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テクニカル分析03 ボリンジャーバンド

標準偏差は株価の変動の大きさを表す

ボリンジャーバンドは、トレンド系テクニカル分析の代表選手のような存在であり、多くの人が見ている点でも重要な指標です。チャート上に移動平均線と標準偏差のラインを描き、各ラインと株価の位置関係から売買のタイミングを測ります。

まずは、そのポイントとなる「標準偏差」という概念について簡単に解説しましょう(統計をご存じの方は、読み飛ばしてくださっても大丈夫です)。

たとえば、次のような2種類の株価の推移があるとします。

(A) 100円→120円→100円→80円→100円
(B) 100円→150円→100円→50円→100円

(A)も(B)も、平均すると「株価データの合計÷データ数=500円÷5=100円」になりますが、よく見ると、(A)より(B)のほうが株価データの変動が大きいことに気づきます。
そこで、(A)と(B)の変動の大きさを数値化して比較してみましょう。

(A) {(100円‐100円)+(120円‐100円)+(100円‐100円)+(100円‐80円)+(100円‐100円)}÷5=8円
(B) {(100円‐100円)+(150円‐100円)+(100円‐100円)+(100円‐50円)+(100円‐100円)}÷5=20円

(A)の場合、個々の株価データと平均値(100円)のカイ離(距離)は、平均して8円。(B)の場合は、それが20円ですから、(B)は(A)より2.5倍(20円÷8円=2.5倍)も変動が大きいことがわかります。
以上のように、「データの変動が大きいと、大きな数値になる」というのが「標準偏差」の基本的な考え方です。
しかし、実際の「標準偏差」を求める数式は少し異なり、以下のようになります。個々のデータからデータの平均値を引くところまでは上記の計算と同じですが、その値を2乗してから総和を求め、その平均値の平方根(√)を「標準偏差」とするのです。

標準偏差の計算式

なぜならば、データが平均値よりも大きい場合は「データ-平均値」はプラスの数字になるのでいいのですが、データが平均値より小さい場合は、「データ-平均値」はマイナスとなってしまい、それらを合計すると正確なカイ離(距離)が出ません。そのため、上記に示した(A)(B)の計算では、データが平均値より小さい場合は、「平均値-データ」という計算をしているのです。
しかし、2乗すればマイナスはプラスになるので合計できますし、「データ-平均値」という計算式で統一できます。そして、最後に、平方根(√)を求めれば、個々のデータと同じ尺度で比較できるというわけです。

なお、標準偏差は通常「σ(シグマ)」の記号で表しますが、前述のように、株価の変動が大きければ標準偏差「σ」は大きくなります。
そのため、標準偏差「σ」が大きい場合は、チャート上に描き出される基準線(移動平均線)と「-σ」ラインの間隔、および基準線と「+σ」ラインの間隔は幅が広くなります。また逆に、標準偏差「σ」が小さい場合はそれらの幅が狭くなります。

ボリンジャーバンドを使った投資判断

さらに、データは統計学上の正規分布に従うという仮定に基づくと、

株価が「移動平均 ± σ」内に収まる確率は約68%
株価が「移動平均 ± 2σ」内に収まる確率は約95.4%
株価が「移動平均 ± 3σ」内に収まる確率は約99.7%

となります。
つまり、株価が標準偏差の2倍を上下で超える確率は4.6%しかないということです。そのため、この場合は、次のような二つの投資判断ができるでしょう。

(1)ほとんど起こらないことが起きたのだから、この先の株価は少なくとも平均までは戻る可能性が高い。
(2)ほとんど起こらないことが起きたのだから、今回は株価は全く違うステージに入ったかもしれないので、水準を大きく変える可能性がある。

(1)は「逆張り」投資、(2)は「順張り」投資になります。

また、ボリンジャーバンドをエントリーポイントとしてだけではなく、手じまいのポイント(買いエントリーの場合は売却/売りエントリーの場合は買い戻し)として利用する方法もあります。たとえば「3σにタッチしたら取りあえず売却する」などがそれに当たります。

基準線を中心にボリンジャーバンド± 2σが表示された日足例(パラメータは10)

この動画で操作方法と画面の動きをご確認ください(フルスクリーンモードでご覧ください)

「岡三ネットトレーダープレミアム」でボリンジャーバンドをご利用いただく場合、平均と標準偏差を計算する期間(パラメータ)を自由に変更することができます。画面上でパラメーターの設定を連続的に変更すると、ボリンジャーバンドの変化がよく分かるので、お試しください。

また、基準線(移動平均線)の表示・非表示、1σ、2σ、3σの表示・非表示も個々にできるようになっています。
さらに、売買サインとして、「下値を上抜けまたは上値を下抜け」=「逆張り」の表示がチャートの上に出てきます。パラメータやσ(Deviation)を変更することによって売買サインも変化しますので参考にしてください。

ちなみに、日足データで、パラメータを10に設定した時、売買サインがDeviation1の場合は"だまし"が多くなりますが、Deviation3の場合は売買サインがほとんど出ないので、Deviation2が一番使い勝手がよさそうです。 また、バンド幅が小さい局面からどちらかに大きく動き始めた時は、トレンドを持っている場合が多く、「順張り」が成功しやすいという見方もあります。

「分析チャート」を表示しリンクさせておいて、「株価ボード」にある銘柄を次々とクリックして選択すれば、それらの銘柄の株価チャートを連続して見ることができます。ですから、まずはたくさんのボリンジャーバンドを見ることをお勧めします。たくさん見れば、何かが見えてくるはずです。

※ボリンジャーバンドの「由来」や「概要」に関しては、リンク集の「テクニカルチャート解説」をご参照ください。

http://trade.okasan-online.rich-direct.jp/chart_help/frame.html

※この項目は2010年5月7日のブログを元に書かれたものです。

ご注意:画面上に表示された画像に表示される個別銘柄は操作の説明上表示しているものであり、これらの銘柄の売買をいっさい推奨するものではありません。

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