業界図鑑 ~業界・セクターごとのトレンドを掴む~

2018年01月10日
岡三オンライン証券株式会社

【業界図鑑】証券・商品先物取引業 ~証券の株価は業績に比べて出遅れ気味

2018年1月4日の大発会(証券取引初日、または年始の式典)は、日経平均株価が3営業日ぶりに急反発。前営業日(2017年末)比で741円上昇し2万3,506円33銭と、1992年1月以来、約26年ぶりに高値を更新した。この日の東証33業種別指数で値上がり率がトップになったのは「証券・商品先物取引業」である。

1. 「貯蓄から投資へ」は進んでいない

2003年に当時の小泉首相が施政方針演説で「『貯蓄から投資へ』の流れを加速する」と発言。言い換えれば間接金融(お金の貸し手と借り手の間に銀行などの第三者が存在し、仲介する取引)から直接金融(貸し手が株式・債券を購入し、借り手に直接お金を融通する取引)への流れを加速するということである。

あれから15年経ったが、日銀データの家計の金融資産構成をみると、依然として現金・預金が51.5%と高く、投資信託が5.4%、株式等が10.0%で基本的に変化していない。米国ではそれぞれ13.4%、11.0%、35.8%、ユーロエリアでは33.2%、9.2%、18.2%である(2017年3月末時点)。

これまで政府としても様々な施策を打ってきた。1998年に株式の売買手数料を自由化し、銀行窓口での投資信託の販売を解禁、2005年には郵便局でも解禁した。2003年に証券優遇税制、2014年から「NISA(少額投資非課税制度)」、2016年から「ジュニアNISA」、2018年1月から「つみたてNISA」を開始している。それでも投資先進国への道のりが遠いという状況である。

2. 投資初心者層と休眠層を開拓する理由

個人金融資産における有価証券の保有率をみると、7割が60歳以上となっている。マイナス金利で預金金利がほぼゼロという時代において、本来であれば30~40代の資産形成層が有価証券を保有していてもおかしくないはずである。背景には投資教育の欠如ということもあるが、可処分所得の減少により貯蓄額が少ないという現実がある。30代の貯蓄額の中央値は200万円で、30%が金融資産を持っていない。

したがって、対面型をメインとしていた証券会社は富裕層をターゲットにしてきた。株式手数料自由化でネット証券が台頭し、個人投資家の8割が利用していることも理由である。大手ネット証券会社の売上高に対する経常利益率は45%と高く、対面型証券会社は20%前後である。しかし今後はこの棲み分けがはっきりしなくなるだろう。超高齢社会が到来し多くの相続や贈与が発生するため、証券会社は投資初心層や休眠層を顧客としていく必要がある。対面型証券はネットを強化し始めており、ネット証券は逆に富裕層の取り込みに注力していく必要に迫られている。

3. 地銀との提携などコングロマリット化がすすむ

資産形成アドバイスは弁護士のように相談だけでお金を取ることがまだ一般的ではない。また不動産や保険に比べると、証券は購入する人が限られている。証券会社は預かり資産額や情報料ではなく、依然として売買手数料で稼ぐ構造となっている。回転売買へのインセンティブが働き、資産形成を目的とする顧客との利益相反問題が存在する。実際大発会で証券会社の株が買われたのも、東証売買代金が約3.3兆円と高水準であったことが一因である。1日平均売買代金は2013年に前年の1.3兆円から急増して2.8兆円となり、2014年、2016年はやや減少したが、2017年は3.0兆円程度となった模様。現在の対面型証券の株価は2013年半ばの水準に近く、他の業界や業績に比べて出遅れ感のある銘柄があると言えるのではないだろうか。
また今後の流れとして、保険の個人代理店の証券版とも言えるIFA(インディペンデント・フィナンシャル・アドバイザー)が増える可能性がある。米国では証券会社の営業に匹敵するくらいの数に及んでいる。証券は地銀と提携して、不動産なども手掛ける地域密着型の資産形成アドバイザーを増やすなど、漸く金融のコングロマリット化が進むだろう。

<東証売買代金(1日平均、兆円)>

治療満足度別に見た新薬の承認状況

注:2017年は1~11月の平均値。

出所:日本取引所グループの資料より作成

<独立系大手・準大手4社の業績推移>

大和証券グループ本社

大和証券グループ本社

野村ホールディングス

野村ホールディングス

岡三証券グループ

岡三証券グループ

いちよし証券

いちよし証券

注:18/3期以降はコンセンサス

出所:岡三オンライン証券-企業分析ナビ

4. 証券関連銘柄

コード 銘柄名 市場 概要 終値
(1/10)
注文画面
8601 大和証券グループ本社 東証1部 国内2位。独立路線へ回帰。売上高内訳は受入手数料44%、トレーディング損益21%。 754.1
8604 野村ホールディングス 東証1部 国内最大手。2018年よりオンライン取引を集約・強化。売上高内訳は受入手数料37%、トレーディング損益28%。 724.7
8609 岡三証券グループ 東証1部 独立系準大手。ネット取引強化。売上高内訳は受入手数料58%、トレーディング損益39%。 754
8624 いちよし証券 東証1部 野村系。中小型株に強み。売上高内訳は受入手数料91%、トレーディング損益1%。 1,399
8707 岩井コスモ
ホールディングス
東証1部 関西地盤。対面営業主体。売上高内訳は受入手数料65%、トレーディング損益20%。 1,506

著者プロフィール

増井 麻里子(ますい まりこ)氏

証券会社、ヘッジファンドを経て、米系格付会社・ムーディーズでは多業界に亘る大手事業会社の信用力分析、政府系金融・国際協力銀行(JBIC)では国際経済の調査を担当。2014年7月、経済アナリストとして独立。
主な執筆・出演に週刊エコノミスト、国際金融、時事速報、Bloombergセミナー、日経CNBCなどがある。

社会人になって最初に配属された外国証券室で、Excelプログラミングの勉強を始める。次第に社内でシステム開発やデータベース構築を担当するようになる。その後、アナリスト、エコノミストへとキャリアを変えていくが、ITスキルを活用することで業務を効率化し、分析のための時間を生み出すことで仕事のスピードとクオリティを高めている。また、社内でワークショップを開催し、相手のつまずきやすい点を把握。わかりやすい教え方に好評を得ている。

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