業界図鑑 ~業界・セクターごとのトレンドを掴む~

2018年02月07日
岡三オンライン証券株式会社

【業界図鑑】卸売業界 ~ 資源系の市況回復と非資源系の持続的成長で好調な総合商社

2月上旬に世界同時株安が発生した。しかし世界同時好況・好業績及び資源価格上昇といったトレンドに近々変調が起こるとは考えにくい。このようなファンダメンタルズの恩恵を受けているのは総合商社であり、大手5社の2017年度の純利益合計は過去最高となる見通しだ。住友商事を除く大手4社が第3四半期決算を発表し、通期の純利益予想については、三菱商事が5,000億円から5,400億円、三井物産が4,000億円から4,400億円、丸紅が1,700億円から2,000億円に上方修正。伊藤忠商事は4,330億円に据え置いたものの、既に達成率が89%となっているため、最終的には上振れる可能性が高い。

1. 収益構造とリスク

総合商社が扱う商材は多岐にわたっているが、大きく分けると資源系(エネルギー、金属、鉄鋼)とそれ以外の非資源系がある。収益構造は伝統的な仲介的立場での商取引から得る手数料やマージンに加え、資源権益や企業への出資から得る投資利益から成り立っている。最近では後者に注力しており、出資先の子会社や持ち分法適用会社の経営に関与することで利益拡大を目指している。さらに総合商社は、コンサルティング、物流機能、金融機能を持っており、全てが有機的につながることで独自のノウハウを蓄積している。

2015年度は資源価格が下落し、大手5社は合計で1.2兆円に及ぶ減損処理を行った。三井物産と三菱商事は資源系事業の比率が高く、チリの銅山事業などで巨額の損失を出し最終赤字となった。

総合商社に投資する場合、事業領域の選択を見極めるとともに、業績を見るために一過性の損失を含む純利益、アセットクオリティーを見るためにROA、投資戦略を見るためにフリーキャッシュフロー及び有利子負債/株主資本比率に注目する必要がある。

2. 非資源系事業の持続的成長に注力

このように資源系事業には市況というリスクが伴うため、損益分岐点を下げるなどしてリスクに見合ったリターンを得られるようにすることが不可欠である。また、各社とも非資源系事業を持続的に成長させることを重要視している。

非資源系事業の割合が85%と高い伊藤忠商事は、2015年度に純利益で初めて首位となった。2016年度は資源価格の回復により三菱商事に次いで2位となったが、着実に成長している。中国の国有企業CITIC(中国中信。金融、不動産、資源・エネルギー事業などを行うコングロマリット)に6,020億円を出資するなど、投資にも積極的である。

3. 原料炭の価格が再び上昇

足元では鉄鋼の原料となる原料炭の価格が上昇している。豪州スポット価格が2016年2月の1トン75ドルから2016年11月には300ドルに上昇し、その後150ドルに下落したが2017年度は200ドル超の高値で推移。中国の需要や豪州炭鉱の生産停滞が主因とみられる。資源権益を多く持ち、投資にも積極的な三井物産や三菱商事には追い風となっている。

<大手5社の業績推移>

伊藤忠商事

三菱倉庫

丸紅

三井倉庫HD

三井物産

住友倉庫 

住友商事

住友倉庫 

三菱商事

住友倉庫 

注:18/3期以降はコンセンサス
出所:岡三オンライン証券 - 企業分析ナビ

4. 総合商社関連銘柄

コード 銘柄名 市場 概要 終値
(2/7)
注文画面
8001 伊藤忠商事 東証1部 国内第2位(2017/3期純利益ベース)。食料、住生活に強い。ユニー・ファミリーマート、ドール(アジア青果)、伊藤忠エネクスに出資。 2,070
8002 丸紅 東証1部 国内第5位。電力、農業化学品に強い。伊藤忠丸紅鉄鋼、日清丸紅飼料に出資。 785
8031 三井物産 東証1部 国内第3位。鉄鉱石、原油の権益を多く持ち、資源系事業は首位。マルチグレイン(ブラジル穀物)、三井石油開発、ヴァーレ(ブラジル金属大手)に出資。 1,904
8053 住友商事 東証1部 国内第4位。油井管で商社首位。非鉄、CATVなどのメディアに強い。フィフス(欧州青果)、サミット(食品スーパー)、トモズ(ドラッグストア)、SCSK(IT)に出資。 1,803
8058 三菱商事 東証1部 国内最大手。石炭、天然ガスなどの資源系だけでなく、食料、機械にも強い。ローソン、メタルワン(鉄鋼)、MDP(豪州石炭)、トリペッチいすゞ(タイ自動車販売)、千代田化工建設に出資。 2,960

著者プロフィール

増井 麻里子(ますい まりこ)氏

証券会社、ヘッジファンドを経て、米系格付会社・ムーディーズでは多業界に亘る大手事業会社の信用力分析、政府系金融・国際協力銀行(JBIC)では国際経済の調査を担当。2014年7月、経済アナリストとして独立。
主な執筆・出演に週刊エコノミスト、国際金融、時事速報、Bloombergセミナー、日経CNBCなどがある。

社会人になって最初に配属された外国証券室で、Excelプログラミングの勉強を始める。次第に社内でシステム開発やデータベース構築を担当するようになる。その後、アナリスト、エコノミストへとキャリアを変えていくが、ITスキルを活用することで業務を効率化し、分析のための時間を生み出すことで仕事のスピードとクオリティを高めている。また、社内でワークショップを開催し、相手のつまずきやすい点を把握。わかりやすい教え方に好評を得ている。

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