうだ。

相関係数が高い銘柄コンビ(過去1年間で+0.8以上)

銘柄名 銘柄名
みずほフィナンシャルグループ(8411) 三井住友フィナンシャルグループ(8316)
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306) 三井住友フィナンシャルグループ(8316)
大成建設(1801) 清水建設(1803)
大林組(1802) 鹿島建設(1812)
住友金属鉱山(5713) 神戸製鋼所(5406)
小松製作所(6301) 日立建機(6305)

執筆者

渡部 一実 氏
株式会社ストックボイス 記者

産経新聞記者として政治経済報道に携わる。2014年からストックボイス記者。

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