業界図鑑 ~業界・セクターごとのトレンドを掴む~

2018年09月12日
岡三オンライン証券株式会社

【業界図鑑】機械業界 ~ パッケージ化する建設機械

無人のダンプトラックが続々と最適間隔を保ちながら走っている。運土を終えた車は、往復するのではなく別の現場へと向かう。つまり、Uberのように効率的に近くの現場へと配車されていく。こうした光景がそう遠くない将来に実現される可能性が高い。建機業界においては今後、高機能化だけでなく建設プロセス全体に関与するような垂直統合化の動きが強まるのではないだろうか?

1.建機出荷額は資源動向次第

ここ10年の建機の出荷額 (国内生産分) を見ると、資源価格と同じ動きをしていることが分かる。例えば銅の価格が上昇すると、銅の開発事業の採算が良くなり稼働率が高まることで大型建機が売れるからだ。資源価格が低迷した2015~2016年は不振だったが、2017年は好調で2.55兆円となり、2018年は公表されている7月までの期間で前年を上回っている。日本建設機械工業会によれば、今年は輸出向けの割合がさらに高まり、出荷額全体の6割以上となる見通しである。輸出出荷額は2018年が前年比+10%、2019年が+2%と、国内向けのマイナス分 (2018年が-4%、2019年が-1%) を補い、全体では2018年が+5%、2019年が+1%となる見込みだ。

国内向けの動向を見ると、2013年に排ガス規制前の駆け込み需要があったため、比較的早くリーマンショック前の水準に回復した。その後は政府の建設投資が増加したため、底堅く推移している。2018年は9月の排ガス規制強化により反動減が見込まれている。建機のうち4割弱を占める油圧ショベルが今年7月までで-25%。それを輸出向けが+29%とカバーしている状態である。日本の建設投資は当面同水準で推移すると見られるため、建機の国内向け出荷が今後大きく伸びる可能性は少ないだろう。

<建機出荷額の推移(2014/1~2018/7)>

建機出荷額の推移 国内

建機出荷額の推移 輸出

建機出荷額の推移 合計

2. 日立建機の利益率が改善

世界最大手の米キャタピラーと日本のコマツ、日立建機、コベルコ建機の業績を見てみると、米キャタピラーの売上高が飛び抜けていることが分かる。同社の中国での今期売上高予測は3割増と強気だ。営業利益に関してはこの1年で鋼材価格が50%上昇していること、3月から関税が25%となったことにより慎重に見ている。日本メーカーで営業利益率が安定しているのはコマツだが、日立建機も2017年に工場再編とIoT化を進めたため改善した。今期についてはコベルコ建機のみ、鋼材価格を慎重に見ているとの理由で前年割れの営業利益を予想している。

<建機4社の業績推移>

建機4社の業績推移 売上高

建機4社の業績推移 営業利益率

注:会計年度はキャタピラー1~12月、その他1~3月
適用為替USD/JPYは2014年105.85、2015年121.05、2016年108.84、2017年112.19

出所:会社資料より作成

3. 鉱山機械においてパッケージでシェアをとる

鉱山開発需要は変動が激しいため、すぐに部品を調達したりアフターセールスサービスを行ったりする体制が必要だ。そのため建機メーカーはここ最近、米国やオーストラリアの会社を買収している。

日本メーカーの競争力をさらに高めるには、ICT建機の操作性を改善することが重要だ。ICT建機は測量や運搬の無人化には効果的だが、掘削現場で浸透するにはまだ時間が必要と見られる。モニターを見ながら操作することの難しさから、まだ効果が実感されていない面がある。また価格が通常の2倍であり、レンタル主体となっているのが現状だ。国交省は成果物にしか補助金は出せず、厚労省の人材育成等でサポートするしかない。しかし鉱山開発では人が入れないような危険な場所に入ることが求められている。遠隔操作で数台の建機を動かし、無人化、省エネ化を実現することが期待されているのである。建機メーカーは測量から掘削、運搬、検証までのプロセス全体に関与し、大型建機をパッケージ化して販売する方向へ向かうだろう。

4. 建機関連銘柄

コード 銘柄名 市場 概要 終値
(9/12)
注文画面
6301小松製作所東証米キャタピラー社に次いで世界第2位。アジア地域でトップシェア。売上高の91%が建設機械・車両。2017年4月に米鉱山機械のジョイ・グローバル社を買収。3,000
6305日立建機東証国内第2位。売上高の90%が建設機械。2016年12月に米鉱山サービス・ソリューションのH-E PARTS社、2017年4月に豪鉱山機械向け鋳造部品大手の豪ブラッドケン社を買収。3,210
6326クボタ東証ミニショベルで世界首位。農業機械で国内首位。売上高の82%が機械部門。建設機械は北米、欧州で堅調。2016年7月に米農用作業機器のGP社を買収。1,708
6395タダノ東証独リープヘル社についでクレーンで世界第2位。高所作業車で国内第2位。移動式クレーンに強い。操縦自動化の研究で京都大学と連携。1,131
6432竹内製作所東証ミニショベル主体の中堅。国内売上高は3.0%で海外売上高比率が高い。欧州での販売台数を+8.4%と期初予想から上方修正。2,787

著者プロフィール

増井 麻里子(ますい まりこ)氏

証券会社、ヘッジファンドを経て、米系格付会社・ムーディーズでは多業界に亘る大手事業会社の信用力分析、政府系金融・国際協力銀行(JBIC)では国際経済の調査を担当。2014年7月、経済アナリストとして独立。
主な執筆・出演に週刊エコノミスト、国際金融、時事速報、Bloombergセミナー、日経CNBCなどがある。

社会人になって最初に配属された外国証券室で、Excelプログラミングの勉強を始める。次第に社内でシステム開発やデータベース構築を担当するようになる。その後、アナリスト、エコノミストへとキャリアを変えていくが、ITスキルを活用することで業務を効率化し、分析のための時間を生み出すことで仕事のスピードとクオリティを高めている。また、社内でワークショップを開催し、相手のつまずきやすい点を把握。わかりやすい教え方に好評を得ている。

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