中村 鋭介 氏
株式会社ストックボイス 記者
ストックボイスで記者としてマーケット(主に新興市場)の取材に携わる。
2019年02月05日
岡三オンライン証券株式会社
年明け以降、順調に出直っていた新興市場に衝撃を与えたサンバイオ・ショック。中枢神経系疾患領域の再生細胞薬を開発するサンバイオ(4592)は1月29日、「SB623」について慢性期脳梗塞を対象とした治験が不調だったことを発表した。「脳の再生」につながるとして期待を集めていた同薬。外傷性脳損傷を対象とした試験が良好だったと発表した昨年11月から当社株は急上昇。脳梗塞の試験もクリアできるだろうとの期待を巻き込んで株価は4倍近くに拡大していたため、ネガティブサプライズのインパクトは大きく出た。12月の全体相場安や新規上場したソフトバンク株の下落により個人投資家の懐が痛んでいた中、サンバイオ株の大幅高はマーケットの支えになっていた。この点においても市場の失望感は大きい。
だが、これによって前週の新興市場が全面安に追い込まれたわけではないという点は注目に値する。例えば、アニメの版権事業が好調で19年3月期業績予想を再び増額修正した東映アニメーションは上場来高値を更新。ラクスルは物流のシェアリングプラットフォームでドライバー不足の解決につながりうる新サービスを発表。前の週に比べ13%超の上昇を演じた。
このように見所のある銘柄が個別物色の対象となる地合いは継続している。今回はこの点を踏まえ、独自のビジネスモデルや特定の分野における技術・ノウハウを有しており、それらが堅調な業績推移に結びついている新興市場銘柄を取り上げた。
コード | 銘柄名 | 主な事業 | 終値 (2/5) |
注文画面 |
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2173 | 博展 | イベント展示・販促支援 | 1,695 | ![]() |
3182 | オイシックス・ラ・大地 | 野菜や調理キットのネット販売 | 1,723 | ![]() |
3697 | SHIFT | ソフトウェアのテスト事業 | 4,830 | ![]() |
3923 | ラクス | 経費精算などクラウドサービスとIT人材派遣 | 2,000 | ![]() |
9450 | ファイバーゲート | 賃貸住宅や公共施設向けWi-Fi | 1,952 | ![]() |
博展は展示会出展やイベントプロモーションなどで企業の販促支援を行う。ブランドイメージに沿った映像コンテンツの作成などを含め総合的なサービスを展開できる点に強み。4-9月期は新規、リピートともに受注好調で、営業利益は前年同期比2.5倍の2億6600万円に拡大。通期予想は5億円と連続最高益更新を見込む。今後、東京五輪開催で会場の使用が制限される可能性があるが、効果的な販促を行いたいとのニーズは強く、豊富な実績を武器に当社の活躍の場が広がろう。
オイシックスは20分程度で調理が可能なミールキットが順調。1月24日に2度目となる19年3月期利益予想の上方修正を発表した。好業績が織り込まれていることから株価は買い一巡後に下落したが、新興市場銘柄でコンスタントに業績予想を増額する当社のような存在は極めてまれ。家事や仕事で忙しい人の「時短ニーズ」を取り込んでいる点には今後も注目したい。
SHIFTはソフトウェアの不具合を検査するテスト事業を展開。ソフトウェアテストの市場規模は約5兆円とみられている。現状、テスト作業はソフト開発会社の社内で行われるのが大半だが、昨今の人材不足により、今後はこれを外注する動きが増えると想定される。19年8月期営業利益予想は16.6%増の14億円。コスト増を吸収し、連続最高益更新となる見通しだ。
ラクスはテレビCMを見かけることが多くなった。広告費を投下して放送地域を拡大している。経費精算システム「楽楽精算」は知名度向上とともに新規開拓が進んでいるもよう。18年12月の月次売上高は前年同月比35.7%増の7億5400万円。18年4月以降、毎月4割前後の増収が継続している。13日に決算発表予定。
ファイバーゲートは賃貸物件のオーナーや商業施設、宿泊施設にWi-Fiサービスを提供する。訪日外国人向けフリーWi-Fi設備の需要拡大などを背景に、7-9月期(第1四半期)営業利益は3億400万円と通期予想6億7000万円の45.4%を達成。業績上振れが期待される。
中村 鋭介 氏
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ストックボイスで記者としてマーケット(主に新興市場)の取材に携わる。
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