業界図鑑 ~業界・セクターごとのトレンドを掴む~

2017年09月20日
岡三オンライン証券株式会社

【業界図鑑】保険業界 ~ 海外進出と商品の多様化が成長を牽引

2016年度に最終利益がそろって過去最高となった大手損害保険3グループは、2017年度に入っても好調である。第1四半期決算は、自然災害の減少や自動車保険収入の増加により、3グループが増収、東京海上HD以外の2グループが増益だった。一方、大手生命保険4グループは、低金利による予定利率の引き下げや一部商品の販売停止により、そろって減収となったが、日本生命グループ以外の3グループは増益だった。外国債券への運用拡大で利回りを確保したことが寄与した。

1.損害保険

2016年度の国内の損害保険業界における正味保険料は、8兆2,439億円で前期比-1.4%だった。市場は2011年度以降拡大し続けていたが、6年連続とはならなかった。市場は大手損害保険3グループで9割を占める。

収益状況を見ると、損害率「(正味支払保険金+損害調査費)÷正味収入保険料×100)」と事業費率「(諸手数料及び集金費+保険引受に係る営業費及び一般管理費)÷正味収入保険料×100」を合計した「コンバインド・レシオ」が2013年度以降は100%を下回っており、保険引受本業で黒字を維持している。

保険種目の構成比を見ると、自動車(任意)が約半分を占めており、自賠責、火災、傷害と続く。自動車においては、保険料を引き上げたこと、事故発生率が低下したこと、事故を起こしたかどうかで保険料に差をつけたことにより収益が改善している。しかし、2018年1月より大手グループが自動車保険料を平均で2~3%引き下げる見通しとなった。下げ幅は十数年ぶりの大きさになる。これまで高齢者ドライバーの増加等に伴い保険料を引き上げてきたが、自動ブレーキなどの先進技術の向上により事故率が大きく低下してきた。このように保険会社に有利な状況が続けば、保険料引き下げ圧力がかけられることになる。

コンバインド・レシオの推移

出所:日本損害保険協会資料より作成

2.生命保険

2016年度の個人保険の保有契約件数は 、1 億 6,011 万件(前期比+5.5%)、保有契約高は 858 兆 6,041億円(同+1.0%)だった。保有契約件数は 8 年連続で増加。保有契約高は減少し続けていたが5年前に底打ちし、今回は 19 年ぶりの増加となった。

市場のプレーヤーは損害保険業界に比べて多い。大手4グループは日本生命グループ、第一生命グループ、明治安田生命グループ、住友生命グループである。このうち上場しているのは第一生命グループで、かんぽ生命と業務提携している。2016年3月に日本生命が三井生命を子会社化するなど、まだ再編が続いている。

各社は一時払い貯蓄性商品の保険料を値上げしてきたが、マイナス金利政策の影響で販売を停止したり抑制したりしている。そのため利益率が高いとされる保障型商品にシフトし、医療保険、ガン保険、こども保険の契約件数を増やしている。

3.海外進出と商品の多様化

東京海上HDは、英国EU離脱に備え、2018年6月にルクセンブルクに損害保険会社を設立するための準備に入った。また2017 年 8 月にカンボジア駐在事務所を設立するなど、海外事業を拡大している。同グループの今年度の予想利益構成比は、国内損害保険事業43%(1,600億円)、国内生命保険事業14%(530億円)、海外保険事業41%(1,530億円)であり、収益源の多角化を目指していることが分かる。

また、今後の成長分野として「スペシャルティ保険」が注目されている。会社役員賠償責任保険やプロスポーツ選手年棒補償保険など、これまでの保険がカバーしていないものを指す。また自動運転車が登場すればそれに対応する保険商品が作られるというように、産業技術の発展やサービスの高度化に伴って新たな保険商品が次々と生まれることが予想される。人口減少で将来が懸念されている保険業界だが、今後も新たな事業展開に向けて買収や投資が活発に行われるだろう。

大手損保3グループと生保2グループの業績の推移

東京海上HD

MS & ADインシュアランスグループHD

SOMPOHD

第一生命グループ

T & DHD

注:18/3期以降はコンセンサス
出所:岡三オンライン証券 - 企業分析ナビ

4.保険関連銘柄

コード 銘柄名 市場 概要 終値
(9/20)
注文画面
8630 SOMPOホールディングス 東証1部 傘下に損保ジャパン日本興亜、ひまわり生命を持つ。介護事業が黒字転換。 4,583
8725 MS & ADインシュアランスグループホールディングス 東証1部 傘下に三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保、三井住友海上あいおい生命、三井住友海上プライマリー生命を持つ。アジアで拡大。2016年2月に英国大手Amlin社を子会社化。 3,685
8750 第一生命ホールディングス 東証1部 傘下に第一生命、第一フロンティア生命、プロテクティブ(米国)、TAL(豪州)を持つ。 1,915.5
8766 東京海上ホールディングス 東証1部 傘下に東京日動火災、日新火災海上、イーデザイン損保、東京海上日動あんしん生命を持つ。欧米での海外保険事業を急拡大。 4,530
8795 T & Dホールディングス 東証1部 傘下に太陽生命、大同生命、T&Dフィナンシャル生命を持つ。T&Dアセットマネジメントは投資運用・助言業を行う。 1,564

著者プロフィール

増井 麻里子(ますい まりこ)氏

証券会社、ヘッジファンドを経て、米系格付会社・ムーディーズでは多業界に亘る大手事業会社の信用力分析、政府系金融・国際協力銀行(JBIC)では国際経済の調査を担当。2014年7月、経済アナリストとして独立。
主な執筆・出演に週刊エコノミスト、国際金融、時事速報、Bloombergセミナー、日経CNBCなどがある。

社会人になって最初に配属された外国証券室で、Excelプログラミングの勉強を始める。次第に社内でシステム開発やデータベース構築を担当するようになる。その後、アナリスト、エコノミストへとキャリアを変えていくが、ITスキルを活用することで業務を効率化し、分析のための時間を生み出すことで仕事のスピードとクオリティを高めている。また、社内でワークショップを開催し、相手のつまずきやすい点を把握。わかりやすい教え方に好評を得ている。

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