株、FX(くりっく365)、日経225先物・オプション、CFD(くりっく株365)などを、業界最低水準の手数料と最先端ツールで提供。岡三オンライン証券は投資家のご要望に応え続けるネット証券会社です。

ホーム > 社長対談 > 第二回 今井雅人氏

社長対談

第二回 今井雅人氏

「今後の香港ドル・人民元相場は中国株投資にどう影響するか?」グローバル・インフォ株式会社 今井雅人 対談 岡三オンライン証券株式会社 池田嘉宏 今井雅人(いまい まさと):グローバル・インフォ株式会社 代表取締役社長 1962年岐阜県生まれ。上智大学卒業後、1985年に三和銀行入行。1987年よりディーリングの世界に入る。1989年から5年間、シカゴで通貨先物市場に傾倒し、多くの著名トレーダーと出会う。帰国後、主に為替部門に従事し、2004年3月までUFJ銀行の為替部門の統括次長兼チーフディーラー。同年4月に独立。心理学などを駆使した独自の手法で17年間1年もマイナスなく勝ちつづけた常勝トレーダー。元東京外為市場委員会委員、東京フォレックスクラブ理事歴任。

今回のゲストは、為替ディーラーとして長年活躍され、現在は外国為替証拠金取引(FX)のセミナーなども多数手がけるグローバル・インフォ株式会社の今井雅人氏。現在、日本人が売買できる中国株は、香港ドルと米ドルが取引通貨。だが、米ドルはまだしも、香港ドルがどんな通貨なのか、今後の相場がどうなるのかは分かりにくい。香港ドルや人民元相場の見通し、それを踏まえた中国株投資の考え方などを聞いた。

香港ドルはいずれ人民元と統合する?

池田
外国株投資をする人にとって、為替は避けて通れない問題です。とくに中国株の場合、香港上場のH株や深センB株は、日本人にはなじみの薄い香港ドルで取引されます。
中国株を保有するに当たって、個人投資家は、香港ドル相場が今後どうなるのかという点が非常に気になると思うのですが。
今井
結論から先に言えば、香港ドルはいずれ、人民元に統合されるのではないかと見ています。1つの国に2つの通貨が存在すること自体、不自然な状態ですから。
香港ドルは現在、国際的に自由流通していない人民元の代替通貨のような役割を果たしていますが、将来的に人民元の自由流通が実現すれば、存在価値がなくなってしまうはずです。
池田
現在、香港ドル相場は、カレンシーボード制によって1米ドル=7.75-7.85香港ドルにペッグ(固定)されています。
これに対し、人民元は対米ドルでじり高が続いており、このままでは人民元と香港ドルの価値が、時間とともに大きく開いてしまいます。将来的に香港ドルが人民元と統合するとなれば、香港ドルが人民元の水準に切り上がる形となりそうですね。
今井
そう思います。人民元の対米ドル相場は07年3月時点で7.75元、香港ドルは7.82香港ドルですから、すでに人民元の価値が香港ドルを上回っています。香港ドルが米ドルとのペッグ制を解消しない限り、人民元の価値がどんどん強くなります。
香港の金融当局は「ペッグ制を維持する」と言っていますが、解消されるのは時間の問題でしょう。
そもそもペッグ制とは、強い通貨に相場を固定させることで、自国通貨が弱くなるのを防ぐ措置ですが、米国の世界経済における相対的な地位の低下とともに、米ドルは今後、長期的に減価するとみられていますから、ペッグの対象とするのは時代遅れです。
むしろ、今後価値が上がると期待される人民元への統合が自然な流れと言えるかもしれません。
池田
人民元への統合によって香港ドルの価値が上がるのであれば、中国株投資を通じて香港ドル建て資産を保有する個人投資家にとっても大きな魅力ですね。

今井
とはいえ、いつごろ統合が実現するのかは分かりません。その意味で、香港ドル建て資産を持ち続けることには、じれったさが伴うでしょうね。ただし、両通貨の価値が開きすぎると、統合によって元の価値が下がる可能性も生じますから、あまり時間はかけられないはずです。
経過的措置として、香港ドルを人民元の水準に切り上げたり、香港ドルも人民元と同じ通貨バスケットを参考とする管理フロート制に移行したりすることによって、人民元との連動制を確保するかもしれません。

池田
人民元への統合によって香港ドルの価値が上がるのであれば、中国株投資を通じて香港ドル建て資産を保有する個人投資家にとっても大きな魅力ですね。
今井
とはいえ、いつごろ統合が実現するのかは分かりません。その意味で、香港ドル建て資産を持ち続けることには、じれったさが伴うでしょうね。ただし、両通貨の価値が開きすぎると、統合によって元の価値が下がる可能性も生じますから、あまり時間はかけられないはずです。
経過的措置として、香港ドルを人民元の水準に切り上げたり、香港ドルも人民元と同じ通貨バスケットを参考とする管理フロート制に移行したりすることによって、人民元との連動制を確保するかもしれません。

人民元の自由流通、3-5年後には実現か

池田
人民元の対米ドル相場は、年2-3%ペースで上昇が続いています。
輸出物価指数(購買力平価)で見れば、現在よりも元が20%ほど高い1米ドル=6元前後が適正水準との見方もありますが、一方で、急激な元高は利益幅の極端に薄い中国の輸出産業に大きな打撃を与え、中国の経済発展を足踏みさせるとの懸念もあります。
元高は今後、どのように推移すると予想しますか?
今井
そもそも中国は、急激な元高を望んでいません。ベトナムなどの周辺諸国に比べて輸出競争力が弱まるだけでなく、8億人もの農民の生活を支えきれなくなる可能性があるからです。
多数の農民が暴徒化すれば政権維持が危ぶまれる懸念もありますから。中国政府はいま、農村の貧困問題の解決に全力を尽くしています。
とはいえ、元が安いままでは、深刻なインフレに陥る危険もあります。インフレの抜本的抑制のためには、金利引き上げか、為替の調整しか方法はありません。
しかし、急激に金利を引き上げると好調な経済を冷え込ませる可能性があるので、いまのところ中国当局は、おっかなびっくり段階的に金利を引き上げているのが実情です。となると、少しずつでも元相場を上げることでインフレ懸念を解消するしかないわけです。

池田
中国が急激な元高を望んでいない理由のひとつとして、日本のプラザ合意からバブル崩壊に至った大きな失敗を「反面教師」としているようですね。
今井
当時の日本は、急激な円高によって景気が悪化したため、金融当局が大幅な金利引き下げを行った結果、過剰流動性が生じてバブルが発生しました。
バブル崩壊後の「失われた15年」の悲劇は、もはや言うまでもありません。日本と同じ轍(てつ)を踏まないように、温家宝首相をはじめとする中国当局は、「漸進的な為替改革」すなわち、緩やかな元高を目指す考えを明らかにしています。

池田
元は国際的に自由流通していない通貨ですが、中国がグローバル経済の一員として発展し続ける限り、自由流通の実現や資本取引の自由化は避けて通れない課題ですね。
今井
アジア通貨危機の二の舞となり、人民元相場が大暴落する懸念もあります。そのため中国は、資本取引の自由化も漸進的に実現するスタンスで臨んでいます。
為替のスワップ、先物、オプション市場を開設したり、インターバンク(銀行間)取引のマーケットメーカーに外資系銀行を加えたりするなど段階的な自由化を進めていますが、形が整うのは3-5年になるでしょう。人民元をある程度自由に流通させるのも、同じ時期ではないかとみています。

香港ドルの切り上げ効果、A・B株統合に期待

池田
中国の資本取引自由化と、人民元の自由流通化の形がある程度整えば、人民元高はますます進むことになるでしょうね。
今井
ものすごいブームになるのではないかと思います。
自由化のニュースを好感して、人民元を対象とするNDF(ノン・デリバラブル・フォワード)が先行的に高値を伸ばすかもしれません。
個人投資家にとっては、いまのところ外国為替証拠金取引(FX)ぐらいしかアクセス手段のない人民元建て資産運用の選択肢が、自由流通化によって大きく広がるわけですから、国際分散投資の観点からも画期的な出来事だといえます。
池田
人民元の自由流通化は、中国A株とB株が統合する上での前提条件です。日本人を含む海外投資家にとって、B株より市場規模も投資妙味も大きいA株取引に参加できる大きなチャンスともいえますね。
当社のストラテジストは、A株とB株の統合は、早ければ3年後と予想していますが、今井さんのおっしゃるように、中国の資本取引の自由化や人民元の自由流通化が3-5年後に実現するとすれば、ほとんど符合します。
今井
2008年の北京五輪、2010年の上海万博を経て、いまから4年後に当たる2011年あたりが「自由化」の大きなターニングポイントになるのではないかとみています。冒頭に香港ドルの話をしましたが、香港ドルと人民元の統合も、人民元の自由流通化が大きな前提条件となるはずですから、3-5年後が大きな節目となるのではないでしょうか。
池田
つまり、香港ドル建てのH株や深センB株を保有している人にとっては、3-5年以内に、人民元との統合による「切り上げ効果」が期待できるかもしれないわけですね。外国株投資は、株価だけでなく、為替変動リスクも考慮するのが重要なポイントですが、中国株投資については、むしろ為替変動によるメリットが大きそうですね。
ただ、一方で「自由化」後に急激な人民元高が進めば、輸出を中心とする国内産業に大きな打撃を与え、株価にも悪影響を及ぼす可能性があります。中国は為替や資本取引の自由化と同時に、元高に耐えうるような国内産業構造をつくり上げる必要がありそうですね。
今井
同感です。また、2月27日に上海株式市場が大暴落しましたが、過熱した市場には必ず大きな調整が起きるものです。中国政府はバブルによる急激なインフレを最も警戒していますから、中国株投資を行う人は十分に注意すべきでしょう。

「世界の工場」から「市場」へ、内需株が有望

池田
今井さんは、今後の中国の有望産業をどのようにご覧になられますか?
今井
現在の中国は、1978年の改革・開放政策以来、「世界の工場」として発展した成長段階から、「世界の市場」と呼ばれる消費拠点としての成長段階にシフトしています。
現在でも、2億人前後の中産階級が誕生していますが、貧困問題の解消などを通じて、中国の国民の消費力は今後ますます高まるはず。その意味で、国内市場向けの耐久財(自動車・家電など)メーカー、小売企業などが有望ではないでしょうか。
池田
人民元と資本取引の自由化は、元高をさらに進行させるため、輸出を中心とする産業にはデメリットですが、逆にそれを耐え抜けるだけの構造転換を実現した企業は大きく伸びるでしょうね。
今井
もうひとつ注目したいのが、中国とインドの関係緊密化です。
インドも90年代から経済開放政策を進めてきましたが、当初は「ルックウエスト」といって、欧米市場向けにIT産業のアウトソーシングビジネスをおもに提供していました。
ところが近年は、「ルックイースト」を唱え、インドのIT企業が中国市場でソフトウェアなどを現地開発する動きが広がっています。同じように中国企業も、インドをはじめ、アジア、ロシア、南米、アフリカなど第三世界を中心にグローバルビジネスを本格化しています。
元高は輸出については向かい風ですが、現地生産や海外企業のM&A(合併・買収)には有利ですから、むしろ中国企業のグローバル化をますます加速させるのではないでしょうか。

池田
2月27日の上海株式市場の暴落は、ややセンセーショナルに騒がれすぎた感もあります。
たしかに、ここ半年ほどの中国株市況はものすごく上がりましたが、東京五輪開催までの日本の株式市況と推移が非常に似通っています。その意味では、必ずしもバブルとはいえないのではないでしょうか。
今井
中長期的に考えて、中国株はますます上がると思いますよ。まさにグロース投資向きの投資対象です。短期売買するにしても、インデックス構成銘柄のような優良株であればリスクは少ないでしょうね。
池田
国際分散投資の観点からも、中国株投資の魅力は大きいですね。
今井
海外の投資家の外貨資産運用比率は11~14%、日本の投資家は6%ですから、まだまだ低いですしね。倍ぐらいになってもいいかもしれません。ただし、あまり外貨資産の比率が高すぎると国内物価との連動性が損なわれますから、最大でも2~3割にとどめるのが賢明ではないでしょうか。
池田
本日はありがとうございました。

免責事項

  • 本コンテンツの内容は、岡三オンライン証券としての見解を提供するものではなく、あくまでも対談者個人の考えを表明したものです。また、その正確性、完全性および適時性について何ら保証するものではなく、個別銘柄の売買を勧誘又は推奨するものでもありません。
  • これらの情報によって生じたいかなる損害についても、岡三オンライン証券が一切責任を負うものではありません。
  • 投資に関する最終決定は、契約締結前交付書面等およびWebサイト上の説明事項等をよくお読みいただき、取引の仕組・リスク・手数料等諸費用をご理解のうえ、ご自身の判断と責任で行ってください。