業界図鑑 ~業界・セクターごとのトレンドを掴む~

2018年06月13日
岡三オンライン証券株式会社

【業界図鑑】小売業界 ~ EC市場の後発者は品揃えか新規分野で勝負

ヨドバシカメラ(非上場)のオンラインショップ「ヨドバシ・ドット・コム」は、家電製品だけでなく、日用品、書籍、ファッションなども扱っている。商品は 500万点以上にのぼり、日本全国に配達料無料で即日または翌日に届けるサービスを実施している。

2016年9月に食料品を扱い始め、「ヨドバシエクストリーム」という東京23区に最短2時間半で無料配達するサービスを始めた時は、採算を懸念する声も多かった。しかし、2017年3月期の売上高経常利益率は8.4%と高水準を維持。ケーズホールディングス5.4%、ビックカメラ3.1%、ヤマダ電機3.0%と比較すれば、利益率の高さが際立っていることが分かる。元々都市部に店舗を展開していたことで、人口動態やインバウンドの恩恵を受けており、経営戦略が功を奏している。

1. サービス系分野が好調

ヨドバシ・ドット・コムはAmazonと同様に品揃えと速さを追求していると言えるだろう。背景には非家電製品に注力せざるを得ない状況がある。家電製品は、足元では個人消費の持ち直しやゲーム機の牽引で総じて堅調だが、スマホ普及の影響もありカメラやパソコンなどは長期的に縮小傾向にあるからだ。

一方、EC(Electronic Commerce)市場は拡大し続けている。経済産業省の「電子商取引に関する市場調査」によれば、2017年のB to C(企業と消費者間取引)の市場規模は、16兆5,054億円(前年比+9.1%)だった。内訳は大きく分けて3分野あり、物販系8兆6,008億円(前年比+7.5%)、サービス系5兆9,568億円(前年比+11.3%)、デジタル系1兆9,478億円(前年比+9.5%)となっている。サービス系には旅行、チケット、金融などが含まれるが、伸び率が大きいのは飲食と理美容だった。

<B to C EC市場規模および各分野の構成比率 (2017年)>

B to C EC市場規模および各分野の構成比率 (2017年)

出所:経済産業省「電子商取引に関する市場調査」より作成

2. 伸びしろが大きいリユース市場

B to Cでのリユース品販売額は、ネットショップが約2,600億円、店舗が約1兆円と見られている。過去一年間に不用となった製品の推定価値を試算すると、7兆6,254億円であり、シェアリングエコノミーの機運の高まりと共に市場がさらに拡大することが見込まれる。

C to C(個人間取引)市場も急成長している。フリマアプリ市場は2012年に登場してから5年で4,835億円(前年比+58.4%)に達した。フリマアプリ国内首位のメルカリを楽天運営のフリルが追いかけている。フリマアプリは若者、女性が主な利用者だが、徐々に男性利用者も増えているようだ。

3. ビジネスの難易度は高い

EC市場は拡大しているが、ビジネスとしての難易度は比較的高いのではないだろうか。まず、総じて先行者利益が大きいということが言えそうだ。かつてはオンラインショップに不向きだと見られていた衣類、眼鏡、生鮮食品も当たり前のように売られている。例えばZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイは、独自のサイズ表示やコーディネートの一括注文など工夫を凝らし、アパレル分野で成功した。後発者であるNTTドコモ子会社のマガシークはロコンドと提携し、アマゾン・ファッションは30日間返品送料無料のサービスで対抗している。

また最近は、店舗を持つ業者がオムニチャネル(あらゆる場所で顧客と接点を持とうとする戦略)としてネットを利用する動きが収まってきたようだ。例えばタオルなどの専門店は、リピートが見込みにくいため、広告費の効率が悪くなりやすい。検索エンジン対策も集客につなげるにはかなりのコストがかかる。直販サイトで定価より低い値段を提示すれば、卸売業者や小売業者との関係が悪化することを覚悟しなければならない。ラッピングや配送、クレーム対応などの手間も、メールを使うため想像以上にかかる。

したがって、市場が拡大していても成功するのは容易ではない。オムニチャネルは、例えば既に競争力のある外食の出前サービスで、自動メールなどのコストをかけない戦略を採れれば有効だろう。後発者は、品揃えを良くして利便性を高めるか、レッドオーシャンから少しずれた新規分野を狙うのが賢明ではないだろうか。

<小売業者のマッピング>

小売業者のマッピング

出所:岡三オンライン証券-企業分析ナビ

4. 小売関連銘柄

コード 銘柄名 市場 概要 終値
(6/13)
注文画面
2484 夢の街創造委員会 東証JASDAQ
スタンダード
ポータルサイト「出前館」を運営。ネット出前仲介の先駆者。インドネシアに進出。 2,871
3092 スタートトゥデイ 東証1部 アパレル専門の「ZOZOTOWN」を運営。出品ブランドからの手数料が主な収益源。 4,410
3182 オイシックスドット大地 東証マザーズ 2017年7月に「オイシックス」から商号変更。「大地を守る会」を吸収し、NTTドコモ子会社の「らでぃっしゅぼーや」を10億円で取得。有機野菜に強みを持つ。 2,370
3558 ロコンド 東証マザーズ 靴を中心にECで成長。NTTドコモ子会社のマガシークと提携。 1,085
3559 ピーバンドットコム 東証マザーズ プリント基板の「P版.com」を運営。見積もりから注文までネットで完結。 2,326
9878 セキド 東証2部 家電の店舗販売から撤退し、輸入ブランド専門店を展開。ネット通販、リユース品販売を強化。 98

著者プロフィール

増井 麻里子(ますい まりこ)氏

証券会社、ヘッジファンドを経て、米系格付会社・ムーディーズでは多業界に亘る大手事業会社の信用力分析、政府系金融・国際協力銀行(JBIC)では国際経済の調査を担当。2014年7月、経済アナリストとして独立。
主な執筆・出演に週刊エコノミスト、国際金融、時事速報、Bloombergセミナー、日経CNBCなどがある。

社会人になって最初に配属された外国証券室で、Excelプログラミングの勉強を始める。次第に社内でシステム開発やデータベース構築を担当するようになる。その後、アナリスト、エコノミストへとキャリアを変えていくが、ITスキルを活用することで業務を効率化し、分析のための時間を生み出すことで仕事のスピードとクオリティを高めている。また、社内でワークショップを開催し、相手のつまずきやすい点を把握。わかりやすい教え方に好評を得ている。

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