特別インタビュー(1)

特別インタビュー(1) デリバティブの発祥はリスクヘッジ。
デリバティブなら相場の波を捉えて積極的に利益を追求できる。

出典:「はじめてのデリバティブ」(株式会社大阪取引所、株式会社産経新聞出版)
※本ページ下部に記載の注意事項についてもご確認ください。

最も大切なのは、デリバティブ投資で欲をかかないことだ。

まずは月間10万円程度のヒットを重ねたい

さて、実際にデリバティブを活用する場合の“心得”について記しておく。まず、最も大切なのは「欲をかかない」ことだ。そもそも、投資において“大儲け”しようなどとは考えてはならない。株式投資で「1億円儲けました」といった話も聞くが、それが現実にあったとしても“例外中の例外”だ。

デリバティブ投資、あるいはFXでもそうだが、大損するケースで多いのは“大儲け”しようと無理なポジションを組んでしまうことだろう。デリバティブは基本的にハイリスク・ハイリターン。一度に百万円単位で利益を上げようとするには資金を大きく張るか、少額なら極端なレバレッジを利かせる必要がある。実際にしてみればわかることだが、シンプルな上げ相場ならともかく、現在のような乱高下する相場では難しい。

ところが、たとえば“月間で10万円、年間で100万円”といった具合に目標とするリターンを大きくしなければ、利益を得ることはそれほど難しいことではない。10万円という額は、1カ月の営業日が20日間として、1日の目標額が5000円となる。一度に大きく狙うよりも、細かな取引を積み重ねたほうが容易といえよう。

法則性をしっかり把握する、損切りに水準を決め忠実に守る、レバレッジを一定にする─こうしたルールを自分で定めれば、怖いことはない。ある意味、悪材料が突如飛び出して崩れることもある現物株のほうがリスクは高いといえるのではないか。

デリバティブは、例えれば“一粒で3度おいしい”と見ることができる。現物のリスクヘッジ、機関投資家の方向性を探れる、細かい取引を重ねれば投資のスキルが向上するとともに“小遣い稼ぎ”もできる。先物、オプションともに、デリバティブの原点はリスクヘッジにあることを忘れず、現物株のリスクヘッジをしながら、「月の利益は10万円ほどで十分」と欲張らずに活用することをオススメしたい。

外部環境は心配だが、相対的に見て日本株は割安水準だ。

今の日本株市場は、まさにバーゲンセール中

最後に、日本株の今後の見通しを絡めて、デリバティブ投資を論じてみる。ポイントとなるのは、日本の株式市場においてメインプレーヤーである海外機関投資家の動向だが、欧米のヘッジファンドでアドバイザーをしている経験から見ると、欧米の投資家は日本株に対して、“失望半分、期待半分”と見ているようだ。

失望しているのは政策。金融緩和策は正しい、デフレ脱却のメドが立ちつつある、この2点については評価していながらも、経済の生産性を高める必要があるこの時期に、アベノミクスの3年間でほとんど取り組んでいないことに失望している。反対に期待しているのは日本企業の強さだ。アベノミクスでコーポレートガバナンスの改革、強化が進み、これまで評価していなかった経営陣が変わると見始めている。もともと、日本企業はデリバティブの根源は、大阪の米取引が発祥実力があるので、厳しい環境を乗り切れると彼らはみており、日本株を見放す感じではない。

他方、金融緩和に関してだが、マイナス金利の導入はデフレ脱却を考慮すれば正しい選択だ。その後の株価下落で、導入は“失敗”との声もあるが、本邦初の政策であるため混乱するのは当然で、過剰反応したといえるのではないか。時間の経過とともにプラスに作用するだろう。

相場全般がPBR(株価純資産倍率)1倍に近づくまで下落したのは明らかに売られすぎ。10年以上前の金融危機のときに、PBR1倍割れの銘柄が続出したものの、当時は“隠れ借金”など財務諸表が信頼できなかった。ところが、今はガバナンスがしっかりし、企業の財務体質が強化している点を踏まえれば、状況が大きく異なる。解散価値に株価が近づくなど、“株のバーゲンセール”といえよう。デパートのバーゲンには行くのに、株のバーゲンでは買わないというのは、おかしな話だ。

確かに、欧米や中国など外部環境に不透明感が強く、中国経済がクラッシュとなれば、影響が大きくなるのは事実。ただ、そうならないのであれば、中長期の保有を前提に考えると、日本株は絶対に割安といえる。

以上の点から導き出せる結論は、現物株はバリュエーションをベースに保有するとともに、先物でヘッジをしつつ、小刻みに稼ぐ。中長期投資は現物株で、短期トレードはデリバティブ投資と使い分けるのがいいだろう。当面はボラティリティが高い相場が続くと想定されるため、デリバティブを活用することは重要。その際、前述したように、欲張らずに小さな利益を積み重ねていくことを心がけたい。

岸 博幸 HIROYUKI KISHI
一橋大学経済学部を卒業後、通商産業省(現経済産業省)入省。通産省在籍時にコロンビア大学に留学し、MBAを取得した。その後、経済財政政策担当大臣、金融担当大臣、郵政民営化担当大臣、総総務大臣の政務秘書官を歴任。2006年に経産省を退官し、慶應義塾大学の教授になる。官僚時代に得た知識と経験で現在は、テレビなどでも活躍。経済をわかりやすく解説している。

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  • 本冊子は、株式会社産経新聞出版より発刊された「デリバティブをはじめる前に読む本」より一部を抜粋し、2016 年2 月の取材に基づき再編集して作成されたものです。本冊子を無断で転用、複製又は販売等を行うことは固く禁じます。本冊子は、先物・オプション取引の基礎的な内容の説明を目的として作成したものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。株式会社大阪取引所および株式会社産経新聞出版は、本冊子の記載内容については万全を期しておりますが、投資家の皆様が本冊子の記載内容に基づいて行われるお取引その他の行為及びその結果について、何ら責任を負うものではありません。お取引に際しては、金融商品取引業者等より交付される契約締結前交付書面等をお読みいただき、商品の性格や仕組みを十分にご理解いただいたうえで、ご自身の責任と判断のもとで行っていただきますようお願い申し上げます。
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