次の一手 ~市場の話題とテーマ~

2019年01月22日
岡三オンライン証券株式会社

【次の一手】ハシリューの後悔、シンゾーの決意 増税と株価

橋本龍太郎は後悔していた。デフレ不況下にあった1997年4月、消費税を3%から5%に引き上げたことを、だ。
村山前内閣の決定事項とはいえ、当時の日本は金融機関がバブル崩壊後の不良債権処理に四苦八苦しているさなか。アジア金融危機の波も押し寄せる中で、橋本は財政再建(≒構造改革)を急ぐあまり、消費増税に加えて所得減税打ち切り、医療費の自己負担増も同時並行した。国民の負担増は消費増税分で5兆円、減税打ち切り・医療費増加分で4兆円の計9兆円に達し、名目GDP換算で2%分のマイナス。当然、景気も株価も腰折れした。

橋本は2001年4月、首相再登板を狙い、小泉純一郎と総裁選を争う。橋本は街頭でテレビで、深々と頭を下げた。「私の緊縮財政は間違っていた。財政再建のタイミングを早まって経済低迷をもたらした」。首相経験者としては異例の謝罪である。

政界きっての政策通、大蔵大臣経験者でもある橋本がなぜ、政策判断を誤ったのか。その底流にあるのが「大宰相論」だ。
国民に負担増を求めるとき、財務当局はこの手口を多用し、時の首相やマスコミを「誘導」「篭絡」する。いわく、「目先の人気取りに走る政治家はポピュリスト。無責任だ」「国民に嫌われても将来のため増税すべき」「それでこそ後世に名を残す大宰相となる」…。
08年のリーマンショック直後、大規模な財政支出で景気を支えようとしたケインジアン、麻生太郎が「当面は景気対策に全力」としつつ、「3年後の増税」を付言したのも、「大宰相」を意識したからだろう。現在、財務相を務める麻生の口癖はこうだ。「竹下、橋本。消費税上げた総理はみんな辞めさせられてる。それを2回上げようってんだから、安倍の度胸はハンパじゃねえ」。

安倍晋三は決意していた。「橋本さんの轍は踏まない」。アベノミクス開始から約1年後の13年10月。企業景況感の改善を背景に安倍は5%から8%への増税を決定。同時に設備投資減税、住宅ローン減税、復興特別法人税の前倒し廃止などで総額5兆円規模の実質減税を打ち出した。それでも消費は冷え込み、臍を噛んだ安倍は財務省への不信感を募らせる。

14年秋。財務省は予定通り「15年10月に10%」、政権として2度目の増税決定を安倍に迫る。同省出身の日銀総裁・黒田東彦も、増税を見据えた環境整備とも取れる追加金融緩和「バズーカ2」を放つ。同時期に来日した国際通貨基金(IMF)専務理事クリスティーヌ・ラガルドも「予定通りの増税」を麻生に進言。“チーム財務省”が総力戦で外堀を埋めに来た、と断じた安倍は、究極の対抗策に出る。10%を17年4月まで先延ばす「増税延期解散」だ。選挙に大勝、国民の信を得た安倍は「もう俺の判断に文句は言わせない」。

安倍はさらに16年6月、「新たな判断」として、17年4月予定の10%を再度延期。今回19年10月に増税すれば、文字通り“3度目の正直”となる。ただし安倍は、あくまでも10月引き上げは「予定」と留保しており、経済情勢や統一地方選、参院選の結果次第では再度延期の可能性も完全否定はしていない。
とはいえ、外食を除く飲食品の軽減税率やキャッシュレス決済のポイント還元などを正式表明した今となっては、3度目の延期はむしろ「ちゃぶ台返し」となり、国民生活に混乱を招きかねない。当然、安倍もそれを認識しており、おそらく今年10月には引き上げられるだろう。その前提に立った投資戦略を模索したい。
(文中敬称略)

軽減税率関連

コード 銘柄名 内容 終値
(1/22)
注文画面
2484 夢の街創造委員会 出前仲介サイトを運営 1,451
2918 わらべや日洋ホールディングス 中食業界の雄。セブンイレブン向け惣菜も 1,888
6082 ライドオンエクスプレスホールディングス 宅配寿司「銀のさら」、宅配釜飯「釜寅」 1,282

キャッシュレス決済関連

コード 銘柄名 内容 終値
(1/22)
注文画面
3623 ビリングシステム スマホ決済ツール、決済の収納代行 4,220
3753 フライトホールディングス モバイル決済端末の開発 1,005
6664 オプトエレクトロニクス バーコードリーダー読み取り機 839

執筆者

渡部 一実 氏
株式会社ストックボイス 記者

産経新聞記者として政治経済報道に携わる。2014年からストックボイス記者。

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