上場株券等を一定の基準を超えて保有する場合は、「大量保有報告書」の提出が必要です。
詳しくは、財務局へお問い合わせください。
なお、大量保有報告書の不提出や虚偽の記載を行った場合、課徴金の対象となりますのでご注意ください。
2007年4月1日からEDINETによる提出が義務化され、紙媒体による提出はできなくなりましたので、ご注意ください。
1. 大量保有報告書 〔金融商品取引法第27条の23第1項〕
上場会社の株券等を保有する者については、株券等保有割合が5%を超える場合に、所管の財務(支)局長宛に「大量保有報告書」の提出が必要となります。
2. 報告書の対象となる株券等の範囲
- (1) 大量保有者が報告しなければならない株券等の発行会社の範囲
- 金融商品取引所上場会社
- (2) 株券等の範囲
- 株券
- 新株予約権証券
- 新株予約権付社債券
- 対象有価証券カバードワラント
- 株券預託証券
- 株券関連預託証券
- 対象有価証券償還社債
3. 提出義務者
報告者の提出主体を「保有者」といい、下記(1)から(3)のとおり分類して規定されています。下記(1)から(3)までのそれぞれの立場における保有株券等の数を合計して株券等保有割合を計算します。この結果、株式等保有割合が5%を超えているものを「大量保有者」といい、報告書の提出義務を負うこととなります。
- (1) 金融商品取引法第27条の23第3項本文
- 自己又は他人の名義をもって株券等を所有する者
- 売買その他の契約に基づき株券等の引渡請求権を有する者、その他これに準ずる者
- (2) 金融商品取引法第27条の23第3項第一号
- 金銭の信託契約等によって株券の発行会社の株主として議決権を行使することができる権限を有する者又は当該議決権の行使について指図を行うことができる権限を有する者(下記(3)に該当する者を除く)であって、当該会社の事業活動を支配する目的を有する者
- (3) 金融商品取引法第27条の23第3項第二号
- 投資一任契約その他の契約又は法律の規定に基づき、株券等の投資をするのに必要な権限を有する者
4. 株券等保有割合
下記の計算式に基づき、株式等保有割合を算出します。
※信用取引により譲渡した株券等の数を控除する。
(潜在株式数とは、新株予約権証券等について、その権利の行使によって取得できる株式の数をあらわす。)
5. 共同保有者
共同保有者がいる場合には、共同保有者の株券等の保有分を合算し株券等保有割合を計算します。共同保有者の定義は次の(1)(2)のとおりです。
- (1) 実質共同保有者
共同して株券等を取得し、若しくは譲渡し、又は議決権の行使等を行うことを合意している者(書面での合意の有無等、合意の形態の如何にかかわらない) - (2) みなし共同保有者
(1)の合意がない場合でも、下記の関係にある場合においては、共同保有者とみなす。但し、保有株券が20株(又は20単元)以下である場合等には、みなし共同保有者から除外される。- 夫婦の関係
- 支配株主(50%超の議決権を有している者)と被支配会社の関係
- 支配株主を同じくする被支配会社同士の関係
- その他特別の関係
6. 変更報告書 〔金融商品取引法第27条の25第1項〕
大量保有報告書の提出後、株券等保有割合が1%以上増減した場合その他の大量保有報告書に記載すべき重要な事項の変更が生じた場合は、変更報告書の提出が必要になります。
- 変更報告書の提出にあたっては、原則として、大量保有報告書に記載した事項の全てを提出義務発生日の現況に基づいて記載(例外あり)
- 保有株券等の増減を伴わない場合は、株券等保有割合が1%以上増減した場合であっても変更報告書の提出は不要であるが、その後、保有株券等の増減があった時点で保有割合を算定し変更報告書の提出の要否を判断
7. 短期大量譲渡〔金融商品取引法第27条の25第2項〕
株券等の保有割合が減少したことにより変更報告書を提出する場合で、短期間に大量の株券等を譲渡したものとして以下の基準に該当する場合は、「譲渡の相手方」を追加して記載した変更報告書の提出が必要になります。
- 譲渡時点の株券等保有割合が、当該譲渡の日の前60日間における最高の株券等保有割合の2分の1未満となり、かつ、当該最高の株券等保有割合から5%を超えて減少した場合
8. 訂正報告書〔金融商品取引法第27条の25第4項〕
既に提出された大量保有報告書若しくは変更報告書を訂正する場合に提出が必要になります。
9. 特例報告
金融商品取引業者、銀行等については、要件を満たせば基準日(3ヶ月ごとの末日)時点における報告を行うこととなっています。
10. 報告書の提出
- (1) 提出期限
- 大量保有報告書および変更報告書の提出は、報告義務発生日の翌日から5日以内(土日祝日等を除いてカウント)
- 大量保有報告書又は変更報告書を提出する日の前日までに、新たに変更報告書を提出しなければならない事由が生じた場合には、当該変更報告書は、上記の期日にかかわらず、提出されていないこれらの報告書と同時に提出
- (2) 提出方法・提出先
EDINET(金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム)
- ※初めて提出される方は「操作ガイド」を押下してご覧ください。
- ※提出先:提出者の住所又は居所(法人は本店所在地)を管轄する財務(支)局
詳しくは、所管の財務局にお尋ねください。
11. 写しの送付
大量保有報告書、変更報告書および訂正報告書を提出した場合には、遅滞なく、報告書の写しを下記の者に対して送付しなければなりません。なお、 取得資金の内訳については、当該資金が銀行等からの借入れによる場合で、借入れを行った際に株券等の取得に充てることを当該銀行等に対して明らかにしていない場合には、当該銀行等の名称を削除(様式の該当部分を削除)して写しを送付することになっています。
- 株券等の発行会社
- 上場の場合は上場先全ての金融商品取引所(EDINETでの自動送付)
12. 報告書の提出様式
- 「EDINET」の各種操作ガイド等の指示に従ってください。
注意事項
- 本概要は、あくまで報告書提出の参考としていただくためのもので、関東財務局が公開している「株券等の大量保有の状況に関する開示制度の概要について」を参考に作成したものです。提出書作成の際は、必ず関係法令等をご確認のうえ、管轄財務局の指定手続・記入上の注意等に従って進めていただきますようお願い申しあげます。
13. 課徴金納付命令の対象について
金融商品取引法の改正により、2008年12月12日から、大量保有報告書を提出しない者や大量保有報告書において虚偽の記載を行った者に対し、課徴金が課されることになりました。
具体的な対象としては、
- (1) 大量保有報告書又は大量保有報告書の変更報告書(以下、「大量保有変更報告書」といいます。)を提出期限までに提出しない場合(金融商品取引法第172条の7)
- (2) 重要な事項につき虚偽の記載があり、又は記載すべき重要な事項の記載が欠けている[1]大量保有報告書、[2]大量保有変更報告書、[3]大量保有報告書・大量保有変更報告書の訂正報告書を提出した場合(金融商品取引法第172条の8)
となります。
課徴金の額は、大量保有報告対象株券等の発行者が発行する株券等の時価総額の10万分の1となります。
また、上記(1)の場合として、当局による報告・資料の提出命令又は検査が開始される前に、提出義務者が証券取引等監視委員会に対し、上記(1)の場合に該当していることを自ら報告した場合には、直近の違反事実に係る課徴金額を半額にする減算制度が設けられています。(金融商品取引法第185条の7第12項)
なお、違反行為を繰り返した者に対しては、課徴金が加算されます。(金融商品取引法第185条の7第13項) これまでに、大量保有報告書制度における不提出事例として以下のようなものがありますので、大量保有報告書等の提出義務のある方は十分にご注意下さい。
- (例1)
- ある上場会社の発行済株式総数の5%を超える株券を取得していたが、大量保有報告書の提出期限までに提出をせず、提出期限経過後に提出した。
- (例2)
- 大量保有報告書を提出していたところ、その後、株券の買い増しにより株券等保有割合が1%以上増加したが、大量保有変更報告書の提出期限までに提出をせず、提出期限経過後に提出した。
- (例3)
- 大量保有報告書を提出していたところ、共同保有者が増えたことから、共同での株券等保有割合が1%以上増加したが、大量保有変更報告書の提出期限までに提出をせず、提出期限経過後に提出した。
注意事項
- 本概要は、あくまで報告書提出の参考としていただくためのもので、関東財務局が公開している「株券等の大量保有の状況に関する開示制度の概要について」等を参考に作成したものです。提出書作成の際は、必ず関係法令等をご確認のうえ、管轄財務局の指定手続・記入上の注意等に従って進めていただきますようお願い申しあげます。