21.MACD
一部で根強い人気を持つMACDとは、米国のシグナラート·コーポレーション社(Signalert Corporation)が考案したもので、移動平均·収束·拡散トレーディング手法(Moving Average Convergence/Divergence Trading Method)のことである。
MACDでは2本の移動平均線の方向性や乖離、そして絡み具合に注目する。移動平均の乖離による分析である。用いる移動平均は単純な移動平均ではなく、指数平滑移動平均線(以下、EMA)である。
EMAは、単純移動平均線(以下、SMA)がn日移動平均線のn日間の価格を同じ比重で扱うのに対し、EMAは直近の数値の比重が高く、直近の値動きに対してSMAより早く反応する。
EMAの数式は表23-1の通りである。t時点における平均値を求めるには、Yt-1(一時点前の平均値)に、YtマイナスYt-1(すなわち現時点の観察値Ytと、一時点前の平均値yの差)に一定の割合(a)を乗じたものを加えればよいことを示している。
n日の移動平均値に対応する平滑定数αの値は2/(n+1)とされている。
MACDは3本のグラフから作られている。
- ①MACD:短期のEMA-長期のEMA
- 短期は12日、13日、長期は26日が使われることが多い。
- ②シグナル:MACDのn日EMA
- 通常は9日が使われる。
- ③ヒストグラム:MACD-シグナル
- MACDとシグナルの乖離を表し、プラスのときはMACDが高く、マイナスのときはMACDが低くなる。
売買ポイント
MACDの見方は、速く動く実線(MACD)が遅い方の点線(シグナル)を下方から上に抜いたときを買いサイン、逆に上方から下に抜けば売りサインとなる。トレンドの面では、MACDにトレンドラインを引いて、これをフォローする方法がある。
また、ゼロの目盛り線と交差するか否かもポイントになる。つまり、MACDがシグナルを上抜いて買いサインが出た後、2本の線がゼロの線を上回れば上昇は本物とみなし、逆であれば本格的な下げ基調とみなす。また、相場がかなりの水準まで上げた後、もしくは下げた後に、2本の線が相場との「逆行現象」を見せた場合は他のオシレーター同様に天井や底を暗示する。