FOMCでは想定以上のハト派姿勢が示された 再度、世界は金融緩和色が強まっている

03/22(金)11:34
岡三証券 グローバル金融調査部
マクロ経済分析グループ 嶋野 徹

ポイント

  • FOMCではバランスシートの縮小を9月で終了することを表明
  • ECB、日銀、中国人民銀行なども含め、世界的に金融緩和色が強まっている
  • しばらくはドル高円安余地が乏しい状況に。リスクオンの動きが強まれば円安へ

FOMCでは想定以上のハト派姿勢が示された

3月19-20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では金融政策は据え置かれたほか、よりハト派姿勢を強めた。FOMC後、米金利は低下し、NY株式市場はFOMC直後は不安定な動きとなったが、21日は大幅高となった。為替市場ではドル安に。ドル円相場は一時1ドル=110円20銭台までドル安円高が進んだが、今朝は若干値を戻している。今回のFOMCにおけるポイントは以下の通り。

① 政策金利の目標値は2.25~2.50%で据え置いた。声明文では経済活動が鈍化したとし、家計支出や設備投資の判断を下方修正

② FOMCメンバーによる政策金利見通しでみた2019年の利上げ回数は、前回の2回程度から今回はゼロ回程度に大幅に下方修正された

③ バランスシートの縮小に関しては、5月以降にペースを緩め、9月末で終了すると表明。また、パウエルFRB議長はバランスシートの縮小は金融引き締めではないとし、2019年年末時点は3.5兆ドルを若干上回る水準になるとの見通しを示した。これはQE3が開始される前の水準を大きく上回る規模である

FRBのバランスシートの縮小は、パウエルFRB議長は金融引き締めではないとしたが、少なくとも市場からの資金吸収につながる動きといえるだろう。そのバランスシートの縮小の終了時期が想定よりも早く訪れるとなれば、リスク資産投資にとっては追い風といえる。他方、今回のFOMCでは2019年の米国の経済見通しが下方修正された。景気の先行き不安はリスク資産投資の逆風要因となろう。

再度、世界は金融緩和色が強まっている

2004年~2006年の前回の米利上げ局面後の為替相場の動きをみると、利上げ打ち止めで米金利が低下したにも関わらずドル高円安が進んだ。この時は株高などリスクオンの動きを通じて円安となったとみるが、今回も市場がリスクオン、もしくはリスクオフのどちらに傾くのかが重要となろう。

足元の米国の経済指標の動きをみると、雇用情勢の改善は続いており、平均時給は上昇が加速し始めている。所得の増加がさらに進むならば、個人消費の押し上げ要因となろう。

他方、米国の保護主義、特に米中貿易戦争は輸出などに影響を及ぼしている。企業業績にも一旦減速感が出ており、明るさを取り戻すには数四半期の期間が必要となりそうだ。また、トランプ政権と米議会の関係が悪化していることにも注意が必要だろう。そのため、目先は米国経済の先行き不安がドルの重しになるとみる。

ただ、ハト派姿勢を強めているのはFRBだけではなく、欧州中央銀行(ECB)も、先日、年内利上げを断念する姿勢を示したほか、新型資金供給オペの導入を決定した。また、中国人民銀行は年初に預金準備率を引き下げ、足元で新規貸出しが増加している。日銀も金融緩和姿勢を維持する姿勢だ。目先は米国経済を含めた世界経済の先行き不安が残るとしても、その不安からの圧力が弱まっていけばリスクオンに傾き易い状況になってくるとみる。しばらくは米金利の低下でドル高円安余地が乏しい状況が続きそうだが、リスクオンの動きが強まれば、再度、ドル高円安の動きが生じると考える。

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