業界図鑑 ~業界・セクターごとのトレンドを掴む~

2018年05月16日
岡三オンライン証券株式会社

【業界図鑑】銀行業界 ~ 金利低下が第二地銀の資金利益を下押し

5月9日、金融庁は銀行の店舗が平日でも休業できるように規制を緩和すると発表。今夏にも関連法令を改正する予定だ。現行の規制では、銀行の休業日は原則として土日祝日、年末年始に限定されている。低金利で収益環境が厳しい中、キャッシュレス化やインターネットバンキングの普及が進み、「資金利益」のウェイトが比較的低いメガバンクでさえ、店舗数削減やATM共同化を検討している。今回は第二地銀に注目してみたい。

1. 第二地銀とは

全国銀行協会では、全国銀行(116行)を都市銀行(5行)、地方銀行(64 行)、地方銀行Ⅱ(41行)、信託銀行(4行)、新生銀行、あおぞら銀行に分類している。このうち第二地銀は、地方銀行Ⅱのことであり、「第二地方銀行協会加盟」の地方銀行を指す。
第二地銀最大手で地銀全体では第6位の北洋銀行の時価総額は約1,600億円である。参考までに、国内最大の金融グループ・三菱UFGフィナンシャルグループの時価総額は約10兆2,000億円である。

2. 貸出金は増加傾向だが利回りは依然として低い

銀行の主要業務から得られる「資金利益」は、預貸金収支と有価証券利息配当金から成る。2018年4月末の統計を見ると、信託銀行を除く全ての銀行カテゴリーにおいて、預金、貸出金の残高はいずれも前年同月比プラスだった。しかし、マイナス金利政策導入で貸出金利の下落基調が止まらず利鞘が圧迫されており、銀行全体の「資金利益」は減少し続けている。2月の第二地銀の貸出約定平均金利(長期)は、0.989%と1%を切っている。

<貸出約定平均金利の推移 (2013/1~2018/2)>

建築物リフォーム・リニューアル受注高の推移

出所:日本銀行の統計データより作成

3. 増益ドライバーが見い出しにくい

第二地銀の決算発表を見ると、貸出金の増加以上に金利低下の影響が大きく、「資金利益」は前年比マイナスとなっている。「資金利益」の「業務粗利益」に対するウェイトは、メガバンクでは6割程度だが、地銀は8割以上と高い。「業務粗利益」は、「資金利益」の他に、金融商品の手数料収入から経費を控除した「役務取引等利益」、債券売買等の収支である「その他業務利益」から成る。第二地銀も中小企業の事業承継支援や投信窓販業務などで手数料ビジネスを強化し、「役務取引等利益」を増やそうとしている。

「業務粗利益」から経費を差し引き臨時損益を加えた「経常利益」は、横ばいかプラスになっている銀行が多い。経営努力による経費削減もあるが、与信関係費用(損失を事前に手当てする「貸倒引当金繰入額」など)の減少や株式売却益の増加によるところが大きいため、今後の利益の安定は見込みにくい。増益ドライバーを見い出すのは困難な状況であり、地銀の提携や統合はさらに続くだろう。

<第二地銀3行の企業スコア>

三和ホールディングス

文化シヤッター

LIXILグループ

出所:岡三オンライン証券 - 企業分析ナビ

4. 第二地銀銘柄

コード 銘柄名 市場 概要 終値
(5/16)
注文画面
7321 関西みらいフィナンシャルグループ 東証1部 2018年4月に近畿大阪銀行、関西アーバン銀行、みなと銀行が統合し、りそなHD傘下の中間持株会社として発足。大阪府でのシェアは、貸出金11.6%、預金7.9%。兵庫県と滋賀県もカバー。住宅ローン強化。 872
8522 名古屋銀行 東証1部 愛知県内3行で首位。法人の海外進出を支援。2018/3期決算では、役務取引等収益が増加したものの、利回り低下で資金利益が減少し、業務粗利益は減益。2019/3期の会社予想は減収減益。 4,170
8524 北洋銀行 東証1部 資金量は第二地銀で首位。地銀全体で第6位。北海道でのシェアは35%で圧倒的首位。2018/3期決算では、貸出金が増加したものの、利回り低下に伴い資金利益が減少し、業務粗利益は減益。2019/3期の会社予想はほぼ横ばい。 395
8544 京葉銀行 東証1部 千葉県でのシェアは、貸出金17.3%、預金9.8%。住宅ローン比率が高い。2018/3期決算では、貸出金が大幅に増加したが、利回り低下で資金利益が減少。業務粗利益は減益だが、与信関連費用及び経費の減少と株式等損益の増加で埋め、経常増益。2019/3期の会社予想はほぼ横ばい。 514
8558 東和銀行 東証1部 群馬県で第2位。埼玉県、東京都もカバー。投資信託の店頭及びネット販売を強化。SBI証券と提携。2018/3期決算では、中小企業向け貸出金が増加。資金利益は微減だが債券売却益が増加し、業務粗利益は増益。2019/3期の会社予想は減収減益。 1,485

著者プロフィール

増井 麻里子(ますい まりこ)氏

証券会社、ヘッジファンドを経て、米系格付会社・ムーディーズでは多業界に亘る大手事業会社の信用力分析、政府系金融・国際協力銀行(JBIC)では国際経済の調査を担当。2014年7月、経済アナリストとして独立。
主な執筆・出演に週刊エコノミスト、国際金融、時事速報、Bloombergセミナー、日経CNBCなどがある。

社会人になって最初に配属された外国証券室で、Excelプログラミングの勉強を始める。次第に社内でシステム開発やデータベース構築を担当するようになる。その後、アナリスト、エコノミストへとキャリアを変えていくが、ITスキルを活用することで業務を効率化し、分析のための時間を生み出すことで仕事のスピードとクオリティを高めている。また、社内でワークショップを開催し、相手のつまずきやすい点を把握。わかりやすい教え方に好評を得ている。

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